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921:エピソード2:小さな事件

エピソード2:小さな事件

いつものように、ソファでウトウトしていたヒロシ。ふと目を覚ますと、ゾロの姿が見当たらない。いつもなら、どこかにくっついているはずのゾロがいないことに、ヒロシは慌てた。もしかして、戸が開いていた隙に外に出てしまったのかもしれない。

ヒロシは焦って家の中を探し回り、庭や近所の公園にも探しに行った。ゾロの名前を呼びながら、必死に駆け回る。夕焼けが辺りを赤く染める中、ヒロシの心は不安でいっぱいだった。もし、ゾロがどこかで怪我をしてしまったら、迷子になってしまったら……。そんな暗い考えが頭をよぎる。

こっそりドアを開けて外に出ようとするゾロちゃん

諦めかけたその時、茂みの中からかすかな音が聞こえた。それは、ゾロの鳴き声だった。茂みを掻き分けると、そこには泥だらけになったゾロの姿があった。どうやら、近所の家の庭で遊んでいたところを、誤って茂みの中に閉じ込められてしまったようだ。

ドロンこになって遊んでいるゾロちゃん

安堵感から、涙がこぼれそうになった。ヒロシはゾロを抱きしめ、何度も名前を呼ぶ。ゾロは、そんなヒロシの温かい胸に顔をうずめ、安心したように眠りについた。

その夜、ヒロシはゾロをベッドに連れていき、一緒に眠った。ゾロは、いつもより少しだけヒロシに寄り添っていた。今回の出来事で、二人は今まで以上に深い絆で結ばれた気がした。

泥んこになっていたゾロちゃんを洗ってあげてまだ毛が濡れているゾロちゃんと一緒にベッドで寝ているヒロシ

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