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境界性パーソナリティ障害は治りかけを一番用心したほうがいい
境界性パーソナリティ障害という精神障害があります。
どういう症状なのかは下記々事の無料エリアをご参照いただきたいのですが、怒りがコントロールできなかったり、気分の浮き沈みが激しかったり、やたらと死にたくなったりする心の病気です。
私は推定10歳ごろにこれを発症し、34歳の時に寛解(かんかい/症状が穏やかになること)しました。
それから4年(今年で5年か)経って思うのは、「境界性パーソナリティ障害は、治りかけで油断するのが一番やばかったな」ということです。
* * *
そもそも「100%天国!」と「100%地獄」の気分を繰り返すような病気なので、「良くなってきた」と思ってもただの症状の一環だったりする可能性が高いんですよね。
私も20代のころ何度も「もう自傷行為を何ヶ月もしていない! 治ったんじゃ!?」と思ったり、「最近、気分の良い日がずっと続いている! 治ったんじゃ!?」と思ったりして、その度にひどいぶり返しがやって来ました。
ぶり返しがやってくると本当に地獄なんですよね。「もう治ったんじゃないか」という希望に満ち溢れている時に「全然治ってなかった」という絶望のビッグウェーブが押し寄せてくるわけですから。
鬱々として暗く落ち込んだどん底の日々がずーーーっと続くことより、「治ったかも!」→「全然治ってない」が繰り返されることのほうが地獄でした(当時の私にとっては)。
まじ気分のジェットコースター。「もう降りたい、降ろして」と思っているのに、延々とジェットコースターが終着点につかない感じ。
ジェットコースターはどんなに怖くてもいつか終わることがわかっているから乗れるわけで、いつ終わるかわからないジェットコースターに延々と乗り続けるのは地獄以外の何物でもないですよ。何周しとんねん。私はジェットコースターは嫌いじゃないけど、好きでもないし。
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そもそもなぜ時期尚早な段階で「もう治ったかも!?」と思ってしまうかというと、
・物事を早急に進めたい(焦りやすい)性質がある
・自分に過大な期待をしている
・と同時に、自己評価が低すぎる
からかなーと思います。
焦りやすい性質を、当時の私は「そういう性格だから治らない」と思っていましたが、病気を克服してみると「症状だったのでは……?」と思います。
もちろん今でも少しは「早くどうにかなりたい!」みたいな希望があると思いますが、「まあ、なるようにしかなんねえべ」みたいな気持ちのほうが今は大きいんですよね。
今やっていることは何一つ無駄にならない自信があるし、「今すでに充分な自分」なので、今すぐ変わりたいとか今以上に良くなりたいという気持ちがあまり起きない。「絵が上手くなりたい」とは思いますけど、「まあ、今もそこそこ上手いんじゃね?」とも思っているし。
そう思うようになったのは、自分に過大な期待をしなくなったのと、自己評価が自分に合うものになってきたからでしょう。
「自分はもっとすごい人間になれるはずだ」「もっとすごい結果を残せるはずだ」「本当は何かデカいことをやれる才能があるはずだ」とか心の奥底で思っていたけど、まっっっったく思わなくなりました。
自分の技術や能力が高くなれば他人や世間から評価される(つまり「売れる」)、と信じていましたが、売れるかどうかは自分の技術や能力とはあまり関係ないんですよね。時流とか運とかもあるんです。
私が頑張ろうが頑張るまいが、世間は勝手に私を評価する、または評価しない時もある、ということがわかったら肩の力が抜けました。
あと、「他人に評価されないから私はダメだ」と思っていたけど、「そもそもなぜ他人の評価=自分の価値なの?」と思い始めたら、低すぎる自己評価も改善されました。
ていうか自分で自分の評価が低いことにすら気づいていなかったんですけどね。私は0点、いやマイナス100点の人間である、と疑いなく思っていました。今思えば「なぜそんなに……?」と不思議なんですけど。
自分の考えや気持ちや能力に100%自信がなかったんですけど、「自分がダメな人間である」ということには100%の自信を持っていました。
「自信がないです」という人は、自分が欠落人間であることにだけは100%の自信を持っているんですよね。私もそうだったけど……。
本当に自信がないなら、自分がダメ人間だと言い切る自信もないはずなのに。なんでそこの自信だけ異常にあるの……?
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なんか話が逸れた気がするので戻しましょう。
とにかく、自分に境界性パーソナリティ障害の症状があると思う人や診断済みの人、そしてそれを治そうと頑張っている人は、「良くなったかも」「もう治ったかも」と思い始めたらそこが正念場ですよ。
今思うと、境界性パーソナリティ障害って「調子こきやすい」障害だったなあと思うんですよね。おだてられてすぐ木に登るタイプっていうか。
調子がいいとすぐ油断する。そこまで注意深く生きていたのに、急に注意力散漫になる。
私はたぶん5回くらい「ぶり返し」をして、「私、調子こきやすい人間だわ」と理解したので、本当の寛解に至るときは2年ぐらいずっと油断しないように過ごしていました。
だから公式には34歳で寛解したって言ってるんですけど、実際に症状がほぼ出なくなったのは32歳の時なんです。
そこから2年、ずーっと、「油断するな、またぶり返すかも知れんぞ」「0か100の100のターンにいるだけかも知れない」と思い続けていました。
その注意力と言ったら、密林に身を潜める帰還兵の如しです。
そうしたらいつの間にか「なんか全然死にたくない」「全然カッとなってブチ切れない」「パートナーと穏やかに仲良く過ごしている」自分になっていることに気づいたので、ヌルッと「たぶん……寛解しました……」みたいな感じで寛解を宣言したんです。
治りました〜〜〜〜! やった〜〜〜〜〜! みたいな、パッと明るい感動的な感じじゃなくて。
「たぶん……寛解……したんじゃないかな……? いや多分……わからんけど……なんか『普通』だし……。えっ、これが寛解……? マジで……? こんなヌルッとしたやつが……?」
てかんじで。
ということで、「病気(境界性パーソナリティ障害)が治る」ことに過剰な明るさや幸福を期待している人は、やめたほうがいいと思います。
全然そんな感じじゃないです。めちゃくちゃヌルッと「え……? これでいいの……?」みたいな感じで治りますんで。
まあでもそこから数年経つと、自信は回復するし、ちゃんと生活も仕事もできるようになるし、「地球に生まれてよかったー!」みたいなテンションの時もきますんで、まあ、そんな悲観なさらず。
私は経験者ですが、あくまで「私の場合は」の話なんで、もしかしたら上記とは違う治り方をする人もいるかもしれません。
一意見としてお聞きください。ごきげんよう、さようなら。
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