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失敗がたくさんだからデンマークは幸福なのかも

コペンハーゲンで昨日、さわぐりさんこと沢広あやさんにお会いし、「コミュニティ」をテーマにいろいろな場所を案内してもらった。
5年ほど前から、さわぐりさんの文章や言葉をずっと前に読んできたおれにとっては、彼女の話すエピソードやその考えが、とてもすんなり入ってきた。そして同時に、そこから自然発生的に自分自身への問いが浮かび上がってきた。

Absalonでランチ。夜は1ヶ月くらい先まで予約でほぼ埋まっているみたい。

「すばらしいものに囲まれたり、そうしたものが与えてくれるを体験を味わう経験を日常の中に持つこと。
デモクラシーを社会に根付かせるには、子どもの頃からそういうデザインや経験が欠かせないって、デンマークの人たちは知っているんだと思うんですよね。空間もモノも時間も、そういう上質な体験が基盤となっていき、民主的な社会がデザインができるんですよね。
もちろんすべてがうまくいくわけじゃないし、むしろ失敗の方がはるかに多いですけど、それでも行政や地域住民はそのための取り組みをさまざまなやり方で重ねているんだと思います。」
おれの脳内解釈もかなり交じってしまっているけれど、さわぐりさんのこんな言葉が、一晩経っても強く残っています。

コミュニティのハブとして、仕事から長年離れてしまった人たちをソーシャル・エンパワーメントする地域センター。
金銭的に順調ではなくても、社会的価値を見出す人や組織に支えられてソーシャル・イーティングやコミュニティ・イベントを続ける民間のギャザリング・プレース。
どうすれば移民や二世、さらにその子どもたちと一緒にデンマーク社会を作っていけるかを試行錯誤する民主主義のリビングラボ。
金銭的に苦しい移民の多いエリアで、デンマークの考える生活や体験のスタンダードを味わってもらうための図書館、および学校。

BIBLIOTEK ET——図書館
同じく図書館のプレイルーム

さわぐりさんの言葉にあったように、こうした場の取り組みがどれもうまくいっているわけではない。ただし、実行することで「なにがワークするかしないか」がはっきり形になって現れる。予算はもちろん限られているのだけれど、比較的小さめにトライすることで、ワークするかしないかを目に見える形にして、次の試みにつなげていくことができる。

「いろいろ失敗するんですけどね、でも、『失敗だったね。次はどうしたらいいんだろう』って話し合うんですよね。失敗がうやむやにならず、失敗としてちゃんと表出してみんなに認知されるのが大事ですよね。これがないと、健全に次に向かいづらいじゃないですか。」
この言葉に、個人から、そして日常レベルから、民主主義を組織や社会に広げていくための方法を学ぶべきものがたくさんあると強く感じた。

図書館のすぐ裏手にはYouth Center。こういう場所必要じゃん。
自分たちのルーツをスマートに学べる場が生活範囲内にどれだけあるか

頑張る自分が好きだし、頑張っている時間はとても尊いものだと思っている。それは今も昔も変わらない。そしてこれからも変わらないと思う。
でも、頑張りかたや、頑張っている自分の捉え方や愛しかたは、変わっていいんだと思う。頑張らない自分とか、(まだよくわからないままのところも多い)違う頑張りかたを試していくことも、しっかりと味わいながら過ごしたい。
それが、これまでの自分をしっかりと受け止めて、これからの自分を長く深く肯定しながら生きていくための大切なアプローチだと思うから。
——ここのところ感じていたそんな思いを、はっきり認識できた一日だった。
もう少し、自分の頭と心を行き来させながら、昨日の体験を発酵させていこう。

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