見出し画像

1週間ホームレス日記3日目

*フィクションだと思って読んでいただければ幸いです。

後輩の家

 朝目が覚めると、箱の中だった。時間を確認するとチェックアウトまで2時間程ある。サウナと水風呂に入るため、下に降りた。平日の朝から風呂に入る人を人間観察するのは面白かった。ネクタイを整えるサラリーマン、中東系の外国人の団体、談笑する大学生など、多種多様な人間が浴場にいた。お風呂が人々を魅了する理由についても考えたいと思いながら、目の前の12分時計を見てまだ5分しか経ってないことに悲しくなった。

 風呂から出てInstagram を開くと昨日投稿した、関空の寝床のストーリーに反応がいくつかきており、今日の家が決まった。後輩との待ち合わせは京都の北大路に20時、それまでにやることは荷物置きにしている部室で服などの装備を替えることだけである。梅田の紀伊國屋でノートとペンを買い、サンマルクカフェで昨日の夜に考えたことを整理することにした。整理をはじめると、梅田のサンマルクという環境に依然としてオーストラリア帰りの服のままの自分が気になってしまい、頼んだものを足速に食べ、出てしまった。もうどうせ会わないであろう他人の目を気にしてしまうのをどうにかしたい。

 阪急に乗り、部室に向かう。桜の季節ということもあり、平日の阪急電車には多くの人がいた。烏丸で市営地下鉄に乗り換え、今出川で下車。3年間、学生生活をしている今出川まで帰ってくると、他人の目が気にならなくなった。変な大学生というラベルを他の人からされているであろう、という安心感があったからである。部室では次の日のキャンプの準備と生活に必要なものをモンベルの80Lザックに詰め込み、私服に着替えた。これでだいぶ普通の大学生に近づけた?部室でEfootballをし、時間を潰し、後輩との待ち合わせ場所の北大路の王将に向かった。


その時の写真

 王将の前に到着すると、poroの格子状のシャツにジャケットを羽織った7:3の青年が立っていた。彼こそが今日泊めてくれる後輩である。まだ一回生の彼はこの春で私たちの大学を自主退学し、新たにパイロットになれる学部のある大学に新たに入学するらしい。3回生にもなり、休学をし色々な国をふらふらしようとしている自分と「ハッピーフライト」という映画に惹かれ中学生の頃からパイロットを目指し、行動をしている3個下の後輩を比べ、圧倒的な差を感じ笑いそうになる。親にどのような教育をされたのかを彼に質問しながら王将を食べ、加茂湯にむかった。

 加茂湯では、後輩と王将の話の続きをしながら、自分も今後子育てをする時が来たら参考にしようと感じた。私は多くの人の過去の環境を聞くのが好きである。その人の環境でもし自分ならどうなっていたのかを考えるのも好きである。自分なら今頃グレていたと感じるような過酷な環境下でも、自分よりも明るい人なんかは年齢など関係なく尊敬できる。そのような自分つの垢を煎じて飲みたいものだ。流石にキモいので後輩の垢を取るようなことはしなかった。加茂湯のサウナは蒸気が多く、昨日も十分入ったので一セットで出ることにした。僕らが出た頃、少年12人が銭湯をジャックしており、そのタイミングできた他のお客さんに少し同情した。

 後輩の家に行き、私は「あし」を読んだ。私たちの部活は年に一度部内の冊子を作成している。この冊子は半世紀以上続いており、その中に「今思う」という欄がある。この部分では現役部員が1200字程度で自分の思うことについて自由に綴っている。哲学チックな文章の人も入れば、お笑いに全振りした文章もあり、非常におもしろい。特に、普段の活動での取り組む姿勢と文章化により美化、洗練された部活動へ気持ちを比較しながら見るのは、部員の行動の意図がわかり面白い。あしを読んでいる最中、後輩は小言でぶつぶつ言いながらフライトシュミレーターを行なっていた。彼はフライトシュミレーターを心底たのしんでいた。そう、彼は航空オタクなのである。「好きこそものの上手なれ」とは彼のような人に使うのだろう。心から彼にはパイロットになる夢を叶えてほしいと思う。そんなこんなで3日目も終わりを迎えた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?