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映画を言葉に!音声ガイドから見た映画①~ディスクライバー編~

「GWはうちでドキュメンタリーを観よう!」略して「#うちドキュ」特集記事、第2弾は音声ガイドディスクライバーのコメントをご紹介します。

そもそも「音声ガイド」とは…

映像を言葉で説明するナレーション!!

主に視覚障害がある方が映画などの映像を鑑賞する際に使われていて、映像の情景や人物など目から入る情報を言葉にします。
美術館や博物館で借りる作品解説ガイドとは違うものです。
例えば下の画像のような場面だと…

BF説明

「太郎がボールを追いかける」というふうにナレーションします。

そんな音声ガイド制作に欠かせないのが「ディスクライバー」「ナレーター」そして「モニター」です。
今回は「ディスクライバー」をご紹介します!

「ディスクライバー」とは?
音声ガイドの台本を書く人。
セリフや演出のキーとなる音とかぶらないようにナレーションの尺や位置を調整します。また、映画の演出を伝えられるよう描写する情報を取捨選択したり、聞く人が理解しやすい言葉を選んだりと繊細な作業が求められます。

今回はそんな「ディスクライバー」の皆さんが、制作した#うちドキュ配信作品にコメントを寄せてくださいました!
※回答に一部ネタバレがありますのでご注意ください。

◆ディスクライバーのコメント

★質問内容★
①作品のイチ押しシーン
②音声ガイド制作にあたって難しかったところ
③伝わるように心がけたところ

【東京干潟】風呂美穂(ふろ・みほ)さん

東京干潟

©TOKYO HIGATA PROJECT

①イチ押しのシーン

終盤、台風が近づく中で、「シジミのおじいさん」がある準備を始めるところです。「おじいさん」の人柄と、監督との絆にグッときました。

②難しかったところ
「おじいさん」が住んでいる、河川敷の小屋の描写です。
見かけによらず、中は清潔で機能的、ということを伝えたかったのですが、やりすぎて逆に「豪邸に聞こえる」と言われてしまって。
もちろん書き直しました!

③何が伝わるように心がけたか。
音声ガイドのナレーターは監督ご自身がされると決まっていたので、まるで最初から映画の一部のような、シンプルガイドを心がけました。
その分、作品に没入して、思いもかけない物語が立ち上がってくる過程を楽しんで頂けましたら嬉しいです。

【蟹の惑星】田口玲江(たぐち・れいこ)さん

蟹の惑星

©TOKYO HIGATA PROJECT

①イチ押しのシーン

干潟をびっしりと埋め尽くす蟹のシーンは圧倒されます。
個人的には『クロベンケイガニ』のちょっとグロいシーンが異様な雰囲気を醸し出していてお気に入りです。

②難しかったところ
蟹の部位の名称、体の仕組みが分からなくて、どう描写すればいいのか悩みました。普段見れないような細かい部位が映っているので「これは口?」「この部分は顔?」等、調べても出てこなくて苦労しました。

③何が伝わるように心がけたか
吉田さん(追記:映画の登場人物。15年間蟹の観察をしている方。)の想いからズレないように書くことを心がけました。あと、6種類の蟹が出てくるのですが、同じ蟹でもビジュアルも生態も全然違うので、それぞれの蟹をイメージしやすいように意識して書きました。

【オキナワへいこう】松田高加子(まつだ・たかこ)さん

オキナワへいこう

©大西暢夫/NPO法人kokoima

①イチ押しのシーン
この映画の中でのキーアイテム、大西監督が撮影した登場人物の益田さんの写真。伝わるといいな、と不安に思いつつ、これを視覚を使わずに鑑賞する人にはどういう写真がイメージされるのだろうかとそこにワクワクしたりしています。あとは、やはり山中さんの身の上に起きることですね。
撮影している大西監督ご自身の喜びが伝わってきます。スーパーでお刺身選ぶシーンが好きです。

②難しかったところ
イチオシシーンと同じになりますが、 大西監督が撮影した登場人物の益田さんの写真。
山中さんの秘密のラジオのシーンです。

③何が伝わるように心がけたか
病院の日常です。
長年かけて撮影してきた大西監督が見せてくれる映像は、
監督の目を通じて見られる院内の隅々の景色だと思います。
そして、沖縄の景色。海を眺める益田さんの背中。
普段なかなか足を踏み入れることのない領域が見られる映画です。
全体的には平和な雰囲気の映画ですが考えさせられることがぎゅっと詰まっています。

【まひるのほし】ヨネザワサチコさん

まひるのほし

©「まひるのほし」製作委員会

①イチオシのシーン
ひとつではないのですが、登場する7人それぞれの制作シーンです。
圧倒されました。そのあと、いろんな思いが湧き上がってきて、それを誰かと話したくなりました。

②難しかったところ
完成した絵や陶芸の描写です。私の捉え方が、他界された佐藤監督のものから外れていたらどうしようとグルグルしました。
山上プロデューサーの「あなたの解釈を解釈として書いてくれたらいいんです」というお言葉で踏ん切りがつきました。

③何が伝わるように心がけたか
タイトルの言葉は、作中、一度も出てきません。そのかわり、あるがままの7人が映し出されます。
その監督の意図を反芻しながらガイドを書きました。

***
今回は音声ガイドディスクライバーの目線から作品の魅力をお伝えしました!映画のシーンをひとつひとつ大切に見ているからこそ分かる魅力が盛りだくさんでしたね。

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