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discordが再定義する「ともに居る場所」

 discordの運用をはじめて1ヶ月が経過した。その運用は継続している。使い始めの頃の感想はこちら。

discordはslackに比べて状況をつくる手間がかからない

 この1ヶ月で私自身が主管しているslackはほぼdiscordに移行した。特別な事情が生まれない限り、このまま運用が楽なdiscordを使っていきそうだ。例えばslackと違って、チャンネルにいちいちinviteする必要がなく、全員全チャネルを同時に閲覧できる。見る必要がないものは個々人がミュートすれば良い。

 仕事柄、プライベートチャンネルを作ることが多いのだが、無料のままのslackだと組織という概念がないのでいちいち、一人ずつ必要な人をinviteする必要がある。discordはロールという概念があり、ロールで見れるチャンネルを指定できるためとても楽だ。

 それから、voiceチャンネルの使い勝手の良さは、zoomを凌駕している。zoomを開いて、urlをコピペして、相手に連絡して、ミーティングを始める。たったこれだけでも、繰り返し繰り返しやっているとうんざりもしてくる。discordであれば、各々がチャンネルに集まるだけだ。(ただし、通信量の低さは実感としてzoomが優位で、discordで上手くいかない場合はzoomへと移行する)

 といった運用面の話に終わらず、discordの意義を新たに一つ理解した。それはフレンドとサーバという概念が両立しているところに依る。slackだと、箱(ワークスペース)を用意して、そこに人を集める。discordも箱(サーバ)を用意するのには変わりない。ただ、箱がなくてもフレンドになっていればコミュニケーションができる。slackのdmがワークスペースの外側で行えるようなイメージだ。それが出来て何が意義深いというのだろう?

箱の意味を再定義する

 箱(ワークスペース)は、組織や部署、チーム、プロジェクトなどという単位で作られることが多いだろう。箱は現実世界の組織の写像となる。ゆえに、現実世界の組織にある、内外を分け隔てる強力な境界線がそのまま引き継がれることになる。用もないのに、むやみに人を招き入れることが無いということだ。

 それはdiscordで箱(サーバ)を作ったときは同じだ。ただし、人と人との関係性は、フレンドという箱に依らない方法で形作ることができるため、フレンドを眺めていて、ある人とある人を含めて新たな目的で箱を作るということが簡単にできる。箱(ワークスペース)単位で世界が分断されているslackと違って、discordは新たな場所を作る行為がその枠組み中にビルドインされている。

 これは画期的なことだと思った。通常、

箱 = 同じ組織の構成員であることが前提

であるが、discordの場合、

箱 = 同じ組織の構成員である必要が無い

という状況が容易に作れる(もちろんslackでもできるが、相応の必要性がなければそういった箱を作ることの優先度はあまり上がらないだろう)。

 特にこのウィズコロナの下では、誰もがリモートワークで、否応無しにデジタルな世界に居場所を移しており、オンラインで行動をともにしやすくなった。つまり、これまでは、

箱 = 現実組織の写像、同じ組織の構成員とともに働く前提

という構図だったものが、

箱 = 同じ組織かどうかではなく、場所を同じにしたいかどうかで決まる

ということで、箱の意味を変えることができるのだ。隣に座っているのは、同じ組織の同僚、という構図をslackは基本的に踏襲する。discordは、隣に座る相手を選べる

 当たり前だが、秘密保持の観点から実務として「ともに働く」ことを容易くできるわけではない。実務の箱のとなりに、現実世界から離れた場所を作り出すことができるというイメージだ。これは、いままで出会えそうになかった人同士が出会える可能性を高められるということだ(自分のフレンドリストにのってさえすれば良い)。

 大げさに言うと、現実世界で定義する箱の中に人を押し込めて分断を維持するだけの世界から、箱自体を作り出せる世界へ。言いすぎかもしれない。でも、そのくらいの意義を私は感じたんだよ。

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