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朝、野菜をもらったから、今日もちょっとだけクリエイティブになれる
とれたて野菜をくれる大家さん
今朝、いつものように卵を二個、目玉焼きにしただけの簡単な朝食を食べていたら、庭から大家さんの奥さんがわたしを呼ぶ声が聞こえた。
庭に出ると、空は清々しいほどに晴れ渡っていて、ハチだかトンボだか、いろんな虫がブンブン飛び回っていて、庭の鉢植えたちは先ほどホースで散水した滴を受けてキラキラ輝いている。
the 夏の朝。空気が少しだけひんやりするのは、お盆がすぎたせいかしら。
そんな庭先から、大家さんの奥さん。メガネのおくで目を細くして笑いながら「ごめんよー」と遠慮がちに来てくれる。いつもうちの前の畑で取れた野菜を何かしらくれるんだけど、今日は大きな茄子とオクラ、そして今年初物のすだちを袋いっぱいいただいた。
「お盆は、実家帰らんかったんやね。」
「なかなかね、コロナでね。」
なんて、世間話をかわすと、世界が少しだけシャッキリする。誰か他人とつながれているという感覚が自分と世界をきちんと一つにしてくれる。そんな気がするから、ご近所さんとのたわいもない話がわたしは結構好きだ。
「取るのちょっと遅くなったけん」と言って渡されたすだちは、確かに丸々としていて、立派だった。わたしは早速これで何をつくってやろうかと考える。すだち酒にしてもいいし、ジュースにしてもいいし、すだちチーズケーキなんかも美味しい。いろいろ頭を回転させながら、奥さんに丁寧にお礼を言って部屋に戻った。
お返しがしたいから、自分も何かつくりたくなる
この町に移住してから、ご近所さんや知り合いに日々たくさんのものをいただく。野菜や魚や果物やお菓子や、いろいろ。ものをいただくだけじゃなくて、ご飯を食べさせてもらったり、家具をつくってくれたり、日々の暮らしの相談にのってくれたり。
みんなそれぞれができることを持ち寄って、助け合って生きている。それぞれが得意なことを持ち寄って、みんなちょっとずつ豊かに生きている。「ほんの気持ち...」の送り合いが地域の根底に根付いている。
素敵だと思う。実に、素敵だなと。
だからこそ、自分もその輪の中に入っていきたいと強く思う。方法はなんでもよくて、庭で取れた野菜でも果物でも、絵が得意だったら絵でも、メカに強かったらパソコンの修理でもなんでも。
自分の得意や好きやできることで地域に参加したい。
気持ちの送り合いの輪に入りたい。
今日、朝日に光るとれとれ野菜を眺めながら改めてそんなことを思った。
例えばお金で気持ちを示すってとっても簡単だと思うけど、田舎はそんな風にはできてない。お金を払おうとしたら丁寧に断られるし、まずもって粋じゃない。
「粋」じゃない。この感覚は、田舎に来てからとても研ぎ澄まされている。お洒落とかビジュアル的にどうかというより、やり方が生き方がかっこいいか、粋かどうか。これって結構、重要なことのような気がする。
「ありがとう」や「好き」の気持ちを示す方法も、かっこよくありたい。粋でありたい。かっこよく生きるってどういうことか、田舎の人から日々、そんなことを学んでいる。
田舎はとってもクリエイティブ
クリエイティブってカタカナをみると、なんかこう、アートとかデザインとかハイパーメディアクリエイターとか、そういうことを連想しがちだけど、わたしはもう少し広域の意味での「想像的」という意味がしっくりくるし、本来あるべき言葉の意味なんじゃないかなと思ってる。
漁師さんが魚をさばいて刺身にしていく様子とか、ゆっくり時間をかけて稲を育てて米をつくる過程とか、近所のお兄ちゃんが本棚をチャチャッとつくってくれる手捌きとか、全てが全てが「想像的!」って思う。
だって、ないものをつくるんだよ?材料を調達したり、種から育てたり、サイズを測ったり、全て自分でやって、例えば数時間まえにはこの世になかった家具をつくる。五日前にはなかった野菜を持ってきてくれる。
もちろん、野菜とか魚とかは0からつくるというと少し語弊があるのはわかるけど、「基本的に自分でなんとかしてつくる」のが当たり前で、出来合いのものを買うよりも、つくる過程まで楽しんでる人が多いなと思う。
居酒屋のお兄ちゃんとか、ジャークチキンをつくるためにドラム缶で専用の窯までつくったからね。すごいよね。超クリエイティブ。
朝、野菜をもらって、それがあんまりも綺麗で美味しそうで、だからとっても嬉しかったから、「ありがとう」の気持ちを自分の何か「つくったもの」で返したいと思った。けれど、生憎、自分には今のところ持ち合わせがなかったから、今度、絵を書いてプレゼントしてみようかな。
こうやって、お裾分けのおかげで創作意欲がむくむく。
いろんな意味でありがとう!って叫びたくなる素敵な朝だった。
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