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【体験談】メンタルヘルスに思うところ

私が初めてメンタルクリニックの"門をたたいた"のは、2017年春のことだった。(詳しくはマガジンにまとめています) 

しかし、道として私の前に示されたのは、その時が初めてではなかった。

門をたたいたのは、2度目の道の先だった。


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話は2014年頃にさかのぼる。

部署異動して1年くらい経ったときのこと。胃の膨張感、吐き気、ゲップ、夜ベッドに横たわると胃から逆流してくる感じ、朝になると喉ががヒリヒリと痛い状態が続いていた。胃腸内科へ行くと、胃腸薬が処方された。胃酸過多、胃酸の逆流、胃腸炎、食道炎が起きているのだろうのこと。

1か月ほど薬を飲み続けた。薬を飲んでいると症状は和らいだ。1か月後、もう薬を止めても大丈夫だろうと私は思って、そのまま断薬した。しかし症状はぶり返し、再び私は胃腸内科へ行った。

すると医師から「君はここでは治らないから、違うところへ行きなさい。紹介状を出します」と言われた。私はそこまで大きな病気なのだろうかと不思議に思った。

会計で出された紹介状には「○○心のクリニック」と書いてあった。心療内科を紹介されたのだ。胃の不調は精神的なものだと言いたいのか? 胃腸薬じゃ治らないからって、きっと匙を投げられたんだ! と怒りの気持ちが湧き上がった。

一方で、私はすぐにその心療内科に電話をかけた。紹介状分の費用は回収したいという、変なケチ臭さを発揮したのだ。電話に出た事務さんに「初診なんですけど」と言うと「初診は平日だけです。予約制です」とのこと。平日5日は仕事をしているから、行くのは難しいなと思った。

一応、予約するならいつが最短か聞いてみると「1か月先になります」と言われた。なんじゃそりゃ... 心療内科って精神的に苦しい人が助けを求めて行くところなのに、1か月待たなきゃいけないのかよ。私はなんだかあほくさくなって結局、心療内科を受診するのは止めた。紹介状はゴミ箱行き。

その後も、毎日胃酸は口へ上がってくるし、胃が膨張してパンパンで苦しい状態だった。けど、胃腸内科の医師の投げやりな態度と、心療内科の事務さんのめんどくさそうな口調を思い出すと、悔しくて、やるせなくて、絶対自力で治してやる! と強く思った。

寝るときはベッドの上半身部分に布団を重ねてリクライニング風にして、胃酸が上がってこないようにしたり、食事は消化の良いものを食べたりして、気合いで乗り切った。時間はかかったけど、胃酸過多は治った。その後、胃カメラをしたら、胃炎の痕がたくさんあります、胃下部は慢性胃炎と言われてしまったのだけど。


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あの時の胃の不調がストレス反応だと医師が思い、心療内科の紹介状を書いたのは正しかったのだと思う。だって、数年後にそれがぶり返しているから。救急搬送された私が「メンタルクリニックに行こう」と決めたのが早かったのも、初診駆け込みOKなところを探したのも、以前に道が示されていたから。以前は道を途中で回れ右した。2回目は、直進した。

心療内科に通うようになり、セカンド、サードオピニオン的に様々なクリニックに電話してみた。人気のところは初診が3か月後、半年後になるという状態。ひどいと初診そのものを受け付けていない(いつか再開しますって感じ。)どれだけの人が、そこに、何年、通い続けているのだろうか。

私は、東京都心ビジネス街の駅近クリニックの待合室に座る、サラリーマンたちの俯いた姿が、ずっと忘れられないでいる。日本でなにが起こっているのだろう。