見出し画像

どのようにして「職能横断チーム」をイメージするか

 新たな組織やプロジェクトの立ち上げにあたって、チームの設計を行う。その際、なぜかチームメンバーの数が多すぎる、逆にあまりに少なすぎる、という状況に遭遇する。

 基本的にどの組織も人手が足りない。あるミッションに向けて取り組んでいくには人数が少なすぎる、場合によっては「ゼロ」のため立ち上げられない、ということはよくあることだ。ところが一方で、むやみにメンバーが多すぎて、いったいどうやって運用していくのか、という状況に直面することもしばしばある。チームに参画しているだけで、どう振る舞えば良いか分からず、活動・活躍のしようがない。実にもったいない。

 到達したいミッションとそれに必要なこと、その分量感、これらがフィットしないのは、チームや組織の設計を行っている者に実経験が不足しているためだろう。現場の「現実感」と言っても良い。どんな状況にしていくのか、なっていくのかという想像にリアリティが伴っていない。結果、「良かれ」も働いているのだろう、やたらと人を寄せてしまっていることがある。

 こうなると、「ミッションへの到達」以上に、「チームが機能すること」に焦点があたり、引っ張られてしまう。言わずもがな、労力のかけ先が違う。日々費やす時間が何に繋がっているのか、立ち止まって見つめてみたい(ふりかえり、むきなおり)。

 先に人数や役割を置こうとするから、この手の状況が起きてしまう。ミッションファースト。あくまでミッションから必要な役割、プロセスをイメージする。その際、複数のチームを想定して「分業」ありきで考えない。むしろ、一つのチームで完結することを念頭に、必要な役割をチーム内に寄せる。つまり、ミッション実現について外部への依存性を減らす。この方向性を「職能横断チーム」と呼ぶ。

 「職能横断チーム」の健全性は、チームへのインプットと、チームからのアウトプットの両面で見るようにする。チームに多大なインプットがなければ仕事を始められない、果たせないとしたら、まだチームの疎結合・高凝集の度合いが低いかもしれない。チーム内の機能性を高める、つまり役割をチームに寄せたり、チームの「外部」も含めたプロセスを見直す。場合によっては、他のチームを含めたミッションの再整理も必要になるだろう。

 チームの起点となる「ミッション」については、最初に決めて終わり、ではなく、長い距離を走っていく場合には少しずつ、ときに大きくアップデートされていくところがある。そうしたミッション定義をチーム自ら行うとともに、チームを越えたレイヤー(組織からの視点)からの影響もある。このインプットを逃さないようにしたい。

 また、チームからのアウトプットの流れについても目を向ける。チームの高い独立性を保つためには、チームとしての責務を果たしてる必要がある。責務を果たすとは、チームに期待されるアウトプットを作り上げる、というだけではない。そのアウトプットが必要なところに着実に届いていなければならない。

 そうでなければ、チームは「アウトプット作成チーム」であって、「アウトカム実現チーム」とは呼べないだろう。何かは生み出すが、それがどこに届いて、どう使われ、結果として何をどのくらいもたらしているのか分からないまま。果たしている責務は「アウトプット作成」にとどまる。

 チームの持つイメージと、インプット、アウトプットとの関係はこんな具合になる。

 チームのモジュラー度合いと、他のチームとの関係を定期で点検しよう(ふりかえり、むきなおり)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?