ヴォルフガンク・ゲデオン『コロナ、衝突、内戦: グローバルな独裁への道?』➁

第一章 いくつかの医学的側面

間違った概念と間違った数値
 [S. 11] 詐欺は数値によって始まる。ニュースの報道においては、あらゆるところで「感染者数」について語られているが、しかし実際に伝えられているのは感染の数ではなく、陽性の検査結果の数なのである——そして、これは同じものではない!というのも、いま採用されている検査は、Covid-19-ウイルスの存在を証明をするには十分な信頼性のあるものではなく、むしろ数多くの偽陽性という結果を生じさせるからである。Deutsche Ärztblattのような定評のある雑誌や、Lancetのような信頼のおける医学専門誌は、偽陽性の割合は五〇%にまでなるだろう、と語っている。「偽陽性」という言葉が意味しているのは、陽性という検査結果をもった患者が、実際には感染していないということである。ロベルト・コッホ研究所の長であるヴィーラ―とその取り巻きは、検査における誤差の比率に対する批判は適切なものではない、と語っている。それはならば、彼らにひとはこう問いかけたいだろう。では偽陽性の結果の数は、実際にはどの程度なのか。だが彼らの答えは、わからない、というものなのだ。だがもしわからないのであれば、他人に対する非難に際しては、慎重であるべきであろう。
 クリスティアン・ドロステンによって開発された検査もまた、十分に有効性のあるものではなく、そもそも医学上の診断学のために認められるものではない。この検査を開発するに際して彼の手元にあったのは、この中国ウイルスを遺伝的に特定する分離片ではなかったのだ。この点について、彼は自らこう語っている。
 [S. 12] 「2019-nCoVの症例からそのウイルス配列が公式に明らかになる以前に、私たちは、SARSに類似したウイルスの存在の証明を報告するソーシャル・メディアからのメッセージに信用をおいたのである」。
 ドロステンは、彼自身の証言によれば、ソーシャル・メディアからの情報にもとづいて、自らの検査方法を開発していったというのである。それならば彼は、彼の検査によっては、二〇〇三年に中国で重度の呼吸器系の疾患をともなう疫病を引き起こしたSARS 1ウイルスも、あるいは、たとえばコウモリのあいだに広がる別のウイルスを把捉してしまう、ということを認めなければならないだろう。それらの別のウイルスは検査で何の役割もはしていない、コウモリのウイルスはこれまで人間に感染したことはない、こうドロステンは語っている。何という議論の仕方であろう。一体何によって彼は、SARS-CoV2ウイルスと何の関係もないすべてのものについても、陽性と診断してしまっていることはない、と知っているのだろう。彼は、自らが特定したRNAが、活動し増殖しているウイルスに由来するものなのか、それともすでに回復した人々におけるRNAの断片に過ぎないのか、それすらも決して判別できないのである。そのような断片は、患者がとっくに回復したり他人を感染させる能力がもう持たないとしても、最初に感染と査定されてから八七日間は、存在し続けるのである。
 ドロステンによるPCR検査は、非常に特定能力の低いものであるがゆえに、診断学的に信頼のおけるものではない。それによってわかる特定結果は98.6%までが間違っている可能性がある。というのも、それはウイルスと何の関係もない物質との照合によって——他の類似したウイルスとの照合によってではなく——確定されるものだからである。そして、まさにこれこそが問題なのである。そうつまり、この検査によっては、検査の対象であるSARS 2 コロナウイルスだけではなく、すべての潜在的なコロナウイルスが把捉されてしまうことにあるのである。[S. 13] タンザニアの大統領はこういう冗談をいっている。このような検査を、多種多様な、医学と関係のない物にも試してみれば、おそらく可能性としてはすべての動物や植物、あるいはパパイヤフルーツの果肉のうちでさえも、あやまった想定上のSARS-CoV2が発見されることだろう。どうしてWHOはこのような検査を世界中に推奨しているのだろうか。どうしてこのような検査を根拠にして、数百万の人々を隔離して閉じこめておくことができるのだろうか。

二〇〇六年と二〇〇九年の誤った警報
 保健当局が誤った警報によってパンデミックに訴えかけたのははじめてのことではないかもしれない。たとえば二〇〇六年にはダートモア(アメリカ)における百日咳のパンデミックというものがあった。
 ヴィーラ―とドロステンはそのときにも、この誤った警報において、大きな役割を果たした。またWHOが二〇〇九年に豚インフルエンザのパンデミックを主張したとき、この二人はまた、同じようにパニックへ駆りたてる太鼓を叩いた。事態は「思ったようにはうまくいかなかった」、こうドロステンはいまになって夜のNDRのインタビューで述べている。というのもパンデミックは起こらず、数百万人と予想された死者は病気にすらならなかったからである。それ以前にすでに生じていたインフルエンザの流行によって交差免疫が存在したので、患者たちは豚インフルエンザへの免疫を持っていて、病気にはならなかったのだ、こうドロステンは慨嘆している。パンデミックが起こることなく、彼のカッサンドラ的な預言的診断が当たらなかったことを、ここで彼が「思ったようにうまくいかなかった」と述べていることは、彼の精神の幼児性をよく示している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?