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どんな言葉が返ってくるだろう

退職願を提出した。10年勤めた会社を退職するまでのカウントダウンが始まった。

この半年、人事と話し合いを重ねてきた。
わたしは正社員という安定した地位を失いたくないとずっと思っていた。
いくら体調が悪くても、出社する意思があることを伝え続けていた。

「働くこと」自体は好きなのだ。

いや、働く自分が好き、というのが正しい。

休職期間は満了していた。
だから有休を消化しながらマイペースに働かせてもらっていた。

会社にはすごく配慮してもらっていた。
具合が悪くて2週間休んでも不都合のない環境を与えてもらっていた。

充分甘えさせてもらった。本当にありがたかった。ホワイトかよ。

主治医は「仕事を手放してはいけない」と診察の度にわたしに言ってきた。生活に困ることは避けねばならないからと。

きっと、生活が苦しくなっていく人たちを見てきているんだろう。
わたしもその考え方には概ね賛成していた。


ところがある日、人事からこんな言葉が出てきた。

体調不良の従業員を無理やり働かせ続ける会社は、
良い会社と言えるだろうか。

その言葉に、ハッとさせられた。

体調不良なのに出勤し続けるって、冷静に考えればおかしな話だ。

あぁ...そうだ、目下のわたしの仕事は体を治すことだったわ!
心配ばかりかけて、すみませんでしたァ!

…ただねぇ…それって退職してくれって暗に言ってますよね。

そちらからは、明確に言えないですよね、強迫になるから。会社としては不利になるから。あなたにとっては保身。

わたしから退職させてくださいと言わせたいわけですね。

わかり味が深過ぎてドン引きです!

…だったら、こちらから一言。言っていいっすか?

休職複数回取得可能という制度を作る気はありませんか。

あー。ないんですね。残念でーす。

きっと、そうならざるを得なくなってくると思いますよ?時代の流れで。
考えるいい機会だと思いません?

退職の意志は人事、経理、直属上司、同僚と、わたしと直接関係する人たち数人に伝えている。

まだまだ内密だ。
今のところ伝えた人は全員、最初は驚いた。

次に「それが良いよ」「体調が悪いのによく出社し続けた。お疲れさま」「まだまだ人生長いから大丈夫」わたしの背中を押してくれた。
励ましてくれた。

わたしが今の会社で働き続けたいと思っていた理由は、正社員という立場だけでない。
優しい人が多いということもあったのだ。

さて、これから徐々に会社内にわたしのことが伝わっていくと思う。
その時、どんな反応が返ってくるだろうか。

もし「辞めないで」「期待していたのに」「また休職するとか、なんとかならないの?」みたいな返答だったら、その人はわたしのことを利用する気満々だったと判明することになる。
もう、わたしはそういった【いい人そうに見えて実は...】って人に、いいように利用されたくないのだ。

わたしは屈折した人間なので、その辺を最後に見定めせていただこうと思う。フフ…


(おしまい。フフ…)