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フォワーダーの仕事を辞めたいと思います。


すみません、私ではありません。

今回は最近会社を辞めた後輩の話から、今の仕事を通じてお客さんとの向き合い方を考えてみました。


最近退職した後輩の話

先月、仲良くしてた後輩が会社を辞めてしまいました。
「他の業界も経験してみたい。」という理由と聞きましたが、もう一つ「自分ではどうしようも無い事でお客さんから怒られる事があまりにも多く、自分の中で消化不良が続いてた。」という話をしてくれたました。恐らくこれが退職を決めた本当の理由なんだろうなと思ってます。

2020年、コロナウィルスが世界中に蔓延し、各国の規制により飛行機が止まるなどサプライチェーンが大きく乱れ始めた時に、彼は今までの通関チームから私のいる営業所のカスタマーサービスに異動をしてきました。

お客さんから要求された物量を香港からのフライトに搭載する為に、当社の香港法人と毎日やり取りをしていました。1輸送あたり30PLT / *G.W.10tくらいあってかなり厳しい、というかあの状況では不可能に近い状況でした。コロナ前の輸送キャパシティーを100とすると、当時は30くらいまで落ち込んでおり、輸送機材の著しい減少がありました。現在でも60ほど

*G.W.=Gross Weight (総重量)

それで仕方なく、お客さんにはかくかくしかじかと説明をするのですが、当然受け入れられず色々なことを言われる日々がずっと続いてました。
コロナ禍2年目を過ぎた今でこそ、どれだけ国際物流網が乱れているのか、世の中に浸透していますが、当初はどのお客さんからも理解を得るのが本当に難しかったと思い返します。

今も、米国西海岸の混雑、ロシアのウクライナ侵攻、上海ロックダウン等々、国際輸送に影響を与える要因が次から次へと起きているわけですが、それも起きる度に、お客さん一つ一つの輸送レーンにどのような影響が出てきて、当社はどのような対応でリカバリーできるのかを迅速にお客さんへ提案しなければいけません。

今の混乱はコロナウィルスの世界的流行に起因するものですが、”いつ”終わるのか全く見通しが立たない状況に嫌気がさすのも理解できます。


絶対は”絶対”にない

どんな事にも言えるかもしれませんね。「絶対はない。」
でも、国際物流の仕事って不確実性の要因が多岐にわたると思ってます。例えば、天候などによる船・航空機の遅延、*Off-load/Split、道路渋滞、国ごとの規制などなど。

*Off-load:貨物が予定されていた航空機に積まれなかったこと。
*Split (荷割れ):100個の貨物を送ったとして、様々な理由により30個しか予定してた航空機に搭載されず、残りは別の便で遅れて到着すること。

殆どは天候です。それによる本船遅延でお客さんの指定する納期に間に合わない場合、「そういうことも加味して船便のアレンジをしてくれ」とか平気で言われるわけですが、世界中の天気を常に観測しているわけではないので、どう考えても無理なことです。

この仕事を8年していて「絶対に大丈夫」と言い切れた事は、まぁなかったですね。(笑)


国際物流のプロとしてお客さんを安心させる

そんな中で、私自身が日々心掛けているのは国際物流のプロとして自分なりの知見を活かして、お客さんに安心感を与える事です。

私も「絶対に大丈夫」とは言い切りません。100%後でお客さんを怒らせてしまうからです。(笑)
まず、言い方は色々ですが「不確実なので翌日やこの後にどうなるかわからない」という事を前提に、2~3つくらいの想定パターンを明示して、その中でもっとも安全と思われるもの提案します。複数のアイディア提示が大切で、お客さんに選んでもらいます。決定者はあくまでもお客さんです。

例えば、「上海から10CBMくらいある貨物を〇日までに倉庫へ納品しないと生産ラインが止まってしまう。」という物流業界のあるあるシチュエーションの場合。

  1. 予算度外視なら、Airで運びましょう。ただしOff-load/Splitの可能性もあります。でも工場出荷から2、3日でデリバリー可能です。

  2. 予算は決まっているが、Airよりも3~4日くらいは待てるなら*FCL+*HDSで輸送しましょう。万が一遅延すると1日ズレますが搬入日中の即日配送でリカバリーも可能です。

と提案ができます。

*FCL:Full Container Load 一つの荷主さんだけの荷物を積んだコンテナで輸送する事。
*HDS (ホットデリバリーサービス)  入港日中に陸揚げ・搬入作業を行うサービス。

他にもFerryを使うとかもっと多くの提案もできなくはないですが、2~3つくらいのアイディア提示がお客さんも混乱しないと思ってます。また、想定されるリスクとそれが発生したらどうなるかを忘れずにお伝えします。

更にここに、もう一つの要因を自分なりにプラスできたら大きいです。わかりやすいのは天候の話で、「週末は東シナ海が荒れますし、春先は上海港で濃霧が発生しやすい為、いつも以上に本船遅延のリスクは高い環境です。」と付け加えたら、すんなりとAirの選択肢が通ったりしますし、それが結果的に正解だったりします。


まとめ

後輩の退職を機に、この仕事でお客さんへの向き合い方を少し考えてみました。どんな仕事にも通ずる事だと思いますが、しっかり最後まで相手の話を聞いてあげる事、それだけでも相手側は安心感を抱いてくれるのではないでしょうか。フォワーダーの仕事は、日々あらゆる不確実性と時間との闘いに忙殺されますが、お客さんと会話する時は落ち着いて、最後までお客さんの話に耳を傾ける姿勢は忘れずにいたいと思います。

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