譲れないもの

これだけは譲れない。

ここから先は一歩たりともひいては行けない。

そんな一線を皆さんはお持ちだろうか。


ある人にとってそれは家族だったり、自分が守るべきモノであったり。

また、ある人にとっては、それは人生生きているうちになんとてもやり遂げたいモノなのかもしれない。


人はそれを夢と呼ぶのだと思う。


高校の時、僕は本気で甲子園を目指し、そして自分自身と向き合った。

自分としては進学先を強豪校にしたかったのだが、それは親に反対され、

最終的に親が通っていた県立高校で進学が決まった。

グラウンドはもともと田んぼを開拓して作ったもので、水はけがとても悪い。

雨が一日降ってしまうと、そのまま2日間はグランドに水たまりが残る。

僕らはその水たまりの水を座布団くらいの大きさのスポンジを使って水を抜く。

それが終わってからいつもの練習が始まる。


そんな環境ではあったが、当時は自分なりに根気強くよくやったと思う。

僕は朝の5時に起きて10㌔走るのが日課だった。

6時に自宅に戻り、7時に家を出て8時から朝礼の始まる9時まで学校のウエイトルームでスクワットをした。

昼休憩には大きなタッパにツメツメに詰まったご飯を書き込み、授業が終われば練習へと向かっていた。

練習が終われば自主練習が始まり、毎日100mダッシュを20本はこなした。

その後自宅に戻り、シャドウピッチングをし、布団に入って野球ノートを更新した。


その日々は間違いなく、夢に向かって一歩一歩進んでいるような感覚があった。

あの時が僕の人生の頑張ったで賞であり、ピークになってしまった。


今現在の僕はどうだろうか。

家にたどり着くことが出来ないまでに自分をすり減らしていたあの頃の自分と比べて少しは大人になったのかもしれない。

でもそれは、まわりの大人に合わせてちょっとは上手に生きることを覚えただけで、あの頃の熱量、思い込み、行動力を僕は失った。

いや、失ったのは努力をする自分ではなく、

「何に変えても手に入れたい」目標、

すなわち

「譲れないもの」なんだと思う。

命をかけて、自分をすり減らすことなんかなんとも思わないほどの目標が今の僕には足りないのだ。

今の人生をより豊かにするためには、

「もう一度この人生を歩みたい」と思えるような理想の生き方を目指すのであれば、ここは避けては通れない。



あなたにとって、ゆずれないものはなんですか?