9.山頂でコーヒー 長野ゲストハウスヘルパー体験記
2021年6月24日 午前10時半。長野市街から歩いて行ける頼朝山。「門前山カフェ」参加者みんなでコーヒーをいただく。
せっかく長野に滞在するのだから、一度くらい山登りしたいと1166バックパッカーズに来る前に考えていた。でもヘルパー滞在用の荷物+登山用品だとスーツケースに入らず(特に登山靴)、ひとりで運びきれないし、普段から軽登山は趣味なもののソロ登山は怖くてしないので、まぁいいか…と少し残念に思いながらあきらめた。ところが長野に来て早々、“山歩き”の予定が入った。
宿の近くに「ナノグラフィカ」という編集室がある。宿がある長野市の善光寺周辺地区は門前(もんぜん)と呼ばれており、ナノグラフィカは門前の暮らしを楽しくする企画や催しを行なっている。その催しのひとつが「門前山カフェ」だ。この地区には徒歩圏内に登山口があり、山頂まで約1時間以内で登れる小さな山がいくつかある。そこに登り、山頂でコーヒーを淹れて参加者で楽しむというのが山カフェの内容である。ナノグラフィカの野外活動担当でデザイナーの高城さんが案内役で、月に1回開催されている。
山カフェを知ったのは宿のミーティング。わたしのヘルパー期間のメイン業務は宿スタッフへのインタビューで、記事に掲載するアルバイトスタッフ3名それぞれの宿外写真を欲していた。みどりちゃん、ももちゃんの写真はそれぞれ押さえていたが、すーさんの写真が撮れていないため相談したところ、上記の山カフェに一緒に参加しないかということになったのだ。
あきらめていた山登りに思いがけず行けることになり、喜びがあふれる。岩手の夫に山道具一式を送ってもらい、当日を迎えた。
朝8時、ナノグラフィカに集合。参加者がぽつりぽつりと集まり、この日は約10名。それぞれ簡単な自己紹介をして出発した。目的地は頼朝山。いつも参加者の顔ぶれを見て登る山を決めるそうだ。頼朝山登山口へは最短距離だと徒歩30分ほどだが、山カフェでは街歩きをしながら向かう。普段は通らないような小道を通り、高城さんの知り合いの方々のお庭等におじゃました。鶏やヤギがいたのに驚いた。
頼朝山登山口からは、整備された登山道を通り途中10分程の休憩を含んで約40分で登頂した。登山口から山頂までの標高差は約200メートル。少し歩くだけで長野市内が一望できとても気持ちいい。
(余談だが、普段は秋田駒ケ岳、森吉山、月山、栗駒山、安達太良山等の東北の山を登っている。それぞれの山の最も難易度の低い登山道を選び、それでも天候によってはヘロヘロになって下山する。これまで山登りツアー等に参加するとご迷惑をかけてしまうことが多かったので、山カフェ大丈夫かなぁと不安だったが、山道具、参加者の皆さんとのおしゃべりに助けてもらい笑顔で登頂できた…快挙である。山は途中キツイけど、達成感や自然の中にいる癒しがあってやめられない)
山頂ではみなさん思い思いにお菓子を出し合い、コーヒーと共に楽しんだ。そして普段なにをしているか、これまでどこに住んだか等おしゃべりで盛り上がる。現在の環境はたくさんの方とお話しする機会がとても多いが、山登りを一緒にしてからのおしゃべりは不思議と心を開きやすい。山カフェからつながるご縁が、これまでもたくさんあっただろうなと想像する。自然環境も含め、徒歩圏内でこんな体験ができるなんて…と地域の豊かさを感じた。
長野で登山をしたいという希望は達成され、ヘルパーとして宿の業務を微力ながら助けたいと訪れたはずが、わたしが思いっきり楽しむ結果に今のところなっている。ちなみに、すーさんの写真を撮るという大仕事では、彼の笑顔を収めることが出来たので良しとしよう。
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