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試し行動がやめられないのは、過去もらえなかった愛情を「今」もらおうとしているから

愛情の試し行動(行為)をしてしまう
境界性パーソナリティ障害
(または、類似症状の精神疾患)
の人は、なぜそれを
「いけない」と思っていても
やめられないのでしょうか?

「あのとき欲しかった愛情」を
「あのときの子供のまま」で
ずっと欲しがっているからです。

* * *

note移行前のブログで、
人気1位2位記事は
こちらの2つでした。
 ↓
境界性パーソナリティ障害の「試し行動」を止める対応とは?

境界性パーソナリティ障害の彼女は「試し行動」をする

別に相手が境界性パーソナリティ
障害じゃなくても、
「愛情の試し行動」で
困っている方は多いようです。

で、上記の記事では
「なんで試し行動を
やめられないか」
  ||
「自信がないから」

とシンプルに書いたのですが、
ひとつの問題行動につき
ひとつしか原因がない
訳ではありません。

複雑な心理が絡み合った上、
さらにトドメを刺すのが
「自分に自信がないから」
なので、そういった
書き方をしました。

ということで本日はその
「複雑に絡み合った心理」
のひとつである、

「あのとき欲しかった愛情」を
「あのときの子供のまま」で
ずっと欲しがっているから


について書きます。

* * *

けっこう多くの方から、
こんな質問をいただきます。
「幼い頃の愛情が足りなくて
“今”問題行動を起こしているから、
いま私が目一杯愛してあげれば
治りますよね?」

確かにそれも一理あるのですが、
完全な「YES」とは言えません。

ここがまた複雑なんですけど、
「5歳の時に寂しい思いをしたら、
5歳の時の愛情が欲しい」
んですよ。

「5歳の時の愛情不足を埋めるために、
25歳の自分が恋人からたくさん
愛情を注いでもらっても足りない」
んですよね。

これ、意味わかりますか?

わかりやすい一例を出すと、

「5歳の頃、お母さんが仕事で忙しくて、
自分に全然かまってくれなかった」
のだとしたら、

「もう一度5歳に戻って、
お母さんが仕事をほどほどにして、
5歳の自分とたくさん遊んでくれる」

が大正解です。

「現在の恋人が、お母さんの代わりに
25歳の自分に愛情を注いでくれる」
じゃダメなんです。
だって欲しいのは
「お母さんの愛情」なので。
「恋人の愛情」じゃないんです。

じゃあお母さん本人が
愛してあげれば解決するの?
というと、それも違います。

「当時30歳だったお母さんが、
50歳になった今、
仕事をほどほどにして、
25歳の自分へ必死に愛情を注ぐ」
ではダメなんです。

「もう一度5歳に戻って、
お母さんが仕事をほどほどにして、
5歳の自分とたくさん遊ぶ」
が大正解なので。

そう、要するに
「タイムスリップしてやり直せ」
ということです。
無理でしょ?

自分の要求が無理だと
無意識の内にわかっているから、
境界性パーソナリティ
障害の人たちは
「死んで生まれ変わって
イチからやり直したい」
と思うんですよね。

* * *

私は境界性パーソナリティ障害を
自力で治療(寛解)してから
早4年たちます。

なのでよく
「どうしたら治せるんですか?」
と聞かれるのですが、
この“タイムスリップ”を
行った訳です。

バック・トゥ・ザ・フューチャー
みたいにタイムマシンを
開発した訳じゃないですよ。

「夢の世界では、
あり得ないことが現実になる」
ものですよね。
それと同じく、「心の世界」も
“あり得ないことを現実に”
できるのです。

心というのは自由なので、
タイムスリップも可能です。

私は色んな心理ワークを利用して、
お母さんの愛情が欲しかった
小学1年〜5年生ごろの自分に
何度も会いました。

高校生の自分や
20代の自分もたくさん
傷ついてきたので
彼女たちも癒してきましたが、
一番よく会ったのは
小学生時代の自分です。

恋人にも友人にも
「今のお母さん」にも
誰にも埋められなかった
「子供時代の自分が持つ
心の穴」を、
必死で埋めに行ったのです。

誰にも癒せない
「子供の自分」を
癒せるのは、
「私自身」だけだと
気づいたから。

そして今の私がいます。

* * *

このブログや他の場所でも
再三「寛解を早めるには、
周囲の人の協力が必要」
だと伝え続けているのですが、

それは「周囲の人が正しい
対応をすれば、本人が治る」
という意味ではありません。

本人が必死で
心の穴を埋めている時に、
横から余計なことをして
穴を広げるんじゃねえ、
邪魔すんなすっこんでろ、
という意味です。
(おっと口が悪くなってしまいました)

もちろん、周囲の人の対応で
「本人の治したい心を強める」
ことは可能です。

でも最終的に、
病気を治すか治さないかは
「本人(自分)が決めること」です。
周囲の人が決めたり
コントロールできることでは
ありません。

素人の方々はもちろんですが、
カウンセラーの私も
「完治させる」ことはできません。
周囲の人間には、
「サポート」しかできないのです。

* * *

ではそのサポートをする上で、
大事なことをお話しします。

それは、
「過去もらえなかった愛情を
過去の姿のまま求めている
その人を否定しないこと」
です。

周囲の人がよくやる大NG対応は
「そんなこと今(さら)
言ったってしょうがない」です。

今言ったってもう
取り返しがつかないことは
本人もちゃんとわかっています。

精神疾患のせいで
話が通じない当事者さんを
「頭が悪くなった」かのように
扱う人が非常に多いですが、
別に知能が下がっている
訳ではありません。
本人はちゃんとわかっています。

わかっていることを
いちいち突きつけるんじゃねえ、
ということです。

* * *

最後に。「今」の本人に
愛情を注ぐのは無駄かというと、
そんなことはありません。

ただ、人間というのは
欲深い生き物なので、

「病気を治してもらうために
愛情を注ぐ」をしていると、
本人に治る兆候がないと
だんだん腹が立ってくるんです。

「自分はこんなに頑張って
こうしてやってるのに、どうして」
って。
心当たりありませんか?

また、腹は立たなくても
自分が死にたくなる人もいます。
「何で自分は役に立てないんだ」
って。

そんな風に思って腹を立てたり
落ち込んだりするのが
本人さんに一番悪影響なんで、
だったら過剰な愛情なんか
注ぐのはおやめなさい、
ということです。

自分は見返りを求めず、
腹も立てず、落ち込みもせず、
本人の様子がなかなか
変わらなくても、
ひたすら愛情を
注ぎ続けられるほど
心の強い人間です!
と言うのであれば、
ぜひそのまま頑張ってください。

私は見たことがありませんが、
そういう才能がある人も
きっとこの世のどこかに
いるはずです。
それがあなたである可能性は
否定できません。

それでは本日はこの辺で。
ごきげんよう、さようなら。

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