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終わるためのプロジェクトチームと、続くためのプロダクトチーム

 「職能横断チーム」のイメージについて示した。

 チームにとってミッションが起点となり、相当なる影響を与えることが分かる。チームとしては、ミッションを果たすために必要なケイパビリティを構想し、その実装を意図的に仕組んでいく。つまり、ミッション実現のための直接的なワークと、自分たち自身を強くするための営みとを並走させていくことになる。

 では、チームとはミッションが実現できれば、役割を終えて終わるしかないものなのだろうか? そういうケースもある。「プロジェクト」という概念はそういうものだ。一方で、単一のミッションを越えた活動もある。

 より上位のミッションも見据えて動くチーム、ビジョンやパーパスといったミッションとは異なる時間軸の目的を担ったチーム。分かりやすく言えば「プロダクト」や「事業」を背負っているチームは、こちら側になる。こうした狙いを持つべきチームでありながら、一年ごとに組織上の慣習としてチーム構成を大幅に変更する、あるいは解散してしまうというあり方は、合っていない

 「プロジェクト」という概念しかなかった組織の場合、この手の不一致が起きやすい。「プロジェクト」と「プロダクト」という概念の間で、留意するべきはプロセスもあるが、それ以上にこのチームのあり方、「生存戦略」(いかに生きながらえるか)の違いである。プロジェクトチームは終わるためのチームであり、プロダクトチームは続くためのチームである。「チーム固定化」の重要性が言及される背景はここにある。ちなみにどちらが良い悪いではない。正しくミッション違いなだけだ。

 目の前の仕事についてはミッションコマンドなチームイメージを持ちながら、別の視座からは固定的なチームをたどるようにする。その際、長期的な観点においては、チームのケイパビリティをどのように高めていくか、実際に高まっているのか、トレースする機会と仕組みが期待される。

 具体的にトレースの手段は、たとえば「星取表」を用いる。星取表の運用の仕方については割愛するが(「カイゼン・ジャーニー」「チーム・ジャーニー」参照)、つくってみるとその労力の高さに行き詰まることも多いだろう。星取表については片手間のイメージを持たないほうがよい。星取表の「推進係」であったり、テーマ・プロジェクトとして扱うくらいが良い。特に初期段階、1周2周回していくところは意識的な注力期間として置く。

 チームのケイパビリティを何らかの形で可視化すると、チームの外に向けても分かりやすくなる。ケイパビリティとミッションは対の関係にある。チームへの適切な期待と、挑戦がバランスできるよう、自分たち自身を理解し、表現できるようにしていこう。


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