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人の嫌がることはしない

自分がされて嫌なことは他人にしない。自分より先に死んでいった人のためにその人の分も長生きする。人の嫌がることを進んでする。生きているだけで丸儲け。など様々な価値観がありますが、どれも正しくて、正しく無いのです。なぜなら自分の価値観と相反する価値観を持った人のことを批判することは争いの元だからです。正しい、正しく無いと判断するのではなく理解してお互いの価値観を進歩させるのが良いと思うのです。

価値観は人それぞれであり、育った環境や経験によって大きく異なります。

「自分がされて嫌なことは他人にするな」という価値観は、多くの人が共感できる普遍的な側面がある一方で、「人の嫌がることを進んでする」という価値観は、一見すると理解し難いものです。

しかし、その背景には、例えば、他人の成長を促すための厳しい愛、あるいは、あえて困難な状況に身を置くことで自らを高めようとするストイックな精神などが存在するかもしれません。

重要なのは、それぞれの価値観を頭ごなしに否定するのではなく、その背景にある考え方や感情を理解しようと努めることではないでしょうか。そうすることで、自身の価値観を見つめ直し、より多角的な視点を持つことができるようになるはずです。

価値観の多様性を認め、互いに尊重し合うことで、より豊かな社会を築いていけると信じています。

これから先は物語です。

都会の喧騒から離れた工業地帯。錆びついた鉄骨が複雑に絡み合う工場地帯の一角に、「ブラック・ドリーム社」という名の会社があった。そこは、誰もが顔をしかめるような汚れ仕事を専門に請け負う会社だった。

社長の男、黒田は、常に黒ずくめのスーツに身を包み、ギラギラとした目で周囲を見回していた。彼のオフィスには、高級な革張りのソファや、巨大なモニターが並び、その贅沢さは他の社員たちとの格差を如実に表していた。

「おい、今日も精々働けよ。お前らの汗と涙が俺の懐を潤してくれるんだ!」

黒田の言葉に、作業員たちは疲れ切った表情で頷く。彼らは、有害物質が漂う廃棄物処理場での作業や、暗く狭い下水道での清掃など、過酷な労働を強いられていた。

しかし、彼らの給料は雀の涙ほどで、生活は常にギリギリだった。
そんな中、一人の若者が声を上げた。彼の名はユウ。かつては優秀なエンジニアだったが、不況の波に飲まれ、この会社に流れ着いたのだった。

「こんなの、間違ってる! 僕たちは、まるで奴隷じゃないか!」
ユウの言葉に、他の作業員たちも共感の声を上げる。黒田は、その様子を冷めた目で眺めながら、口元に不敵な笑みを浮かべた。

「何を言ってるんだ? お前らみたいな役立たずを雇ってやってるだけでも感謝しろ!」

黒田の言葉に、ユウは怒りを通り越して、ある種の悲しみを感じた。彼は、この状況を打破するために、自分の知識と技術を活かしたいと強く願った。そして、ある計画を思いついた。

ユウは、会社の寮にこもり、日夜、汚れ仕事を自動化するロボットの開発に没頭した。彼は、廃棄物処理場で働くロボットには、有害物質を無害化する機能を搭載し、下水道清掃ロボットには、狭い場所でも効率的に作業できるよう、小型かつ高性能なカメラとセンサーを組み込んだ。

数ヶ月の後、ユウはついにロボットを完成させた。彼は、そのロボットを「クリーン・ドリーム」と名付け、会社に持ち込んだ。

「このロボットを使えば、危険な作業は全て自動化できます。そして、社員たちは、より安全でやりがいのある仕事に就くことができます」

ユウの言葉に、黒田は驚きを隠せない。彼は、クリーン・ドリームの性能を目の当たりにし、その可能性に気づいた。しかし、同時に、ロボットの導入や社員教育にかかるコストを計算し、顔を曇らせた。

「確かに、君のロボットは素晴らしい。だが、導入コストや社員教育にかかる費用を考えると、会社の利益が減ってしまう。今のままでも十分利益が出ているんだ。わざわざリスクを冒す必要はないだろう」

ユウは、黒田の言葉に落胆した。彼は、自分の考えが理解されず、受け入れられないことに深い失望を感じた。そして、会社を去る決意をした。

ユウは、自分の経験を元に、ブラック・ドリーム社をモデルにした物語を書いた。それは、技術革新と社会の変革をテーマにした物語だった。彼は、この物語を世に広めることで、多くの人々に自分の考えを伝え、社会を変えたいと願った。

ユウの物語は、瞬く間に人々の心を掴み、大きな反響を呼んだ。多くの人々が、彼の考えに共感し、社会のあり方について深く考えさせられた。そして、ユウの物語は、ブラック・ドリーム社にも届いた。

黒田は、ユウの物語を読み、自分の考えの甘さに気づいた。彼は、ユウの提案を受け入れなかったことを深く後悔し、会社を変革することを決意した。
黒田は、クリーン・ドリームを導入し、社員教育に力を入れた。

しかし、ユウは、新しい技術についていけない社員がいることも忘れていなかった。そこで、彼は、社内に「ドリーム・アカデミー」という教育機関を設立した。ここでは、ロボット操作の基本から応用、さらにはプログラミングまで、幅広い知識と技術を学ぶことができる。ベテラン社員が講師となり、マンツーマンで丁寧に指導することで、誰もが安心して新しい技術を習得できる環境を整えた。

ユウは、自分の力で会社を変え、人々の生活を向上させることができた。彼は、汚れ仕事はロボットに任せ、人間はより創造的な仕事に就くべきだと信じていた。


ユウの物語は、ブラック・ドリーム社を変え、社会全体に大きな影響を与えた。それは、一人の若者の勇気と情熱が、世界を変える力を持つことを証明した物語だった。

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