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さよなら親知らずくん(1)

ついに、親知らずを抜きました日記です。

ダラダラと長い歯医者の描写があります。
苦手な方はブラウザバックでお逃げくださいませ。
自分で書いていても情緒がどこかへ行ってしまいました

ついに、というのは、定期的に歯医者へ通うことウン十年「親知らずは将来的に抜いたほうがいいですね」と言われ続けていたものの、虫歯になっていないのだからよくね? という建前のもと本当のところは、横倒しで歯茎に埋まっている歯を歯茎を切って、歯を割って、術後も熱が出るだの、腫れるだの、痛むだの、ネガティブな情報満載だったため、ビビッて抜歯を後回しにしていました。抜かないで済む方法が将来誕生すればいいのになんてことをビリーブしていたかったのです。無理でしたけど。ある日朝起きたら、親知らずがきれいに生えている平行世界に生きたかった人生でした。

まぁ、そんな都合の良い話は現実存在しませんで、40歳になる前には抜かなきゃだろうなと鼻をほじりながらボケーっと思っていたところに、歯肉のポケットさんが悲鳴を上げ始めて、こいつぁもう逃げらんねぇなあ、べらぼうめぇちくしょうめぇ、観念して抜いてやらぁてやんでえ江戸っ子の心持ちで「親知らず抜きます。私の気持ちが変わる前に、ささっとお抜きなすって!」と宣言。小学生のときに歯を4本抜きましたので、今回はたった2本抜けばいいのです。半分ですから全然大丈夫です。へけっ!と私は笑って、担当の爽やか先生にお願いしました。「1時間くらいで終わると思います」先生の声色はいつもと変わらず淡々としたもの。 親知らずは様子を見ながら、1本ずつ抜くことになりました。

この先の描写はあくまで私の場合です。
抜歯方法や抜歯後の経過は個人によって異なります。
私は平均より傷の治りが遅い体質だと思うので、ご参考までに。・・・いや、参考にもならないかも!

1本目抜歯するぞ

抜歯前日、よく眠れました。ハイ、体調は万全。不安の自覚はなし。よっしゃー!イケる!イケるぞ!

でも。歯医者に到着して待合室で座ってると、呼吸が浅くなっている自分に気がつきました。脈をとってみると、早い。ドクドクドク。ええ、私、緊張してますね。気持ちを誤魔化したってダメ。体は正直よ。アップルウォッチをつけていたら「心拍数が120BPMを越えました」って表示されそうね。なので、ここでストレスコーピングの出番。呼吸法を試してみます。ゆっくり鼻から吸って、ゆっくり口から吐く。繰り返す。うん、落ち着いてきた。

「パジャマさーん」
さあ、呼ばれました。時間です。もう、まな板の上の鯉です。好きにしてくれい!

メスが入るぞ

局所麻酔を打って歯茎を切開。痛みはなし。毎度、麻酔の素晴らしさに感動します。この世界に麻酔があってよかった。ありがとう開発してくれた科学者たち。

歯を削っていると焦げる匂いがダイレクトに鼻をつく。ちょっとむせそうになりましたが、助手さんの空咳(花粉かな? 乾燥かな?)の方を気にしてたら、不思議と引っ込みました。

先生の手が力を込めて歯を引き抜こうとしている。アッ、下あごが、下あごが外れそうです! 私、顎関節症の気があるって、知ってるよね! 助けて! 助手さんがあごを支えてくれたが、雰囲気だけである。私が頑張るしかない。全身に力を入れて、踏ん張る。「ンゴ、ガ、グググ…」変な声が出ました。

「大きな音が鳴りますよ。」先生が心配して言ってくれるが、歯医者の機器のキキキギギギギギィ!って音、私はむしろ好きです。機械音に囲まれると恍惚とするという癖が私にはありまして(この話はまた別の機会にでも)ああ、もっと、もっと激しく、君の声を聞かせてくれぇ! キキギギギィィィィィー! 私の脳内ではライブ会場でのコールアンドレスポンスが続きました。フゥ~!

40分後。傷口を縫合してもらって、ついに抜歯が完了しました。止血のためにガーゼを噛んだまま10分椅子に放置されていた間、私は事後の疲労でウトウトしてしまいました。そして、先生は「まぁ… 腫れると思います… にっこり」と言い残し、処置室を去っていきました。換気のために開けられた窓から、冬の始まりを告げるひんやりとした透明な風が流れ入る、爽やかな晴れの午後のことでした。

抜き終わったぞ

帰宅してもダラダラ続く出血。体は今、むっちゃ戦っている。可愛い血小板ちゃんたちがフィブリノゲンを使って傷口をふさごうとしている。かっこいい白血球さんたちも細菌と戦っているのよ! 私は、はたらく細胞 第2話を脳内再生していました。

麻酔が切れ始めた頃に、細胞たちへの栄養補給という援護射撃に勤しみました。夕食です。口が半分も開かないので、ちょっとずつゆっくり時間をかけて口の中へ運びました。抜いた方で噛めないので、反対のみで噛むカムエヴリバディ。これが疲れるのなんのって。でも、ご飯は美味しかったです。傷を刺激しないように、熱いもの、刺激のあるもの、固い物は避けました。

食事も大仕事だけど、その後の歯みがきも大仕事。傷口を触らないように。抜いた親知らずの手前の歯を、ワンタフトブラシで注意して磨きました。ハイ、ここ、今回の記事で最も重要です。そう、ワンタフトブラシです。普通の歯ブラシだと、どうしても傷口触っちゃうんですよね。親知らず抜歯後の歯みがきにはワンタフトブラシをおすすめします。100均でも売ってるよ!

痛み止めを服用すれば痛みはないのですが、血の味で口の中が不快で当日はあまり眠れませんでした。念のため、捨ててもいいタオルを枕に敷きました。朝起きて枕が血まみれになってたら、ショックじゃない?と思って。眠れなかったから、意味はなかったんですけどね。

翌朝は顎が少し腫れていました。口の中側の頬肉も腫れています。出血は減ってました。口が前日よりも開かないので、ご飯も一苦労(でも、変わらず美味しい。)

腫れのピークは抜歯から24時間後。おたふく風邪のような容姿になりました。頬、顎、首筋のリンパが熱も持っていて、手で触ると痛い。触らなければちょっとジンジンする程度。痛み止めが効いています。「これを貼っておけ!」と私の顔の腫れ具合を見た父が冷えピタを出してきましたが、腫れの熱は治すときの炎症反応ですから「冷やしずぎると逆効果で、治りが遅くなるかもしれんのよ」と、父には最新の情報をお伝えしておきました。自分の免疫には頑張って戦ってもらう! ますます口が開かなくなってきて、食事がしんどいのなんの。苦行かな? 

もう大丈夫だぞ

3日間、抗生物質を飲みきって、痛み止めも必要なくなりました。※ちなみに、抗生物質について、私はニューキロノン系でアレルギー症状が出たことがあるので、セフェム系を出してもらいました。セフェム系は大丈夫でした。

さて、抜歯から1週間経ちました。抜糸です。(抜歯と抜糸、同じ読みだね)ちょっと痛いかな? 痒いかな? と、ほんの少しだけ不安な感情を抱いての処置室。エプロンをつけてもらって先生を待つ。目の前のテレビ画面に宣伝がループしてるのをホケーっと見てたら、5分待たされた。やっと先生登場。パチパチと糸を切ってもらう。痛みゼロ、1分で処置終了。アッ、なんて簡単なの~ 

まだ歯茎に穴は開いているし、歯肉と内側の頬肉は少し腫れ感がある状態。でも、外見には腫れはなくなって、顎を触っても痛むことはない。これで、人前でマスクを外してもダイジョウブイです。

抜いた側の歯を使って、ご飯をやさしく噛めるようになりました。口も9割開くようになりました。人間の持っている自然治癒力すごい。ちゃんと治るね!

口の中の腫れが引いたと実感し、ご飯を左右両側で無意識に噛めるようになったのは、抜歯から10日が過ぎてからでした。もちろんまだ穴は開いていて食べかすが入ってしまうけど、神経質にならなければいいだけで、もう普通に過ごせるようになりました。

歯みがきはワンタフトブラシがまだ活躍。抜歯した部分を刺激しないことに、とにかく意識を向けていました。「穴は自然にふさがります。食べかすを出そうと穴をほじくらないように。触ってはダメですよ。食べかすは勝手に出てくるからね」と先生は言いましたですよ。まーそのとおりで、軽くうがいをすると、おもしろいくらい食べかすが出てきました。不思議ですよね。歯肉は下から盛り上がるように再生し、食べかすは詰まったままじゃないんだ… 人間の体はうまくできてるなあ。

(いつかの抜歯2本目につづくと思う…)