ミルクティー

短い童話のようなお話などを書いております。

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最近の記事

小熊と雪の妖精

一面真っ白に雪の降り積もった真冬の森。 熊の親子は洞穴の中でスヤスヤと眠っていました。 冬眠しながら、暖かい春がやって来るのを待っているのです。 小熊の坊やにとって、初めての冬眠。春が待ちきれずに、目が覚めてしまいました。 小熊の横では、母熊がまだ眠っています。 小熊は洞穴の入り口の方へと歩いて行きました。 「うわぁ!なんだこれは!?」 どっちを向いても真っ白。初めて見る雪景色に驚いてしまいました。 (続く)

    • ケモノと呼ばれて・・・。

      ケモノに食べられたくなければ、あの森には絶対に行ってはいけないよ! この村の大人たちは子供たちに何度も何度も言い聞かせていた。 僕はケモノを見たことがない。いや、僕だけではない。この村の子供たちは誰一人としてケモノを見たことがないのだ。 「ケモノ」・・・想像の中の存在。きっと大きくて毛むくじゃらで、牙があって爪があって、獰猛な奴なんだろう。出会ったら一瞬で食べられてしまうに違いない。 しかし、それも全て想像の中の「ケモノ」 ケモノケモノケモノケモノケモノケモノケモノケモ

      • 空間に絵を描ける少年

        空間に自由に絵を描くことが出来る少年がいました。 少年はこの特殊能力を誰にも知らせずに秘密にしていました。 ある日のこと、少年の住む村にまるで鬼のような、一つ目のモンスターがやってきました。 モンスターは腹が減っていて、村人を生け贄に差し出せと迫ってきます。 村人達はモンスターに逆らうことはできず、一体誰を生け贄に差し出すか会議を開きました。 そこで生け贄に決まったのが、なんと少年の妹なのです。 少年は妹が生け贄になることに我慢ができなかったので、モンスターと戦うことを

        • キマイラとの決戦

          キマイラとの闘いに挑むことになった剣士は作戦を考えていた。 「頭がライオンで、体が羊、尻尾が毒蛇かぁ~。 体が羊ってところだけにしか、勝ち目を見出せないよなぁ~。頭はライオンだから、噛まれたらやばいでしょ?でも、体は羊だから、爪での攻撃はないな。足の速さもライオンよりも遅いか。はぁ、尻尾の毒蛇も厄介だな~。あれっ、でも尻尾から蛇が出てるってことは、蛇は後ろ向きなのか?まぁ後ろ向きでも、あんまり関係ないか。噛まれたらやばいし。ということは前からも後ろからも攻められない。真ん中

        小熊と雪の妖精

          かたつむりとカエル

          かたつむりは雨が大好き。 梅雨のシトシトと降り続く雨の日、笑顔で葉っぱの上を歩いている。 周りには他の虫たちの姿はない。 どうして皆は外で遊ばないんだろう。こんなに気持ちの良い雨の日に。 かたつむりは雨が大好き。 あれっ、あそこに誰かの姿がある!あれは・・・カエルさんだ。 ゲロッ♬ゲロッ♬って笑顔で歌っている。 カエルさんも雨が好きなんだね。 晴れた日とはちょっと違う。雨の日の野原も楽しいね。

          かたつむりとカエル

          おおかみとライオン

          よく晴れた春の日。おおかみは野原を散歩していました。 すると目の前に大きな岩のような物が現れました。 おおかみは岩に腰掛けます 「うん。なんかこの岩ふかふかしていて気持ちがいいな。」 岩のようなものからは、一本のひものようなものが伸びています。 「なんだこのひもは?」 ひもはゆらゆらと揺れています。 そして、おおかみがひもをつかんで引っ張ると、岩が突然動き出しました。 「うわぁー」 おおかみは岩から転げ落ちてしまいました。 見上げると、そこには大きなライオ

          おおかみとライオン

          えのぐのけんか

          絵の具たちがけんかを始めた。 どうやら、誰が一番きれいなのか?ということでけんかをしているらしい。 みんな自分が一番きれいだって言っている。 あれっ、でも、一人だけ自信が無さそうに下を向いて俯いている色がいるぞ。 黒色の絵の具だ。 「僕は真っ黒。誰も僕を見てもきれいだなんて言ってくれないんだ」 そんなことないよ。黒色にだって良いところがあるよ。

          えのぐのけんか

          うたうことり

          ここは自然豊かな森の中。 耳を澄ますと鳥の鳴き声が聞こえてくる。 チーーー チーーー この声はメジロかな? ホーホケキョ これはウグイス。 ピーヨ ピーヨ ピーピーピー これは・・・ヒヨドリだ! キュルルルルル キュルルルルル ムクドリだな。 デーデーッポッポー おおっキジバトだ。 ヒンカラララララ これはコマドリ! キョッキョキョキョキョキョ ホトトギス! フィーーー トラツグミの鳴き声。 ピッポグィー ピッポグィー これは難しい・・・

          うたうことり

          いじわるな風

          ビューービューー、強い風。 ヒューヒュー、寒い風。 そよそよ、気持ちいい風。 風さんは気分屋だ。 今日の機嫌はいかがかな? あれっ、ちょっと怒ってる? 僕は風さんが怖いときがある。 ビューンビューン! 家をガタゴト揺らして、まるで怒っているようだ。 ねぇ!なんでそんなに怒っているの? 僕たちが風さんに何かした? ・・・・・。 そうか、知らず知らずのうちに君たち自然を苦しめていたんだね。 ごめんよ。今日からもっと優しくするよ。だって、君とは一生一緒の友

          いじわるな風

          アゲハチョウに憧れるモンシロチョウ

          暖かい春がやってきました。 穏やかな太陽の光と爽やかな風を感じながら、 色とりどりのお花達が気持ちよさそうに揺られています。 おやっ、向こうからやってきたのは蝶々。 真っ白なモンシロチョウさんと色鮮やかなアゲハチョウさん! 二人で何かお話しをしているぞっ! 「アゲハチョウさんの羽は、青や黄色やオレンジや黒でとっても綺麗な羽ですね」 「ありがとう。あなたの羽だって真っ白で素敵よ」 「どうしたら、アゲハチョウさんみたいに色とりどりの羽になれるんだろう?」 モンシロチ

          アゲハチョウに憧れるモンシロチョウ