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老いや認知症を受け入れて支えていく社会を

こんにちは。最近、婚活の広告がちらちら目につきます。

余計なお世話ですね。笑
こんな広告の影響を跳ね返すかのように、仕事帰りに、書店の新書コーナーで食いって表紙を眺めていました。帯には先駆者・上野さんが赤く髪を染めて、堂々とひとりでも生きていけると言っているような。

さっそく、読み始めてみると、ひとり暮らしは「生活満足度」が他の世帯と比べて高いというデータが、別の研究者から示されています。しかも、生涯未婚の方だけではなく、「シングル・アゲイン」と呼ばれる離婚・死別等で独身になった方も含めて高いとか。独り身として、これは朗報。無理矢理、家族と居ようとかじぶんの家族をつくろうとかするから、夫婦どちらも(その親戚も)重荷ですよね。

私は仕事柄、医療や介護の話をよく聞きますが、さすがにズケズケと「意思決定ができなくなったらどうするか」や「施設に入るか、自宅で看取るか」などプライベートなところまで親でもない人に聞けません。なので、〈70代・女性・独身〉の目線で介護施設や認知症のことを知りたかったというのが本音です。医療や介護のプロフェッショナルではない上野さんですが、現代の介護・医療現場について、研究者や医師、ケアマネ、ヘルパーらに食い下がって話をうかがい、読者のほうが「そんなことまで!」と思わず止めたくなってしまいます。

そのような話の聞き方だからか、様々な施設や地域での取り組みも随所に。
「社会関係資本」で地域がつながる支援例や、ひとりで在宅されている高齢者を最期まで見守った例も。家族の安心感や「認知症になったら一人で住むのはもう無理」と諦めて施設入所を決めるのではなく、老いや認知症を受け入れて、支えていく社会を実現していくことがもうすでにいまの社会に必要と思いました。第6章の最後に『社会のバリアフリーと心のバリアフリーを目指したいものです』と上野さんの言葉にうなずきます。

上野さんは社会学者らしく、意思決定が困難になった場合の成年後見制度に欠如があり、日本の介護制度は施行当初から比べてどんどん使い勝手が悪くなっていると指摘しています。ただ批判するだけでなく、法律の改制を歓迎し、良い面を評価していますが、近年の政府の改定方針(シナリオ)に「なんとしても世論の力で押し戻したい!」と待ったの声。この名のとおり『介護保険が危ない!』(岩波ブックレット、2020年)を緊急出版するほど叫ばれています。続きはそちらを読んでからでも。

「世論の力」とは、集会や署名活動、そして、選挙(投票)権。投票率の低さ、特に20〜30代の若い世代の投票率は改善されません。若者自身が将来に目を向けることは、政府の法改正に歯止めを効かせられる、有効な方法の一つになり得るでしょう。

そして、下記の上野さんの言葉はすべてのひとに当てはまります。

「安心して歳をとれない社会では、若者の将来だって危ない、ということは覚えておいてください」


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■『在宅ひとり死のススメ』上野千鶴子著|文春新書