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一線を越えたところにあるもの - 自家製酵母

自家製酵母を起こしたのは、今回で2回目。前回も今回もいただきもののシークヮーサーから。雑菌が入って腐ったりカビが生えたりすることもあるらしいが、今のところ2回ともうまくいっている。

パン作りに目覚めるまでは、天然酵母のパン、なんて言葉は聞いたことがあっても、パン作りに微生物が関与しているなんて想像すらしなかった。ましてや、パンが漬物や納豆と同じ「発酵食品」だなんて!

パン作りを始めてからも、酵母は「インスタントドライイースト」という顆粒状の物質の形で利用するので、なかなか生き物だという感覚がわかない。

それが、自分で酵母を起こすようになってはじめて、そこに別の生き物が関与していることを実感する。

小さなビンに、シークヮーサーと水、少量のはちみつを入れて一日二日おくと、次第に小さな泡が出てくる。三日目ともなると、ビンのふたを開けたとたんに炭酸入りの飲み物のふたを開けた時のように泡立ち、シュワシュワという音すら聞こえるようになる。酵母が増殖し、糖分を分解してアルコールと炭酸ガスを発生している証拠。

もちろん酵母は見えないけどね。見えたらきっと気持ち悪いから見えなくていいんだけどね。

で、この酵母がたくさん入った液をドライイーストの代わりに小麦粉に合わせることで、パン生地を大きく膨らませてあのふわふわなパンを作ることができる。

パン作りの難しさは、この生き物にすべてをゆだねる「発酵」という工程があること。生き物だから、活動が活発になる温度帯が決まっているので温度管理が重要だったり、活動は勝手に止まってくれないのでほったらかしにしていると発酵しすぎて逆にぜんぜん膨らまなくなったりする。

そのあたりの見極めは、パン生地の状態を目で見たり手で触ったりして、感覚で行うことになるんだけれど、それが酵母という生き物と対話をしているようで、そこに料理とは異なる面白さがあるな、なんて思うわけです。

こんなの、パン食べてるだけだとわからないし、また、それを聞いたからといってパンを作りたくなるわけでもないよね?おいしかったらそれでいいんだよ、って。

その一線を越えたところに、パン作り沼は広がっているんだ、と沼にハマってしまった身としては思うわけです。

おいしいパンを食べたい、食べさせてあげたい、というのはひょっとしたら二の次かもしれない。マッドサイエンティストって、ひょっとしたらこんな感覚なのかもね、と、ここにきて感じましたね。

うん、何が言いたかったんだろう。


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