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ツタンカーメン堂 『神秘の世界展』 / インタビュー
ツタンカーメン堂『世界の神秘展』開催前に、取材を申し込むも対面でのインタビューは不可とのこと。しかしながら電話取材であれば、と陶磁器制作担当者を名乗る方にご対応頂きました。
前回個展『フェイクニュースとトゥルーラブ』から二年。未だ謎に包まれたツタンカーメン堂の正体と今回の出展内容に迫ります。
”末端なのでよく分からない”と言いつつも、かなりの事情通と思われる陶磁器制作担当者による解説をどうぞ。
展覧会詳細はこちら
http://www.pakupakuan.jp/exhibition/worldofthemystery.html
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ーということで、今回初めて知るお客様のために、まずはツタンカーメン堂の紹介からお願いします。
はい、ツタンカーメン堂は「生活をもっとおもしろおかしく」をモットーに、世界各地から集められた専属作家を・・・あれ?なんだっけ?急に聞かれたので忘れちゃいました。
どこかに書いてあるのでコピペでお願いします。
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“ツタンカーメン堂は「生活をもっとおもしろおかしく」をモットーにしたセレクトショップです。
ツタンカーメン堂専属作家が、世界各地の不思議なものや歴史的なものなどをモチーフにして作ったものを、自分たちでセレクトして販売、提供しています。
なお、ツタンカーメン堂の製品は、仏像制作や陶芸制作に携わり、洗練された日本の伝統技術を取り入れた専属作家により制作されています。
そのため、高級な素材(染付、漆、金箔)などを用いたハイクオリティーな生活雑貨を提供することが可能となっています。”(ツタンカーメン堂webより)
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ー前回の『フェイクニュースとトゥルーラブ』から二年の間に経営体制や営業方針などの変化や近況があればご教示ください。
そういったことは全部統括本部が決めておりますので、私どもの方に細かい情報は降りてきてないんですけども、「これからはAIを使った感じでやっていきたい」という話はFAXで流れてきましたね。
ー内容の割にアナログな連絡方法ですね。
これからは宇宙時代なのでAIを使ってイノーベーションを起こしていきたいとのことでした。
ーその成果は今回の出展作品にも反映されているのでしょうか?
そうなんでしょうね。きっとね。かなり反映されていると思います。
ーAI的な要素が反映されているのはどれでしょう?
私たち末端の人間にはよくわからないんですけど・・・
FAXでの指示が届く前段階、統括本部の方では相当AIでやってるってことでした。
ーではデザインから発注の時点までのどこかにAIが導入されてるんですね。
そうですね。どこまでAIにコントロールされているかは、現場の人間にはわかりません。
ーということは制作担当者の皆様はクリエイティブな部分について関与はされてないんでしょうか?
はい、うちは下請けの下請けなので。精密な図面とかが来るんですね。それに合わせて一応プロとして、きちんとその通りに作って納めるということをしてます。
ーなるほど、それで詳しいことについてはわからない部分もあるんですね。
そうですね。私たちの方でお答えできる部分とそうでない部分がありますね。すみません。
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ーいえいえ。お忙しいところありがとうございます。ちなみに統括本部も含めたツタンカーメン堂の規模はどのくらい・・・?
私たちにも詳しいことは明かされてないんですけど、GAFAと並ぶくらいか、と聞いてます。本当はGAFATでいけるんですけど、一応隠さないといけないんでGAFAでやってもらってるみたいです。そこに入っちゃうと色々めんどくさいですからね。いろんなしがらみが出ますので表沙汰にはしてないそうです。
ーなるほど。そうなるといよいよお伺いできることも限られてくるかと思いますけれども。
では『神秘の世界展』、どのあたりが見どころになるんでしょうか?
今回、統括本部の方からは世界の神話とか伝説とかに重きをおいてるのかなー、って感じの発注が来たので、なんとなくそんな感じかな、とは思っております。
ーちなみに前回以降様々なアイテムが増えてますね。今回は全て新製品ですね。
あ、そうですね。きっとそうだと思います。
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ーそんな新製品の気になるポイントを一つずつお伺いするんですけれども、お答えいただける範囲でお願いします。今回は世界の神々を中心に蓋物が充実しています。
「蓋物で行こう」っていうのは去年の企画会議の時点で決まってたみたいです。今年の流行は蓋物で、ということだそうです。この後たぶん全世界的に来ると思うんです。ツタンカーメン堂は世界に先駆けてリードしている企業、むしろ流行を決定している企業ですのでこれから確実に来ることになっています。
ーツタンカーメン堂さんにはエージェントとかリサーチャーさんも多くいらっしゃるんですね。
エージェントの動きは大いにありますね。先ほどの蓋物はダボス会議で決まってます。
ー制作に関しても各国の支部があるんですよね。
私は日本支部の陶芸担当なんですけど、木彫担当っていう人もいて。ただ私は木彫担当には会った事ないんです。あとガラス担当とか、世界各国に金工とか樹脂担当とかいるみたいですね。
ー今回は製品の素材ラインナップもかなり増えてます。全部日本国産ですか?
国産です。今回は全てメイドインジャパンで揃ってます。円安なのでやっぱり日本で作らせるのが一番安いみたいですし。
ーじゃあ今回はメイドインジャパン推しの良いタイミングでしたね。
とはいえそもそも本部が操ってますからね。円安もツタンカーメン堂が誘導してますから。
ー円安にして日本でたくさん作って一気に世界に・・・
打って出よう、というタイミングですね。
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ーガラス製品も新たに加わっています。
あの重なるやつ『レイヤー皿』ですね。陶器の部分は私が作ってますのでお答えできます。重ねると顔相とかが分かる。
ー見ての通りですね。
特に説明無しでいけますね。これは面白いから色々展開もあるんじゃないですかね。幽体離脱できますしね。
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ー幽体離脱、お好きですよね?
本部がね。
ーなかなか核心に触れられないですね・・・
風の噂ですけどね、ガラス担当者も最初慣れるまでは大変だったそうですけど、最終的にはペンで書くみたいに彫れるようになったとのことでした。これは既製品のガラスに彫ってあるみたいです。
ちゃんと気を使って裏側に彫ってあるから、表側はつるっとしてて使いやすいよ、って言ってました。
ーガラス担当の方とは交流があるんですね。今回は重なるタイプの製品も多いです。
あー、やっぱり蓋物の流れでしょうね。重ねたい。重ねるの来るよ、っていうか決まってるよ、っていうことでしょうね。
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ー使い勝手が気になるのは『捕獲皿』ですかね。
まぁ、ざる蕎麦とか天ぷらとか、中に氷を入れて刺身とか、なんでも使えますよ。オールマイティです。網の部分についてはとにかく色々考えてやってみてください。
ー蕎麦を盛るには網が大きくないですか?
大丈夫です大丈夫です。意外と落ちないです。私は使ったことないですけど。なんだったら網じゃなくて縁の方に蕎麦を置いたら良いですよ。オシャレな盛り付けです。それに太い田舎蕎麦とか、ビャンビャン麺とか太い麺なら大丈夫です。ざるビャンビャン麺、いいですね。
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ーその流れで『安摩セット』と『蘇利古セット』。これは何でしょうか?
平安時代から神に納める舞楽があるらしいんですけど、そのお面がね、面白いんですね。顔の前に布みたいなのをビラーンとかけて踊るんですけど。そのお面と人の顔がセットになる。踊る時は顔にずっとつけてるみたいですし、オンとオフを切り替える感じで楽しく使えるのではないでしょうか。
ーところでご担当者さんの方で制作されていて、よくわからないお品物とかはありました?
『平田篤胤スプーンセット』ですね。あれは作っていても意味がわかんなかったです。
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ー製品紹介のテキストには「わかる人にはわかる」と書いてありましたけれども、担当者さんもご存知ではない?
私はわからないです。ええ。気になる方はご自身で調べてください。GAFAのGのところで。
ー今回クラーケンがフィーチャーされてますね。
たぶん好きなんでしょうね。統括本部が。もしかしたら予言かもしれないですね。海の中から何か来るんじゃないか、みたいな。予言めいた何かを感じますよね。
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ー錫製品が増えました。これについてもお伺いできますか?
これは錫担当の仕事なのであまり詳しくはないんですけど、担当者は「曲げられる」ってことを強調してました。自分の手で好きな形に変えられるよ、っていうのがイチオシだそうです。型で量産出来るぞって興奮していました。
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ー都市伝説や神話が並ぶ中で「鵜飼」モチーフが出てくるのは結構唐突な感じがするんですけど・・・
いやいや鵜飼はすごく不思議ですからね。世界の神秘のひとつじゃないですか。なんで鵜に魚を捕らせてるの、っていう。どうしてそんなこと思いついたんだろうと思います。鵜としても捕らせるだけで食べさせてもらえないのは不思議でしょうね。
ー鵜に一回飲み込ませた魚を反芻させるというのはすごいですよね。
吐き出させるんですよね。ただね、うがいってあるじゃないですか。風予防の。あれは鵜飼からきてるんですって。知ってました?あのガラガラペッは鵜飼から来てるんですよ。神秘的ですよね。
ガーゴイル片口っていうのもありますけど、これもうがいですから。鵜飼は日本のガーゴイルです。全部繋がってますよ。
ーいつも木彫担当の方が仏像とか仏教モチーフのお品物を制作されてますけど今回はラインナップが薄いですね。
引退したのかも、って噂もあるくらいで。会ったことないのであんまわかんないですけど。今回統括本部からも「木彫メインで行こう」みたいな話があったんです。だから私としては「じゃあよろしく」って思ってたんですけど。気がつけば陶芸担当の私がめっちゃやらされてメインになってるんです。それも神秘的ですね。
ーどこかしら木彫担当の方のニュアンスが錫製品とか鵜飼のパーツとかにも来てるなって感じもありますけど。
それも統括本部の方針ですけどね。きっとこれから来るんですよ。
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ー気になったのは『天使割山椒』ですね。日本的な器とキリスト教的なモチーフが混ざっていて、グローバルなヴィジョンを持つツタンカーメン堂ならではです。
そうですね。天使ってめっちゃ種類がいて羽の数が違うらしいんです。それが神秘的で割山椒にぴったりだな、って誰かが気づいたんでしょう。割烹とか料亭で使って欲しいですね。天使が料理に現れる。
ー『麺職人どんぶり』も衝撃的でした。麺が飛び出てます。
あの麺職人の技は凄いですよね。惚れ惚れします。
でも私としては陶芸の技術的には普通だし、麺は別に全然神秘じゃないじゃんって気はしたんですけど。ただ統括本部が作れって言うので。
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ーでは陶芸担当者さんが技術的に「やってやったぞ!」みたいなアイテムはありますか?
あー・・・あるかなぁ・・・?
あっ!ピアスです。ピアス。何が凄いって接着剤が凄いです。シリコンと陶器って全然くっつかないんですけど、ついに探し当てたんですよ。日本の技術の粋を見たぞセメ○イン。凄いのを探し当てて何でもくっつく。それが凄い。
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ーそれは担当者さんの技術じゃないですよね・・・?
探し当てる技術です。ホームセンターでダウンジングして探し当てました。
ー『日宮陶筥』は大作ですね。
原作というか現物の絵があるんです。それをみたら「統括本部はこれを蓋物にしたかったんだな」って感じが伝わるかと思います。そのまんまの絵がFAXで送られてきたのでその通りに陶器にしました。この上に神様が住んでるらしいんですけど、じゃあ下は何なんだよっていう。ツッコミどころが凄い。
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ー中には何もない。
空洞の世界がある。深いですね。
ー地球平面台皿も気になります。
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今でも信じる人たちがいるらしいんですよ。地球が平面であることを主張している団体「平面地球協会」。地球が平面であることを観測するために色々やってるらしいんですけど、凄い情熱ですよね。確かに私たちもこの目で実際に丸い地球を見たわけではないですから。確かに平面かもしれない、とは思わないことはないですよね。
ー可能性はゼロではないかもしれない?
流れた海の水はどこに行くのかは気になりますけど、私たちは既成概念に囚われすぎてるからそう思うんでしょうね。
ーしかし統括本部からこれが提示されている、ということは何かしら示唆的なものを含んでいるのでしょうか?
「もしかしたら」ってことかもしれないですね。数年のうちに「実は平面でした」っていう発表があるかもしれない。そこに対する布石みたいな製品かもしれない。
ツタンカーメン堂の製品には全て予言的な示唆を含んでいるわけですから。
ーそれでいえば「人魚織部」も・・・
これから明らかになるかもしれませんね。
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ー個人的に気になるのがケーニヒスベルク皿ですね。これはどういった意図で?
これも神秘ではないじゃないって感じですけど。有名な数学の問題で一筆書きの可否証明ですね。全ての橋を一度だけ渡って全てのエリアに足を踏み入れることができるか?と。実際にドイツのケーニヒスベルクの街がこんな形で四つに分かれていて、四つのおかずが載せられたら凄い便利、ってことで作れと言われたんだろうと思います。問題を解きながら数学の勉強にもなる知育皿ですね。
ー余談ですけど、哲学者のイマヌエル・カントが暮らした街がケーニヒスベルグで、今年は生誕300年のメモリアルイヤーです。4月22日が誕生日でした。
うそ!同じ誕生日です。これはアツい話ですね。それはもうカントファンにお求め頂きたいですね。カントのファンアートですこれは。
ーまだまだ気になる点はたくさんあるんですけども、お時間が近づいてきました。大体のことは商品説明の欄に書かれているので、それを読んだ上で皆さん気になる点はご自身でお調べください、という感じですかね。
そんな感じで大丈夫です。皆様それぞれ勝手にGAFAのGに頼ってください。
ーそれでは最後に。陶磁器担当者さんの方で「これはぜひ!」というイチオシの製品があれば。
インドの神様シリーズですね。『ヴィシュヌ神スプーンセット』とカーリーとシヴァの蓋物とか。そのあたりが推しです。
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ー・・・なぜですか?
ヒンドゥー教の神様、良いですよね。今まで知らなかった分野ですけど、色々調べると本当に面白いですね。カラフルなのも良いです。カーリーは生首をアクセサリーにしてかけてたりと悪そうな感じもよくて。日本の仏教にも繋がりますし。ここで言えるのはそれくらいですね。あとは皆さんご自身でお調べください。
~ 世界の神秘と都市伝説が、一堂に ~
南青山・白白庵 企画
ツタンカーメン堂 『神秘の世界展』
会期:5月11日(土)~19日(日)
*木曜定休
時間:午前11時~午後7時
会場:白白庵、オンラインショップ内特設ページ
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