今ならいける

 GW前あたりからか、2度くらい「あと○日たったら飛び降りを実行しよう」と思うことがあった。なので、とても他人に見せられないような遺書まがいのものは毎日書いていたが、日記は書けていなかった。

 今も私が生きている理由は、夜になると空が暗くなることにある。実際に、死んでやろうと思って山奥の高めの橋まで徒歩で駅から片道3時間以上かけて行ってやった。

 歩いているときに感じていたのは、結局のところ恐怖であった。これから死のうとしているのに夜道を一人歩くことを怖がってしまうあたり才能がない。加えて、途中に同業者と出会ったり、警察や優しい人に止められたりすることを妄想していたが、実行に移した2回とも誰にも声をかけられなかった。すれ違った車の中の人が驚きと怪訝な表情が混じった顔をしていたのは今でもなんとなく覚えている。

 このように、病んだ人間の真似事をしている間に就職活動から逃げる猶予がなくなった。始めてしまえば楽なもので、zoomかteamsをボーっと見た後に噓と本当をいい具合に混ぜた文章を書き、知能テストをするだけで後は時間が解決してくれた。何故こんな簡単なことが初めからできなかったのか、コレガワラナイ。勿論、面接は苦手だがどこも行きたくないので、部活の試合のような変な緊張はなかった。ただ、馬鹿にされたくないというプライドだけで望んでいた。そのおかげかはわからないけど1個は内定出た。無職ルートは学業の頑張り次第では回避されるものになった。

 何度も志望動機や自己PRとかをAIと協力して捏造していく中で、労働に対する思考が普通の人間に近づいていた。人に流されやすく、影響を受けやすい性分だが、説明会を聞いたり、志望動機を考えたりしているとその企業に入りたくなってしまっていた。社会で生きるならそんなことはないが、私はその状況が悔しかった。私はもっと自分は社会的常識から逸脱した存在であり、この世界に盾突く存在になれると思っていた。しかし、今の私は歯車や潤滑油になろうとしている。

 ニートなんて辛くないだろうとバトグラだけしてた春休みは考えていた。でも、未来の私は働くことに耐えることはできないだろう。

 まあ、何はともあれ社会不適合者にほど近い1留でも就活はできることをある程度は示せてよかったかもしれない。理系かつ体育会であるという事実はあるけど。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?