境界性パーソナリティ障害を治せたのは「治したくない私」を認めたから
オリジナル記事掲載日:2020年10月26日
「治したくない私を認めたら、
一生治せなくなるじゃないですか!」
と思うでしょう。
しかしわたしは
「精神不安定を治したくない私」
を認めたからこそ、
境界性パーソナリティ障害を
克服できたのです。
* * *
「人間は失敗も恐れるが、
成功も恐れる」
という話は聞いたことが
ありますか?
“成功を恐れる”といえば
心理学者のマティナ・ホーナー
(Matina Souretis Horner)が
1968年に提唱した
「成功恐怖理論」が有名です。
ただこの理論は、
どちらかというと
「女性のほうが社会的な成功を
収めることに対して恐れがある」
という話なんですよね。
根本は一緒かもしれませんが、
わたしは
「人が失敗だけでなく
成功も恐れるのは、
今の生活・今の自分が
変わることに恐れがあるから」
についてお話ししたいと思います。
* * *
わたしは約24年のあいだ
「境界性パーソナリティ障害」
という精神障害を患っておりました。
3年前に克服し、
現在はイラストレーター・
ライターなどと兼業で
心理カウンセラーをしております。
わたしと同じように、
10年単位で 長患いを
している方も相談に訪れます。
そういう方々のお話を聞き、
そこに自分の経験も合わせて、
「長いあいだ精神(情緒)不安定の
状態でいた人は、
“このままずっと治らないこと” よりも
“病気がすっかり治ってしまうこと”
のほうが恐怖に感じるのだ」
という考えにたどり着きました。
……という話をすると
3分の1くらいの方が
「そんなわけない!」
「こんなに苦しいんだから、
私は早く病気を治したい!」
と反発されるんですけどね。
精神不安定の状態が長く続くと、
「その状態が平常化
(その状態が自分の「ふつう」)」
になってしまうんですよ。
で、周囲の人たちも
「あの人は精神不安定な人だから」
と思いながら扱います。
“腫れ物に触るような”
って表現をよくしますでしょ。
「精神が健常な人」なら
許さないようなことも、
「精神が不安定な人だから」
という理由で大目に見るのです。
これは「しているほう」も
「されているほう」も
大体が無意識にやっています。
* * *
“特別扱い”に慣れた人々は、
「自分の病気がすっかり
治ってしまったら、
もう周りは特別扱いを
してくれなくなるのではないか」
という恐怖を抱えています。
あるいは、
「今までは苦しい時に
自傷やODや自殺未遂や
暴れたりわめき散らして
ストレス解消をしていたが、
病気がすっかり治ってしまったら、
もうその方法は使えない。
どう生きたらいいのだろう」
という恐怖もあるでしょう。
精神不安定な
状態がふつうなので、
“精神不安定な人の生き方”
しか知らないし、
「精神が健康な人は
どうやって生きているのか」
がわからなくなるのです。
その“想像もつかない世界”へ
飛び込むくらいなら、
「今の精神不安定な状態に
とどまっていた方がマシ」
というわけですね。
わたしが24年もの間
境界性パーソナリティ障害を
治せなかった理由は、
まさにそれです。
一生治らないことよりも、
「すっかり治った後、
どう生きていいか
わからなくなること」の方が
ずっとずっと怖かったのです。
そしてわたしは、 そんな
「精神不安定を治したくなくて、
恐怖におびえている私」を
ずっと認められませんでした。
* * *
多くの人は
「治したくない私を
認めてしまったら、
一生治せなくなるのでは」
と恐怖します。
だからわたしから
そういう話を聞いても、
断固として認めません。
しかしときどき
「ああ、そうです、
私は治すのが怖いんです」
というかたも
いらっしゃるんですけどね。
そういう方はやはり、
徐々に(時に劇的に)
回復していきますね。
どうして「治したくない私」を
認める方が回復が早いのかというと、
“自分の弱さを許せる”
ようになるからではないか、
とわたしは考えています。
境界性パーソナリティ障害に限らず
精神不安定に悩む人のほとんどが、
「強い私」「すばらしい私」
を望んでいます。
親や親族に厳しく育てられたとか、
誰かを頼ったり信じたりして
ひどい裏切りを受けたとか、
そういう理由で。
「強くならねば、
素晴らしくあらねば」
という思いが自分の心を
ズタズタに引き裂き、
よけい精神不安定を
悪化させているのです。
わたしはそれをやめた。
ただそれだけのことです。
この記事を読んでいて
今まさに苦しんでいるあなたは、
「強くならねば」
「すばらしい人にならねば」
という気持ちはありませんか?
* * *
先日、TwitterのDMにて
「私は、大きくショックな出来事が起こり
『本気で変わらなければ』 と思うまで、
境界性パーソナリティ障害
治す治す詐欺のようになっていました。
治すと決めては簡単に揺らぎを
繰り返していました。
巴さんはどうして、
そこまで『自分を変えよう』と
思えたのか、お話を聞きたいです」
というご質問をいただきました。
(ありがとうございます)
この件に関しては、アンケートを取り
noteで有料記事として公開しています。
かなり赤裸々な内容になっているので、
身近な人に気軽な気持ちで読まれないよう
少々お高めの設定にしております。
が、治す治す詐欺に陥っている方は
参考になるはず!
↓
それでは本日はこの辺りで。
ごきげんよう、さようなら。
◎もっとお手頃な境界性パーソナリティ障害対策記事もございます
* * *
アイキャッチ写真について
撮影:いしとびさおり(Tsubaki_Rokka)さん
→a modo mio.
(いしとびさんホームページ)
→Twitter@koto000
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