お仕事の愚痴

愚痴だ。パン田が愚痴るのは大変めずらしい。
基本的に、愚痴るくらいならその環境を変えたり、自分を変えたり、どうにか対処せい、というのが私の基本方針だ。
が、今回はどうにもならない他人の所業、というか組織・業界の風土が要素の10割なのでもう、愚痴か転職くらいしかやることがない。

ここ最近、基本的にずっとExcelをこねくり回している。
当然データを弄っているわけでは無く、どう考えても他のツールを使った方が良いものたちだ。
だがセキュリティの観点から、他のツールは使えない。今流行りのAIツールなんて以ての外である。(ちなみに弊社ではAI事業を全面に押し出し中である。まずは自分たちで使わないもんかね。)
少し内容を言うと、下から上がってきた乱造粗造プログラムのいろいろな指摘をExcelにまとめて投げる作業が大半を占めている。

これが「ものをより良くしよう」って動機の指摘ならまだ身が入る。
この方が便利とか、この書き方は後々誤解を招くとか、こういうやり方に変えてくれとか、いろいろ。
だが今やっている指摘は「この部分はうちの責任じゃないんで、そっちで誰の責任か考えて、うち以外のどこかに回してください」と伝えるための指摘だ。更に言えば、基本的にそれしか指摘してはいけないことになっている。
契約上大事なんだろうとは思うものの、これしかやらないと気が滅入る。

そもそもプログラムを修正しちゃえばテスト込みで5分くらいで全ての作業が終わるものを、1時間くらいかけて設計書やら議事録やらひっくり返して読みこんで、うちの責任じゃないことを明らかにした後、もちろんプログラムには手を加えずに、「この一文字書き換えれば動くのにな~」と心の中で思いながら突き返す作業。

虚無感がすごい。

そもそも組織として、より良いものをお客さんに使ってもらおう、とかは考えてない。お金にならないしね。
契約にあることを、契約にある通りに遂行する。途中でこれヤバいな~と思っても、誰も口を出すわけがない。契約に無いし。
ちょっと前の7Payの案件が爆散したのなんか、作ってたエンジニアは全員ヤバいな~と思ってたはず。細かいこと覚えてないけど、見た瞬間にヤバいなこれと私でも分かるくらいヤバかった。
(参考:https://toyokeizai.net/articles/-/290685

なんで途中でヤバさに気づくかって言うと、元をたどるとそもそも契約段階で歪んでいることが少なくない。
というより、ある程度規模の大きいプロジェクトにおいては仕方ないことではある。末端の細かい作業中に契約外の内容が発生するのなんて当たり前だろう。セキュリティ面の細かいこと決めてないけど、契約に無いし適当でいいか~が(場合によっては)まかり通ってしまう。
こうなることは過去の事例からいくらでも学べるはずだが、最悪人を増やせばどうにかなる今のやり方以外で開発に踏み切る度胸も力量も無かったらしい。

どれくらいしょうもないか、もう少し例を出す。
「これはAですか?」と質問されたら、「いいえ、Bです。」と返す。
「これはBですか?」と質問されたら、「はい、Bです。」と返す。
こういうプログラムを書く契約をしたとする。
この契約通りのプログラムを書いた時、「これはCですか?」と質問されるとどうなるかと言うと、バグる。想定されていないからだ。

お客さんは当然困る。
「『これはCですか?』の時バグるんですけど。どうにかしてくれ。」
それに対して開発側は契約書の内容を読み返して、
「どういうプログラムを作るか決めてますよね。だからうちの責任じゃないし、お金を貰わないとその対応はしませんよ。」
当然と言えば当然の流れではある。
ただ、AとBの二択しか存在しない世界を想定する中で「これはCですか?」のケースを事前に取り決めておくのは案外難しい。

そして、この「うちの責任じゃない~」というセリフのための根拠づくりがここ最近の一番の仕事だ。
「{B以外の何か}ですか?」と聞かれたら「いいえ、Bです。」と返すように修正すればいいし、そう指摘したいが、それは許されていない。
ちなみに「うちの責任じゃない~」と相手方に伝える担当は、大抵の場合開発者ではない。だいたい営業とか。
なので中身の何が問題で、お客さんがどのレベルで困っているとかはあまり理解していないことが多い。

そろそろまとめる。何がストレスかというと、
・そもそも成果物の質が低い
・質の低さを棚に上げて、責任逃れに奔走している
・責任逃れのための工数が、修正にかかる工数より大きい
・会社として言っていることと実態として行っていることの乖離が大きい
・これらを誰一人として問題視していない
このくらいだろうか。

じゃあどうしたいのかと言えば、普通にお客さんと会話して、普通に成果物の質を高めて、普通にお互い納得の行く形に落とし込みたい。
今からやり方を変えるには、過去数年分の作業をひっくり返す必要があり、事実上不可能だ。ツールの規定なんかもここで決まっている。
更に言えば沈みゆく泥船を引き揚げるより、新しく木なり鉄なりで船を作った方が良い。

やっぱり転職するしかないのかなぁ。
みんなパン田なんか目じゃなく賢い人たちのはずなんだけど。
目か、耳か、心か、あるいは全て閉ざして仕事しているのかもしれない。

あと、この愚痴を読んで「幼稚だな」「まだその程度の視座か」と思う方も一定数いるだろう思う。
だが、己の胸に手を当てて、その虚ろで欺瞞に満ちた思想こそ再考に値しないだろうかね。

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