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イギリスの大学院をDistinctionで卒業した話


導入

 この記事を読んで頂き、ありがとうございます。昨年(2023年)の話にはなりますが、イギリスのSussex大学のMSc Sustainable Developmentを、Distinctionで卒業しました。本稿では、一年間のイギリス大学院留学を振り返り、今後自分がどうしたいかについて書きたいと思います。

結果 

授業

 授業では、多くのモジュールでDistinctionを獲得できましたが、一つのモジュールで50%台のPassを取ってしまいました。これは、担当教官と相談し、エッセイのテーマを決めたのですが、今考えると、そのテーマが自分の中で落とし込みきれておらず、結果的に論理構成に不備があるエッセイを書いてしまったのだと思います。

修士論文

 生物多様性クレジットが、自然再興(Nature Positivity)経済にどう資するか、という趣旨で修士論文を執筆し、結果はMeritでした。
 基本的には文献調査を主として行い、生物多様クレジットの市場分析のために、現場で生物多様性に係るビジネスを行っている方々や、専門家に聞き取りも行いました。論文自体は、5月下旬から9月上旬までの実質3か月間で15,000単語を書き、その過程では、7月まで3~4週間に一度、指導教官と面談をする機会がありました。面談の前半では、テーマ選定に多くの時間を費やし、最後1回は執筆途中の論文へのコメントを頂きました。しかし、一番重要な8月には一切のフィードバックを得られる機会がありませんでした。やはり、前半のテーマを決める部分で多くの時間を費やしても、中身を詰めていく段階でフィードバックが得られないのは厳しいと思いました。
 Claude.ai等のツールを活用し、AIに文章を読み込ませて、改善点を炙り出し、必要に応じて修正する等の改善を試みましたが、結局Distinctionを得られるところまでいけなかったのは非常に残念です。
 一方で、全てのモジュールと修士論文の平均点では、ギリギリDistinctionを取ることができました。私の卒業証書に「Distinction」と書かれていたのを初めて見た時は、誇らしい気持ちになりました。

インターンシップ

 修士論文の内容と非常に近い、生物多様クレジットを創出しようとしているイギリスの中小企業で、2023年6~8月の期間、有給インターンシップをしました。職務内容は、主にプロジェクト管理(連携業者の探索と選定、費用管理等)、そして時折ソーシャルメディアマーケティング(LinkedInアカウントの運用)を行うものでした。
 良かった点は、生物多様クレジット関連の仕事を実際に行っている方々と知り合える機会があり、実際にインタビューできたことです。
 悪かった点は、社長が放任主義の方で、あまり彼から教わる機会が少なかったことです。また、協力団体の方の体調が悪い時期が長く、プロジェクトの進展が遅かったことで、実務経験を積む機会にもあまり恵まれませんでした。

所感

 私が入ったコースがとても政策寄りだったため、今までビジネスバックグラウンドを持っていた私にとっては、大きな転換点だったと思います。個別企業の経営や事業の最適化を考えるビジネスと違い、国や国家間での政策の在り方を考えた本コースでの学びは、私の視野を間違いなく広げることになったと思います。それが後述する現在の仕事に繋がっていると思います。
 一方で、私が在籍していた時は、イギリス全土で生活費の高騰によるストライキが多く、大学でも多くの授業が中止になってしまいました。毎年学費が高騰しているのにも関わらず、それ相応のサービスが提供されていない点では、イギリスの大学院に行く価値は考えようだと思います。

今後

 現在は、都内の環境コンサルティング会社にて、国際環境政策のコンサルタントをしております。前職とは職務内容が大きく異なりますが、大学院の学びとの親和性が強く、大学院の学びを行かせる転職活動ができたと思います。
 今後は今の会社で経験を積みつつ、いつかは博士号の取得を目指してキャリア設計をしていきたいと考えております。またいつか博士課程を始めることになれば、改めて記事を執筆したいと思います。

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