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キュウリの収穫やってきた【農業バイト記録#3】

農業初心者の私は、キュウリがどんな風に実るのかすら知らなかった。
考えたこともなかった。

キュウリ畑を見てまず最初に浮かんだ感想が
「小学生のときやった朝顔やん」だった。


やっぱり農家は偉大だよ

キュウリは上に上にツルがどんどん伸びていく。
棒を立てたりネットを張ったりして、人の手で誘引してあげる。
私は今回収穫から参加させてもらうことになったワケだが、どう考えてもコレ、芽を出し始める最初の段階しんどそう。

キュウリなんて高くても1本せいぜい100円120円だ。
大量に採れるからこその価格設定だが、その1本が実るまでにとんでもない苦労が凝縮されている。
畑に足を踏み入れてたった30秒でそんなことを思わされた。
やっぱ農業ってすげぇ。

今回お伺いした農家さん(以下Tさん)では、1500本のキュウリ苗が植えられているらしい。
1500本というのがどういう規模なのか私は分からないが、別件でバイトさせていただいているKさん曰く(TさんとKさんは友人同士)
「家庭菜園レベルで10本。二人稼働農家で300〜400本。このあたりが基準じゃないかなぁ。1500本は想像できない」
と語っていた。
どうやらヤバい規模らしい。

朝5:00〜7:00での収穫作業だったが、全員合わせて7人で取り掛かった。
その人数で途中休憩なしでミッチリ作業して、なんとか1500本を取り終えたというような感じ。
こうして文字に起こしてみると、なんだかすごい規模なのかもしれないという実感がちょっとずつ沸いてくる。

キュウリの採り方

Tさん宅が納品している市場では、キュウリの品質に5段階のランク付けがされているそう(太さ、長さ、重さによって決まる。選別作業ではこれを細かく見極めていく)。
SS、S、M、L、規格外。
SSサイズが最も人気があり、高値で取引される。

SSサイズというのがだいたい20cm。
これは剪定ハサミと同程度の長さだ。
私のように初めて参加したアルバイターは、みんな最初に「このハサミと同じくらいの長さのものを収穫してください」と教わる。
おぉ。この基準はわかりやすい。私のような並列思考が苦手な人間でも、かなり務まりやすい作業なのではないだろうか。

さらに品質を確定付ける要素がある。
「まっすぐ」か「曲がっている」か。
よりまっすぐなものの方が価値が高い。

まっすぐタイプ
曲がっちゃったタイプ

曲がっているものは成長しても曲がったままなので、実が小さいうちから切り落として規格外として処理してしまう。
味は全部同じなのだが、見た目が重視されるのは人間界でもキュウリ界でも変わらないらしい。
世知辛ぇ。

収穫するときはツルを上から下に見ていき、規定の大きさのものをハサミで切り取る。
難しいのが「隠れているキュウリ」を見つけること。
キュウリ自体が緑色なので、パッと見だけでは見逃してしまうことも多い。
特に、ツルが地面を這うように生えているところに実をつけているキュウリに関しては、雑草を掻き分け踏まないように注意しながら探していく必要がある。
この地面に近いキュウリを見つけるのはどんな人がやっても見落としがあるらしく、何日も誰にも見つけられず500mLペットボトル級にまで成長してしまった個体がちらほら残っていたりする。
コイツは完全に規格外になってしまうので、非常にもったいない。
完璧に見落とさないのは無理なのだが、なるべく100%に近づけるような丁寧さが求められるので、苦手な人は極端に苦手な仕事かもしれないとも感じた。

おそらく4〜5日くらい誰にも見つからなかったキュウリ。おばけサイズ。

人によっては障害になりそうな要素

農業を始めたい人はワクワクした気持ちでその一歩を踏み出すと思うが、予想外のところで壁にぶつかるかもしれない。
キュウリ収穫において「これ、ダメな人はダメかもなぁ」と思う要素をいくつか見つけたので残しておきたいと思う。

クモ

いわゆる女郎蜘蛛。
これは私もかなり苦手。
幸いそこまでバカでかいサイズの個体にはまだ遭遇していないが、キュウリに寄ってくる虫を狙って巣を張るヤツらが後を絶たない。
「昨日ここに蜘蛛の巣なかったから」といって注意力ゼロ状態で突っ込んでいくと顔面に先制パンチを喰らうことになる。

ハチ

ミツバチ&クマバチ。
これはかわいいので私は平気。
ただ、ミツバチでも思ったより重低音で羽音を立てることを、このキュウリ収穫ではじめて知った。
その重低音を聞いたことのない人は、とんでもなくデカい虫が近づいてくると感じてビックリしてしまうかもしれない。
クマバチはミツバチの4倍くらい重低音。まじバイク。
正直、羽音だけ聞くと私も未だに一瞬背筋が凍る。でも頑張って密を集めているのを見るといつの間にか可愛く思えてくる。

日差し

暑さ対策ということで、早朝5:00から作業をはじめるのだが、5:45くらいには日が昇り始めて直射日光ガンガンの元で作業することになる。
キュウリの実は自分の身長以上のところに成っていることも多く、上を見上げると太陽が目に痛い。
これはサングラスをかけることで回避している。

振り返り

決められた大きさ・長さの個体を収穫するということで、かなり分かりやすい作業だった。
同じことの繰り返しandスクワットを何回もする、みたいな時間が続くので、苦痛な人もいるかもしれない。
総合的に、私は好きな作業にカテゴライズしている。

キュウリにはトゲ(?)があるので、基本的には手袋とアームカバーを装着して作業するのだが、その装備だと腕時計を見ることができないという問題が発生する。
だが、腕時計を見ることなくなんとなく時間を把握する術を身に着けたのでここに残しておく。

まず、7月〜8月であれば、「日が昇り始めて眩しいな」と感じたら5:45。
そこから、活動時間の早い働き者のミツバチがちらほら確認され出すのが6:00。
ミツバチの活動が活発になってきて、ほぼどんな時も彼らの羽音が耳に入ってくるような状態になったら6:20。
風が吹いていても汗ばみ、太陽がジリジリになってくるのを感じたら6:45。

「いやお前、個人の感覚すぎるやろ」と言われればそうなのだが、ブログなんてそんなもんやない?笑
こんな小さな情報でも、誰かの役に立つ日が来るかもしれない。
これからキュウリをはじめる人、ぜひ参考に。

最後に、ここの畑はすぐ隣が結構大きめの川。
水音に癒やされながら作業するのがとても気持ちいい。
(水栓のない畑は水やり問題を乗り切るのが大変だが、近くに川があるとそこから揚水できるので爆アドらしい。)

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