言語学へのいざない

↑ あっ・・!(遅すぎる気づきhttps://jigensha.info/2018/01/31/koreaname-1/日本人のおなまえ研究(1) “名前が左右対称なら在日”は本当?
カテゴリー: ウェブ記事, 日本人のおなまえ研究 | タグ: 人名力, 在日, 日本姓氏語源辞典 | 投稿日: 2018年1月31日 | 投稿者: 宮部 龍彦
ネット等でしばしば話題になる「在日認定」。奇しくも先日、奈良県安堵町あんど、ちょうの増井敬史けいじ町議が、福島瑞穂、辻元清美、山尾しおり国会議員を、「極悪非道の在日Korean」と、認定したことがきっかけで辞任した。もちろん、増井敬史町議の件をはじめ、多くの場合在日認定は何の根拠もないものだ。
 そこで、本誌では『日本姓氏語源辞典』の作者であり、外国由来のものも含む日本人の姓氏を、徹底研究し、在日コリアンの名前についても、精通している宮本洋一氏に、「在日の名前」という観点で話を伺った。
氏名が左右対称だと在日というのは本当なのか?
Q. よく「5ちゃんねる」では、犯罪者等の名前の漢字表記が、左右対称だから、これは在日だ、という認定が行われることがある。これは信じていいものなのか?
A. 左右対称という単純なものではないことは、『官報』の帰化の記録、を読んでみればわかる。在日の名前を、知るには多くの資料を読む必要がある。在日に限らず、名前を知ることで、背景がわかることを、『名前と人間』(田中克彦、岩波書店、1996)の12ページでは以下のように説明していた。
 日本人の名をとってみても、多くのばあい男であるか、女であるかがわかるようになっており、(それは、ことば自体の要求ではなくて、そのように名づけるよう、社会的に要求されているから)、時には、生まれた年代すらも推定でき、専門家が、その気になってせんさくすれば、その人の家系や、出身地すらもが、浮かびあがってくることもある。これを、ある面から言えば、固有名詞が、帯びる特有の差別性ということに、なろう。つまり固有名詞をつけること、自体が差別的行為と、言わざるを得ないだろう。さらに、固有名詞を『ことば』、というふうに置きかえてみると、差別はまさに、ことばから生まれてくるのだということになる
『言語学のたのしみ』(千野栄一、大修館書店、1980)の、78ページから79ページには、チェコのプラハでオーストリアのウィーンにいる、エバ・コーンという名前の女性が、ユダヤ人であることを千野栄一が当てたところ、会話の相手のH氏が驚いたという話が出ていた。コリア人の名前にも、左右対称ではない特徴が、あるので『官報』の帰化の記録を読むと、背景がわかる。
Q. 名前からその人の出自の情報が分かることはある。しかし、左右対称だから在日というわけではないと。では、なぜこのような話が出てきたのか?
A. 左右対称との文はウェブ上で発見できた記述では2000年8月13日の2ちゃんねるが初出だった。
金って字がつく苗字って
8 名前: 名無しさん 投稿日: 2000/08/13(日) 11:14
名字をたて半分に割ったとき、左右対称の名前がそうだ・・・って、
誰かが言っていました。でも友達の青木は在日ではない。じゃぁ、この説はウソなのか?
http://piza.2ch.net/company/kako/966/966123754.html
「誰かが言っていました」。以前からあったと解釈できる文であり、1999年の2ちゃんねるの開設以前から、都市伝説としてあったのではないかと推測する。左右対称という発想の理由について考えるならば、コリアでの、最多姓の「金」と使用するありふれた漢字の「山」、「田」、「本」からという点がある。
本当に在日だった人
Q. 在日認定はいい加減なものが多い。しかし、そのような中でも在日認定が、本当だったというケースはあるのか?
A. 矢沢永吉がいる。
1981年11月23日の市民講座をもとにした、『本名を阻むものについて』(金時鐘『本名をはばむもの』(調布・ムルレの会、1983)所収)の4ページにでているので引用する。日本の芸能界には、大変な数の朝鮮同胞が居ります。具体的に、名をあげるわけにもいかないのです。その人の、商売上の人格権に、関るから誰それというわけにいきませんが、本人が認めている限りでもかなりの人が居ります。一昨年ですが、後楽園で、五、六万人集めてコンサートをしたという、矢沢永吉ですが、彼は本人が、認めておりますので、日本の作家に紹介されて、会いましたが、本人もそれを個別的に認めている。映画俳優にもかなりいます。日本の売れっ子、スターといわれている女優たちも沢山いる。ただ通名で、消費機構のスターになると、自分の存在権の大きさもあるわけなのですが、やはり朝鮮名は、出さないということがあるわけなのです。歌謡曲を、作曲する側にも、沢山おります。日本で、よく売れているレコードの、少なくない部分が、同胞の作曲家が作っている歌なのですが、それはみな日本語です。これは、本人の意思だけではなくて、そうあっては、商売にならないと思い込まれている、またはそう思い込ませている仕組みがあるように思います。
 在日認定の起源としては、『週刊サンケイ 1965年5月3日号』(扶桑社)「在日韓国系有名人リスト第一線で活躍している女優さんから社長さんまで」が、印刷物となったもので見た中では最古だった。
Q. 逆に本当に在日なのに、まだ認定されていないというケースはあるか?
A. 最近判明したのはエハラマサヒロだった。
 カタカナで在日という印象がなかった名前は、漢字で書くと「江原正洋」となる。2003年10月31日の、『官報』の帰化の記録に「劉正洋:昭和57年5月29日生」とある人物は、エハラマサヒロ(本名:江原正洋、1982年5月29日 – )と生年月日が一致している。2018年、平昌オリンピックの開催地の平昌郡が、ある大韓民国江原(カンウォン)道が、劉氏の本貫なので、地名から通名にしたのではないかと考える。どのように、在日の名前を研究するのか

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