夜中の音を聴く
今日もマイペースで過ごした。
とりあえず、気になっていた種まきなどを済ませ、届いたCAVAを飲む。
晴れてはいるけれど薄絹のような雲がかかっていて、五月晴れ!とはいかない。
風が吹けば気持ちいいけれど、微妙に湿気を含んでいて、さらされると冷える。
梅雨の走りか。
ま、小満という時季はこうだよね。
CAVAで心地よくなり、夜の散歩をした。
住宅街の木立から満月が見えた。
そうだ、今夜は満月だよ。
射手座の満月。
心配事や不安はあるけれど、とりあえずこの瞬間は安泰だ。
雨風暑さ寒さしのげる家があって、安心で安全。
こんな私なのに、有り難過ぎる。
そう見上げた空に、月は優しげだった。
雲がかかっていると思いきや、晴れたり、また薄衣をまとったり。
ひとしきりニュースを見てテレビを消す。
その合間にも、西の和室に行って蛙の合唱を聞いていた。
近所には水田はない。
昔はあって、この季節、早稲の匂い、早稲を通る風の匂いを思いっきり吸い込んだものだ。
昨今聞こえて来る蛙の合唱は、我が家から歩いて10分ほど行ったところにあるこじんまりした水田からのものだろう。
その地域は昔から農家が多かった。
田んぼや畑を持つ豊かな家が多い地域。
今でこそ田んぼも畑も減ったけれど、頑張って生き残っている区域もある。
そこからこの蛙の声は聞こえて来るのだな。
癒される。
西の和室にキャンプで使う椅子を置いて、灯りを消したまましばらく座っていた。
住宅街の道が見える。昼間はそれなりに車や人が行き来するが、夜11時を過ぎるとグッと少なくなる。
そんな道を眺めながら蛙の合唱を聞いていた。
蛙の声と共に、車の行き交う音や、人が暮らす音も聞こえて来る。
主に、車の行き交う音かな。
ちょっと離れた道路を通る車の音なのだろう。
建物に反射して、深夜、よく聞こえる。
夜、眠れないとこの部屋に来て、窓を開けて町の音を聴くことがある。
なんだか落ち着くのよね。
今日もそうだった。
見知らぬ人が気づかずに出す音に、蛙の合唱が重なって、不思議と気持ちが落ち着く。
ここにホトトギスの通り声が聞こえたら最高なんだけどな。
そうはうまくいかなかった。
心の中でホトトギスが夜を渡る声を響かせながら、町の音と蛙の合唱に聞き入った。
こんな時間が実はとても大切だったりする。
何も考えない時間。
ただ、感じる時間。
全てのしがらみや役割から離れた、魂の自分に戻る時間。
外の音と内の音が混ざり合って、輪郭すら曖昧になる時間。
ここ数年、瞑想の合宿にもヨーガを学ぶ旅にもいけてない。
行けないことを嘆き続けるのはもうやめよう。
今の私に何が出来るのか。
これがあったじゃん。
意識的に暮らそうよ。
閉じていた扉が一つ、開きそうだ。
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