【連載】お人好しのキツネ その9【短編童話】
「まったく。君は本当にお人好しだな」
周りのみんなは口をそろえてキツネに言いました。
キツネは少し笑いながら、どんぐりを池に投げ込みました。
「お願いします。リスくんが今年も問題なく冬を越せるようにしてください」
キツネはそう言いましたが、湖に変化は起こりません。
みんなは口々にどうしてだろうと言いました。
そこへ、フクロウに連れられてリスがやってきました。
「みんなリスくんが やってきたぞ。さっきからそこで隠れておったんじゃ」
実はリスはずっとそばでみんなの願いが叶う瞬間を見ていました。
「みんな本当にごめん。僕がいろいろいたずらをしてしまったせいでみんなに迷惑をかけてしまった。キツネくんに声をかけたたときも、実は僕は冬眠の準備は終わっていたんだ」
リスがそう謝ってもアライグマの怒りは収まりません。
「君のせいでキツネくんの願いをかなえることができなかったんだ。キツネくんもなにかいったらどうだい」
アライグマがそう促しても、キツネは首をふるばかりです。
「僕は何もリスくんに言うことはないよ。いや、一つだけあるかな。冬眠の準備が終わっていてよかったよ、リスくん」
キツネは笑顔でそう言いました。
リスは申し訳無さそうな顔をしました。
「みんな本当にごめん。もう二度とこんないたずらはしないよ。誰かを傷つけたり、騙すようないたずらは二度としない」
「うん、信じるよ」
キツネはそう言ってリスと握手をしました。
そうしてみんなの心が一つになった時に、濁っていた池が光り始めました
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