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ビジネスチャンスを新規事業化させるための3つのステップと経営陣の関わり方

「新規事業を考えても形にならないことが多い」。「新規事業のプレゼンを受けても詰めが甘い事業案が多すぎる」と考える経営者も多いのではないでしょうか?プロダクト・ライフ・サイクルを回していくためにも、新規事業による自社サービスの"新陳代謝"は必須と言えますが、新規事業をうまく立ち上げるのはやはり難しいと言わざるを得ません。

今回は新規事業をうまく立ち上げ、自社の事業の柱とするための3つのステップと、経営陣の関わり方についてお伝えしていきます。


新規事業を進めるための登場人物

自社内で新規事業を進めるための登場人物はざっくり簡略化すると以下の3人が必要になります。

①新規事業メンバ(=創業メンバ)
新規事業を進めるための実行メンバです。経営者自身が行うこともありますが、社員が行うこともあります。顧客が抱える不満やニーズから、解決すべき課題と商品サービスを検討し、新規事業のアイディアを考えながら形にしていきます。新規事業は従来の業務と違って売上が立つかどうかもわからない「正解のない業務」になりますので、新規事業メンバには高い実行力・モチベーションが求められます。

②新規事業担当役員または新規開発事業部長
新規事業の実行に対する責任者としての役割を持ちます。①の新規事業メンバとは第三者的な立場で、新規事業に関する妥当性や各ステップ毎の進捗状況を把握し、限定的な事業継続判断や決裁権限を行使して、新規事業の推進を担当します。

③経営陣
新規事業のネクストステップへの承認や、追加投資判断など、大局的な場面での事業継続判断を行う役割を持ちます。経営会議などの定期的な場面で新規事業の確認を行い、自社の経営戦略等と齟齬がないか確認をしていきます。


新規事業の成長における3つのステップ

最初から具体性があり、利益が確約されているビジネスアイディアや新規事業などありません。新規事業はスタート時から、マーケットにリリース、市場拡大をしていくまでに大きく3つのステップがあります。①仮説・検証ステップ、②テストマーケティングステップ、③成長ステップです。各ステップでチェックすべき観点を箇条書きでご説明します。

①仮説・検証ステップ
・顧客の不満や課題は何か、それに対してどんなニーズがあるのか洗い出せているか
・課題の解決策は、自社の経営資源で用意できるものか
・解決策に対して、顧客の反応はどうか。ヒアリングや検証した繰り返した結果、妥当性があるか
・キャッシュポイントはどこにあり、利益が出せるものか

②テストマーケティングステップ
・テストマーケティングを行うことで①で立てた仮説が立証できているか
・売上に対してコストが少ないか(=利益が出ているか)
・追加投資を行うことで市場成長が見込めるか(=スケールが可能か)
・成長ステップの移行に伴い、リスクの洗い出しと撤退ラインが定まっているか

③成長ステップ
・想定通りのスケール、売上が立っているか
・投資コストに見合う成長ができているか
・投資コストを回収できる計画は立っているか
・新規事業を「Exit」するための、さらなる拡大のための戦略(事業提携、CVC、M&A)が考えられているか


先ほどの登場人物に戻りますが、各ステップにおける登場人物の役割としては、「新規事業メンバは各ステップの業務を実行し」、「新規事業担当役員はステップ内の事業継続判断や決済権限の行使を行う」。そして「経営陣はネクストステップへの移行判断と大局的な事業継続判断を行う」、という流れとなります。


新規事業を進める上での注意点

最後に新規事業を進める上での注意点を解説します。主に経営陣向けに対しての注意点となります。

①ネクストステップへの移行基準を明確にする
ありがちなのが、「最初の仮説・検証ステップにおいて経営陣が具体的な数値や計画がないことをダメ出しし、事業案をボツにしてしまう」というものです。上述したように、新規事業は最初から具体性があり、利益が確約されているものではありません。ステップの移行判定時には、そのタイミングでは「何を持って移行を良しとするのか」、きちんと基準を定め、周知しておくことが重要です。新規事業メンバはとにかくやることが山積みで忙しいため、ネクストステップに移行するために何が必要なのか、集中すべき方向性を指し示してあげましょう。

②新規事業担当役員には独自の決裁権限をもたせる
新規事業は正解のない作業になるため、時には失敗したり無駄なコスト消費をしてしまうことも少なくありません。そのたびに既存事業と同様に経営陣に対して説明を行ったり、予算の執行承認をもらうような作業をすることは新規事業の性質上合わなかったり、新規事業のスピードを落としてしまうことになります。
例えば支出の決済であれば、「年間2千万円までの決済は事前報告なく、担当役員で決済可能。ただし、支出の内訳の定期的な報告を経営会議で行うこと」など。ある程度の決済ルールのもと、決裁権限を下ろすことは大事なことと言えます。


この記事を書いたのは、
田中祥一郎さん(協会認定パートナーCFO®/ITコンサルティング)
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