見出し画像

感覚と自己満足の世界

パンまるです!

今回は『感覚と自己満足の世界』というテーマでお話ししたいと思います。

私がパン屋で働いていて感じること

まず、パン職人特有の話です。

例えば、パン屋さんで働いていて、わからないことやできないことがあれば先輩に質問して教えてもらいますよね。

ですが先輩は丁寧に教えてくれようとしますが、なかなかすぐ理解したり、上手にパンを作ることができません。

先輩はわかりやすく丁寧に教えてくれているのに、なぜできないのか?

答えは簡単で、最後は自分の感覚を掴むしかないからです!

きれいにパン生地を丸めることができなかったら、先輩に相談しますよね?

もしくは、先輩から指導されると思います。

「こう意識すると上手にできるよ!」

「こうなるからきれいに丸められるんだよ!」

様々な言葉で自分の感覚を表現しようとしますが、最後は本人の手が感覚を覚えないとできないのです。

・これくらいの硬さ

・これくらいの温度

・これくらいの張り

・これくらいの色

など、職人の世界では、本人のものさしでしか表せないような表現がたくさんあります。

だから、手に職をつけるというのは、感覚やセンスを磨くことなのです。

さらに言えば、料理や製菓など道具を駆使して作業する職人とは違い、パン職人は直接手で感じ取って作業します。

また、季節の気温や湿度に影響され、日々形を変えるパン生地は、言葉や文字に表せない感覚を磨くテクニックが必要になります。

だからパン作りのテクニックを教えるのは難しいんですね。

大切なことは、

『たくさん数を練習して感覚を掴み、上手な人に見てもらう。』

ということです。

感覚を掴むには数回練習したところで変わりません。

たくさん数をこなして上手な人に見てもらうことで感覚を身に付けます。

パン作りは『感覚を探しながら、教えてもらう。』ことが大切です。

自己満足

パン屋で働いていると、「この人、自己満足だな」と思うことがよくあります(自分も含めてよくあることです)。

「形がきれいじゃない。(バラバラ)」

「同じ人が焼いているのに、焼き色が違う。」

「袋詰めが雑。」などなど。

パンに限らず、職人に多いことなのでしょう。

通常の会社員などのビジネスマンなど違い、自分の技術や想像力からものを生み出さなければならない職人たちは、自らの最大限のクオリティーのものをお客様に提供しなければなりません。

しかし、このクオリティーというのは『自己満足』で終わってしまいやすものです。

さらに言うと、100点を目指さず70点合格ラインで止まってしまう人。

ひどい人は、赤点回避であればいいという考えの人もいます。

パン作りでいうと、

「このくらいの焼き色でいいだろう。」

「こんな感じかな。」

「これならギリギリお店に出せる。」

で終わってしまう人が多いです。

しかし、このような気持ちで作った商品は、必ずお客様に伝わります。

「食べづらい。」

「買いにくい。」

「美味しそうに見えない。」など、

特に常連のお客様にはシビアに見抜かれてしまいます。

一方で、たくさんのファンを虜にするお店があるのも事実です。

『ここのパンはいつもきれい!』

『焼き上がりにムラがない!』

『通ってて気持ちがいい!』と、

お客様に感じてもらえるように努力を惜しまないお店です。

これらのお店には良い意味の「自己満足」が存在します。

言葉を変えると、

『納得』と言えるものです。

自分の生み出すものに『納得』して売り出す。

ファンを獲得するお店にはこの納得の品が並んでいます。

自己満足と納得の違い

では『自己満足』『納得』の違いとは何か?

それはプロ意識の高さだと私は思います。

自分が作るものをただの商品と見るか、人に喜びを与えるものなのか。

売り上げを見るのか、買う人の笑顔を見るのか。

この違いです。

70点のパンを作ってしまった場合、

自分の作るものを商品としか見ていない人は、「これくらいでいいか。」という気持ちでお店に出します。

しかし、相手の顔を想像しながらものづくりをする人は、『これでは食べる人に喜ばれない。』という気持ちでお店には出しません。

ものづくりをするとき必ず、

『お客様の存在を意識する。』ということが大切です。

これは売り上げにも影響してくることです。

70点のパンをお店に出すか出さないか。

70点のパンを「出すお店」「出さないお店」

売り上げが良くなるのはどちらか?

きっと『出さないお店』が結果良くなるでしょう。

一見、70点のパンを売ったお店の方が売り上げは良く見えます。

70点のパンが『売り上げ』になったお店と『廃棄』になったお店ですからね!

しかし、この70点のパンを買ったお客様の気持ちを想像するとどうでしょうか?

「また来たい!」と感じるお客様は少ないでしょう。

比べて、90点以上しか売らない!というお店に来たお客様はどう思うでしょうか?

「また来たい!」と感じるお客様がきっと増えます。

これがファンというものです。

ここで大切なことは、

『目先の売り上げにこだわらない。』

ということです。

「あまりきれいにできなかったけど、もったいないから売ろう。」とせず、『これはやめて、きれいに作ろう。』としましょう。

その判断がファンを獲得することに繋がります。

合格点を高く設定しましょう!

まとめ

今回、感覚と自己満足の世界というテーマで大切なことをいくつか紹介してきました。

『たくさん数を練習して感覚を掴み、上手な人に見てもらう。』

『自分の生み出すものに納得して売り出す。』

『お客様の存在を意識する。』

『目先の売り上げにこだわらない。』

毎日仕事に追われていると、いつしか『ものづくり』『作業』に変わってしまいます。

「これでいい。」「これが正しい。」そういう感覚に陥ってしまいやすいものです。

この感覚が根付いてしまうと、「自分は間違っていない。」と思うようになり、自分のミスを認めなかったり、周りのやり方を否定するようになります。

それでは、場の雰囲気も良くないですよね。

今回のテーマに共通して大切なことは、

『相手や周りを意識して、お互いに感覚を高める。』ことです。

相手や周りを意識することで自己満足がなくなり、お互いに感覚を高めることで自身の合格点を上げ、高品質なものづくりをすることができます!

私自身も自分で満足せず、周りの感覚をすり合わせるようコミュニケーションを取ろうと、再認識しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?