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2拠点生活のキャリアママに聞く、家族の「好き」をクロスさせる生き方

昨年秋に、かねてからの夢だった山口県での家族4人お試し移住を実現した國分絵里さん。保育園に通う2人のお子さんを育てながら、東京の大手通信会社でのフルタイムの仕事と、副業で地方企業のマーケティング支援もこなす、パワフルなママです

「まずは自分が楽しんでいる姿を子供に見せたくて!」

はつらつとした笑顔でそう語る彼女に「みんなの好きを集めてつくるハッピーファミリー」の極意を聞きました。


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大好きだった夏休み、自分の子供と楽しみたい!


ーー そもそも、山口と東京の2拠点生活をしようと思ったきっかけはなんだったのですか?

もともと私の出身が山口県で、大学進学を機に上京しました。田舎暮らしに興味があったというより、山口にいる家族との時間をもう少し多くとりたいと思っていたんです。
でも夫婦とも仕事の拠点は東京だし、関東に住む旦那さん側の家族との時間も大切だし、「いつかどうにかできたらなぁ」と漠然と考えていました。

ーー 「いつかできれば」と思っていた2拠点生活。実現に向けて具体的に考え始めたのはいつ頃ですか?

下の子がお腹にいるときですね。

たまたま近所の児童館に行ったときに、夏休み中の子供がたくさんいて、みんな携帯ゲーム機で遊んでいたんです。その光景が自分の知っている夏休みとあまりにも違っていたのでびっくりしてしまって。「え、これが夏休み?」って。

私が小さい頃、夏休みといえば一年で最大のイベントでした。親戚みんなでわいわいしながら、花火をしたり、スイカを食べたり、海や川で遊んだりと、本当に楽しかった。休みの終わりはいつも寂しくて、この世の終わりのような気がしていました(笑)

「この子の夏休みはどうなるのかなぁ」

そう考えたときに、すごく寂しくなったんです。それは、自分の子供が夏休みらしい夏休みを過ごせないことがかわいそうだと思ったのではなく、私が親として、あの楽しかった夏休みを子供と一緒に過ごせないかもしれないことが寂しかったんです。

自分の子供と、あの楽しかった夏休みをまたやりたいなって。

そこで夫婦で話し合い、会社との調整を進めて、2拠点生活に向けて少しずつ準備をしていきました。上の子が小学校に上がる前に、一度、お試しでやってみようということになったのが昨年のことです。


親の自分も楽しいと思えることをする


ーー 「子供がかわいそう」ではなく、ご自身が夏休みをもう一度楽しみたいと思ったんですね。

「子供のため」という考えがあまり好きではないんです。

それがお互いの「つらさの原因」になるんじゃないかって思うので。子供のために嫌々やっている親の姿を見て、子供に申し訳なさを感じさせたくないなと。

だから、公園遊びもあまりしません(笑)

「早く帰りたいなー」と思いながら公園にいても、子供は敏感にその雰囲気を感じとるし、もちろん私もハッピーじゃない。だったら「こうするべき」みたいな「良いママ」のイメージは捨てて、自分と子供がお互いに楽しめることをしようと思うんです。

どちらかが遠慮してしまうと、お互いに少しづつ我慢が蓄積して、結果的にみんながしんどくなってしまう。だからまずは、親の私が楽しいと思うことを率先してやろうと意識しています。

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思うようにはいかなかったお試し移住


ーー 「自分も子供も楽しいと思えることをしよう」とはじめられたお試し移住ですが、フルタイムで仕事をこなしながらの移住生活は大変ではなかったですか?

すごく大変でした (笑)

計画を立てはじめた当初はまだコロナ前で、在宅勤務できる日数に上限があったんです。なので、お試し移住の2か月間は、有給と組み合わせながら週2、3日の勤務を考えていました。それがコロナ禍で完全在宅勤務となったため、山口でフルタイムで働けることになってしまいました。

有給を使わずに済んだのは良かったですが、仕事量が変わらないなかでの新しい環境での生活だったので大変でしたね。

2拠点生活の目的だった山口の親戚との時間もあまり取れなくて、その点も少し残念でした。

ーー 移住先での在宅フルタイム、忙しさが想像できます。お子さんとはどのように過ごされたのですか?

お試し移住で借りた家の隣に、たまたまうちの子と同じ年齢の子がいるご家族が住んでいて、その方のご紹介で地元の幼稚園に通うことができたんです。

そのお隣さんには本当によくしていただき、子供たちもよく一緒に遊んでもらいました。野菜をお裾分けしてくれたり、週末は川や山に遊びに行ったりと、頭の中で描いていた「田舎ならではの生活」を味わせてもらいました。
でも、最初は幼稚園にも楽しそうに通っていた上の子が、途中から行きたくないと言うようになってしまって。

ケンカや何か問題があったわけではないのですが、初めての大きな環境の変化に戸惑ってしまったみたいです。なんとか期間の最後まで通ってくれましたが、日増しにぐずり方もひどくなって、これで「2拠点生活はもう嫌だ!」とならないか内心ヒヤヒヤでした。

目先のプラスマイナスに一喜一憂しない


ーー ママにとってもお子さんにとっても、なかなか大変なお試し移住だったんですね。

それでもやってよかったと思っています。それは子供たちの成長を感じられたからなんですが。

東京に帰ってしばらくしてから、子供たちの顔つきが変わったというか、なんとなく大人っぽくなったなと気づいたんです。特に上の子は、下の子の面倒を積極的に見てくれるようになったし、すごく頼れる存在になったと感じました。

アート系の習い事に通っているのですが、そこで娘の絵を見た先生から「帰ってきたばかりの時は少し混乱しているような印象を受けたけど、しばらく経って一皮剥けたような落ち着いた絵になりましたよ」と言われたんです。
それを聞いてとても嬉しくなりました。きっと彼女にとって、おそらく初めての困難を自力で乗り越えてくれたんだなと。

ーー 長期的にみて、良いと思える面があったんですね。

改めて、目先のプラスマイナスに一喜一憂しちゃダメなんだなって思いました。楽しいことであれ、多少しんどいことであれ、心が動くこと、それに向き合うことが一番の成長ポイントなんですよね。

だから、親である私が、短期スパンで「良い悪い」を判断するのではなく、伴奏するというか、長期的な目で子供や自分自身や家族みんなの状況を感じ取っていくことが大切なんだなと思いました。

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家族の「好き」をクロスさせる生き方


ーー 國分さんからは、常に家族と自分の気持ちを大切にされている印象を受けました。家族であってもそれぞれを尊重するのは少し難しいイメージがありますが、何か秘訣みたいなものはありますか?

受け身でいないこと、ですかね。

親である私たちが何をしたいか、「主体的に選ぶこと」が大切かなと思います。自分はこうしたい、だから子供と家族とこうする、みたいな。
我が家はよく夫婦で「ワクワクトーク」をしています。趣味が似ているというのもあるかもしれませんが、2人でよく「次はこんなことやりたいねー」と話すんです。

自分の「好き」や「やりたい」がまずあって、それらをすり合わせるイメージ。好きをクロスさせるというか、楽しさを共有できる部分を探すというか、そんな感じですね。2拠点居住も、子育ても仕事も、全部その姿勢がベースになっています。

今は子供たちが小さいですが、これからは家族みんなでの「ワクワクトーク」もしていけたらいいなと思います。

ー ワクワクトーク、いいですね!ちなみに次の「やりたいこと」はもう決まってますか?

次回はもっと実家に近いところでお試し移住したいと思っていて、実はもう滞在先も決めてきました(笑)キャンピングカーを買って、前回以上に山口の自然を家族で楽しみたいです!

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最後まで笑顔で楽しそうにお話をしてくれた國分さん。彼女が語る「それぞれの好きを集めてつくる家族の生き方」は、聞いているこちらまで幸せな気分にしてくれるパワーがありました。

自分の好きも、家族の好きも、みんな叶える。

シンプルで気持ちの良い「人生の組み立て方」を教えていただきました。


【人生の選び方インタビュー】
筆者の身近にいる「素敵に生きている人」に、それぞれの「人生の選び方」について聞いてみたインタビュー企画。住む場所や働き方の選択肢が増えるなか、「自分らしく生きるってどうすればいいの?」の答えを探っていきます。

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