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ゆめ

高校時代、あまり人間間で楽しみを見いだせず夢のことばかり考えていた。私の見る夢はいつも決まった雰囲気のものばかりで、悪夢は年に1、2回しか見ない。

私のいつも見る夢は、空が薄暗い澄んだ朝、日の出は遅く肌寒さを感じる季節で、決まって建物の高いところにいる。ある時は昔家族で遊びに行った遊園地を模した、実際は存在しないあまりにも高すぎるビルの中。ある時は昔家族で住んでいたマンションの存在しない、見たこともない屋上。
小さい時に見たおかしな幻覚に何年も思いを馳せて、幻想の派生ばかり目に浮かぶ。

いつも心は秋一色で、待ち遠しくて待ち遠しくて、肌で秋を感じ始めると心が昂り、してはいけない事をしたくなる。夢で見た場所が実在するんじゃないかって、誰にもバレないようこっそりとリアルへ持ち込んでしまう。

ローマ調の置物が規則正しく並んだ小さな池がある私の頭の中の屋上。少し強く冷たい風を感じ、屋上の中央をフラフラとさまよう。自分の力ではバランスが取れずビル風に身を任せる。気付かないうちに足を滑らせ死んでしまうかも。あまりにも気持ちよすぎて多幸感で胸がはち切れそうになりながら、世界の全てを悟る。何も分からないことなんてなくて、何も考えたくない。嫌なこと全部忘れて、ただただその時を楽しむ。これが私の最高に神聖なエクスタシー。

自分の頭の中の映像があまりにも素敵で形容し難い特別な価値のあるものだから、他者を踏み込ませるには純真すぎる。そもそもこんなこと、誰に説明したって理解してくれる人なんて居ない。

こんな気持ちの悪いもの、見なかったことにして

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