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自分と違う意見を見ると「否定された!」と思うのはどうして?

このSNS大航海時代で大変よくお見かけするのが、タイトルにある「自分と違う意見を見ると、否定されたように感じる人」です。

否定されたように感じた後の反応は各々違うんですけどね。
激怒してリプライしに行ったり、落ち込んで何も手につかなくなったり、いかに相手の意見がおかしいのかを切々と引用RTで語ったり。

もちろん直接ケンカをふっかけられたら「ハア!?」と思っても仕方がないんですけど、たまたま見た全く知らない人の、別に自分に言われたわけでもない意見を「否定された!」ととらえる人って多いなあ、と感じまして。

というか過去の私も、自分と違う意見を勝手に否定だと感じる人だったんですけどね。
なぜそうなってしまうのか、その心理をひもといていきたいと思います!

◆何でも否定に感じる人、そもそも自己否定が強いのでは

心理の世界では「自分が見ている世界は自分の心を映し出した姿をしている」というような言説があります。

「パートナーは自分を映す鏡」もそれですね。
そもそも自分がそうだから、相手もそうなんじゃないかと思ってしまう、という。

つまり、すでに自分で自分を日常的に否定しているので、周囲の意見や言葉がまるで自分を否定してくるかのように聞こえる(見える)のです。

よくお聞きするのが「過去の彼氏(彼女)に人格否定をされていたから、別れてからも人の意見が自分を否定しているように聞こえてしまう」とか、「幼少期、親に否定され続けて育ったので、親から離れた今も周りの意見が否定的に聞こえてしまう」とかなのですが……。

それはすなわち、心の中にちっちゃい親やちっちゃい元彼・元カノを飼い続けているってことなんですよ。

もっと正確にいうと、親や元彼・元カノの皮を被ったもう一人の自分です。

いま目の前にその人がいないにも関わらず、心の中で彼ら彼女らが自分を否定しにくるのだとしたら、それは自分の心が作ったもの=自分自身です。

それもまた自己否定の一種なんですね。

◆そもそも自分が常に周囲を否定的な目で見ている可能性も

世界は自分の心を映す鏡だから、周囲が自分を否定しているように感じる=そもそも自分が自分を否定している……

それともうひとつ、自分が周囲を否定している、という可能性もあります。

自分が心の中で周囲の人々や世界を否定しているから、周囲の世界や人々もまた、自分がやっているのと同じように否定してきているはずだ、と感じるんですね。

これは「私は簡単にできるのになぜあなたはできないの?」の話に通じますね。
 ↓

人は自分が簡単にできることを「周りも同じくらい簡単にやれるはずだ」と思いがちな生き物です。

国語が得意な人もいれば苦手な人もいる、体育が得意な人もいれば苦手な人もいるのと同じで、自分が簡単にできるからって周りが同じようにできるとは限りません。

それでも、「自分ができるんだから周りもできるはず」と思ってしまうんです。

それと同じ原理で、「私がやっていることは周りもやっているはず」と思い込むんですね。

いつも誰かに否定されているように感じるのは、そもそも自分が日常的に周りを否定しているからです。
私がそうして見ているのと同じように、周りも自分をそうして見ているはずだ、と。

まあでも何で周囲を否定するかっていうと、自分に自信がなかったり価値を感じられなかったりすることの裏返しなのですが……(周りを否定することで自己価値を感じようとする)。

結局やっぱり回り回って自分自身を否定しているから、周囲に否定されている気分になっている……なんですよね。

◆違う意見を持つことは、否定ではない

世の中には確かに、違う意見を表明するときに相手そのものを否定する人が存在します。

例)
「俺が嫌いなあの映画を好きなんて、お前は頭が悪い」
「私が支持しているあの意見を理解できないなんて、精神病じゃないか」等。

が、「私はこう思います」という意見表明には、違う意見の人を否定する意図は含まないはずです。

たとえば
「私はパクチーが好きです」
「そうなんだ。俺はパクチーは苦手なんだよね」
「そうですか、あなたは苦手なんですね」
みたいなことです。

パクチーが好きな人は苦手な人を否定していませんし、苦手な人もまた好きな人を否定していません。
ところが、

「私はパクチーが好きです」
「そうなんだ。俺はパクチーが苦手。あんなもの食べられる奴の気が知れない。舌が壊れてるんじゃないか?」
「あなたこそパクチーの良さが分からないなんて、子供ですね」

となると、急にお互いを否定したことになるのです。

で、自分の意見と違う意見を見ると否定された気分になる人は、世の中の意見をこういう風にとらえているはずです。

「私はパクチーが好きです(パクチーの良さが分からない奴は、みんな子供)」
「俺はパクチーが苦手(あんなもの食べられる奴の気が知れない。舌が壊れてるんじゃないか?)」

つまり、言われてもいない・言葉にもされていない部分を勝手に脳内補完して受け取り、「否定された!」と感じているのです。
相手はそんなこと思っていないかもしれないのに。

◆実はこれ、カウンセリングでよく見る光景

相手が言っていない部分を勝手に脳内補完する現象、実はカウンセリングでよく見られます。

私はツッコんで質問する人間なので、相手から「だって巴さんは〇〇って思っているでしょう?」という言葉を引き出して、「えっ、全然考えてませんでした」と返せますが……。

誰でもかれでもそんなツッコんで質問できるわけではないので、「どうせこの人は〇〇と思っているに違いない」と思い込まれたままの人もいるわけです。怖い!

というわけで「自分と違う意見を見るとすぐ否定された気分になる人」は、自分の脳内補完グセを意識したり、そもそも自己否定が強くないかチェックしてみたりしましょうね……という話でした。

えらそうに言っている私も昔はすぐ他人の意見を脳内補完したり(妄想ともいう)、自分で自分を否定しまくって「周りも自分を否定的な目で見ているはずだ!」と思い込んでましたからね。

そんな私でも徐々にやらなくなってきて、今はほとんどさっぱりやらないので、やはり意識することは大事です。

ごきげんよう、さようなら。

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