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どうして境界性人格障害を「本気で治そう」と思えたのか—“治す治す詐欺”脱却のために

TwitterのDMにて、このような質問をいただきました。(一部編集しています)

「今までLINEやブログ等で話されていますが、どうして境界性人格障害を治そうと決意したのか、を改めてお伺いしたいです。
以前の私は、大きくショックな出来事が起きて『ガチで自分が変わらなきゃいけない』と自覚するまでは“治そう・治そう詐欺”なくらい決意しては簡単に揺らぎ、で生きてきました。そう言う人にガツンと響くような言葉を持ってるぱりこ(巴)さんなので、お話聞きたいです!」

実は今まで「境界性パーソナリティ障害を自覚した経緯」や「寛解のために何をやったのか」はわりと細かく書いているんですけど、
“本気で治そうと決意したきっかけ”についてはボヤかして書いているんですよ。

理由は色々ありますが、
◆微妙な距離の知人や友人に読まれたくない話である
◆性的な話、特に女性が気分を害しそうな話が含まれる
が代表的な理由かなと思います。

しかし、確かに色々な方からご相談を伺っていると、「今度こそ治すぞ!」と決意しては揺らぎを繰り返している人や、「調子良くなったと思ったのに、またぶり返した!」という人がめちゃくちゃ多いんですよね。

また、境界性パーソナリティ障害当事者の周囲の方から「どうして私の恋人/家族は病気を本気で治そうと思ってくれないんでしょうか。どうしたら治したいと思わせることができますか?」という質問もよく頂きます。

わたしの実体験を話すことで、そんな方々の心の曇りが少しでもうすくなればいいな、と思いこの話を書くことにしました。

この記事はどちらかといえば当事者の方向けの文章ですが、関係者・ご家族の方にもメッセージを書いています。執筆前にアンケートを取り、みなさんが知りたいと思うことや「こんな悩みを解決させたい」と思うことをできる限り盛り込みました。(協力者の方々、本当にありがとうございます)

公開時は1万6千字程度の記事でしたが、加筆に加筆を重ねて現在2万1千字越えの文章になりました。(2020.11.2現在)

ひとまずこれで加筆は終了しようと思いますが、もし今後加筆修正を行なった場合、購入者様は追加料金を払う必要なく更新分をお読みいただけます。
加筆更新後はお知らせをお送りしますので、「気づけなかった」ということもありません。ご安心くださいね。

※微妙な距離の知人に気軽な気持ちで読まれないよう、少々高めの金額設定にしております。個人名はもちろん記載しておりませんが、人によっては「これ、あの人の話じゃないか?」とお察ししてしまう可能性もあります。
購入は無料公開分や目次をお読みの上、自己責任でお願いいたします。


「治そう」と思うためにまず必要な「病気の自覚」

わたしは、たったひとつの大きな出来事が起きて「スパーン!!」と寛解を目指せたわけではありません。

そもそも、寛解を目指す前に「自分が病気か障害なのではと自覚したキッカケ」があります。(それまでは「単に性格が悪いのか」と思っていた)

1.本気で死にかけた
2.不倫して裁判を起こされた
3.不幸な恋愛が何度も続いた
4.心の支えになってくれた友人が突然死した
5.父親が高次脳機能障害になった

この辺の話は以前アップした記事に詳しく書いてあるので、ここでは割愛します。気になる方は読んでみてください。

上記の記事には書いていませんが、わたしが「性格の問題じゃなく何か障害があるのでは……?」と思ったのは、脳梗塞で倒れた父親を介護していた時です。

ネットで知り合った知人へ父の話をしていたら、「あなたの父親はアスペルガーではないか?」「アスペルガーは遺伝することも多い」と言われたので、わたしは最初「自分が生きづらいのは、父親から遺伝したアスペルガー要素のせいではないか?」とも思っていました。

結局その後、発達障害の検査は受けていません。
今後も受ける気はありません。
今はもう「診断を受ける必要がないし、どんな結果が出てもわたしの生き方は変わらない」と考えているので。

わたしは、境界性パーソナリティ障害であろうが発達障害であろうが、わたしが持っている「自分の性質」に合わせた人生を、自分自身の力でオーダーメイドしながら生きるだけです。

病気を自覚してくれない人に考えられること

よく境界性パーソナリティ障害当事者(と思われる人)の関係者さんから「本人が病気を自覚してくれない、どうしたらいいか」とたずねられますが、“他責思考が強い人”は病気の自覚を持てないことが多いです。

※他責思考……
自分に起こっている結果は、すべて他人の責任であるという思考傾向。

自分自身の経験と相談者さんの様子を総合すると、境界性パーソナリティ障害の方は「自責思考が強い(悪いのは全て自分ではないかと考える)」傾向がうかがえます。

わたしは精神科医ではないので診断はできませんが、他責思考が強い方は「自己愛性パーソナリティ障害」の可能性があります。
自己愛性パーソナリティ障害は境界性パーソナリティ障害と似たような症状が出るものの、当事者本人の心の中は“真逆”であることが多く、
・病気を自覚できにくい
・治療が非常に困難と言われる

という特徴があります。

「境界性」と「自己愛性」については考察したブログ記事がすでにあるので、こちらも参考にしていただければと思います。

◎それは境界性人格障害なのか、自己愛性人格障害なのか

とはいえ境界性パーソナリティ障害に“他責思考”がまったくないかというとそうでもないので(わたしも何かと人のせいにしていた時はある)、むずかしい所ですが。
個人的には、境界性であっても自己愛性であっても、パーソナリティ障害の寛解に必要なことは同じではないか、と感じています。

ただ自己愛性の方が境界性パーソナリティ障害よりも「自分で認めにくい」「治そうと思いにくい」かな、というだけですね。

境界性であろうと自己愛性であろうと、「あなたは心の病気じゃないか」と伝えたり、本人にわかってもらうには何よりも“信頼関係”が必要です。
恋人であろうと親子であろうと、当事者本人さんと信頼関係が充分に築けていない人はとても多いです。

信頼関係が充分でないのに、不用意に「あなたは境界性パーソナリティ障害という病気だと思う」と本人に伝え、逆上されたり音信不通にされたりしているケースをわたしはいくつか見ています。

本気で「治そう」と寛解を目指すに至ったポイント

わたしが本気で「治そう」と決意した、寛解を目指すに至ったポイントは以下の通りです。

1.「この人こそはわたしから離れないのかも」と思っていた元彼が離れた
2.性的にひどい目にあい、「自分で自分を幸せにしたい」と思った
3(おまけ).わたしを労ってくれる現パートナーと出会えた

わたしのエッセイ漫画を読んだ方から、「良いパートナーに出会えたから巴さんは寛解できたのだ」という誤解をよく受けますが、わたしは彼に出会う前からすでに“本気で病気を治したい”と考えていました。

※エッセイ漫画は下記マガジンより読めます

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