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「丘の手から」

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2023年4月の記事一覧

「丘の手から」 第1回 鎌倉の北

「丘の手から」 第1回 鎌倉の北

ここは「港南区」だ。文字どおり「港の南」、横浜市の南部である。でも、横浜港開港よりも、はるかに昔=古代からの歴史を重ねる。

日本書紀にも記載がある古墳時代後期に起こった「武蔵国造の乱」。それは武蔵国の豪族、笠原氏の内紛だったが、一方の主人公「笠原直使主」が朝廷に献上した四つの領地のうちの一つ「倉樹(くらき)」が、今の港南区のあたり。奈良時代に入ってからも藤原京から発見された木簡に「久良岐」の名前

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「丘の手から」 第2回 上永谷あたり

「丘の手から」 第2回 上永谷あたり

横浜市営地下鉄ブルーライン。上大岡駅から湘南台駅方面にふたつめの上永谷駅。一方の出口はマンションと陸橋でつながり、一方の出口は市営バスなどの停留所が連なる駅前ロータリー。イトーヨーカドーがある。
あとはドトールコーヒーとサイゼリア、銀行、クリニックに歯科医院、数軒のドラッグストア。大型のパチンコ・パーラーも数軒。ここだけを見れば典型的なファスト風土といった風情、そういう感じが上永谷駅前だ。
つまり

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「丘の手から」 第3回 野庭は

「丘の手から」 第3回 野庭は

「野庭(のば)」もそうだけど「大庭(あおば)」みたいに「庭」の字を「ば」って読むのは、ずいぶん古い読み方らしい。辞書には「宮殿前にある大きな庭、物事が盛大に行われる広い場所のことを大場、大庭、オオバ、オオニワと呼んだ」とあり、今は地名や「姓」などに限って使われているようだ。つまり「野庭」もきのうやきょうの地名ではなく、鎌倉時代には「郡」として成立していたらしい。たぶん、この地を開拓した和田義盛がち

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