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[読書感想文] BRUTUS 2024/8月号 「もっと怖いもの見たさ。」

ちょっと気になってたホラー特集ブルータス、そんなに買う気はなかったけど、最寄りの応援している本屋で売っていたので買ってしまった。

恐ろしげな表紙が印象的なのに、ドキドキしながらめくるとおしゃれなDIORにタグホイヤーの広告。

一気にスンッってなる。なった。

特集自体はまあ面白かったんだが、やはり前後の落差がすごい。

黒いページで恐ろしい呪物の紹介をして終わり、ホラーの余韻に浸らせてくれるのかと思いきや、次のページが「ビールの新しい歴史を味わえる、YEBISU BREWERY TOKYOへ」。…おーい、情緒とかさぁ!

まあ、雑誌は広告がなんぼだから仕方ないとは思うけど、いっそのこと、広告もホラー風味にするとかできればよかったのに。端っこに幽霊が写ってるとか。

他の連載も普通に載ってるので、全部読み終わる頃にはホラーもなんもない感じになった。雑誌の宿命か…

特集自体については… ホラーに関わる人だけでなく、色んな人の怖いもの、怖かった作品などを挙げていて、ふーんという感じだった。自分はあまり他の人の怖い怖くないはあまり興味ないのかもしれない。

自分が好きだった「近畿地方のある場所について」が紹介されてた気がしたので買ってみたのだが、実話怪談についての章の背景に並ぶ本の中にちらっと写ってるだけだったのでがっかり。

「イシナガキクエを探しています」のプロデューサーが語る「ホラーブームが怖い」が面白かった。

「最近思うのは、本当の意味で怖がりたい人なんて一人もいないということです。」

「自分を安全圏に置いて、フィクションとしての怖さをちょっと覗くということが、本当はみんな気持ちいいだけだから。」

p65

怖がりたいからホラーを見てるわけではないってことか。

確かに。怖がりたいのではなく、安心したいからホラーが好きなんだと思う。自分も、世の中の人も。

自分はグロや血、死などのホラーではなく、非現実感を与えるホラーが好き。今の現実を実感したいからかも。安全だと思いたいからかも。

袋とじの中に怖い話が十篇入っているのもとても良い。そして当たり前だが、文章だとジャンプスケアがないのが安心して怖がれる。自分が読んだことのない感じの怪談をたくさん味わえた。
いわゆる怪談であり、フィクションとかではないのでそこまで自分の好みではなかったけど。

真っ白なページがところどころ挟まっていて、「このページは破って捨ててください」ってだけ書いてあるのが意味わからなくて一番怖かったかもしれない。最初は。

でも、結局この特集「もっと怖いもの見たさ。」の全面監修を務めているプロデューサーの怖いものが「紙を破ること」なのでそれを周りにわざわざ体験させてくれているというのに気付いた瞬間、割と冷めた。押し付けちゃったら終わりよ。

スンッで始まりスンッで終わるホラー特集だった。

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