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【コラム】損益計算書の無い会社〜黒字倒産目前で気づいたスタートアップ会計の甘さ〜

この物語は、ほぼほぼ実話です。


創業から約1年。東京都大田区の狭いオフィスで、気合に溢れたメンバーたちは効きすぎた冷房に少し震えながらも熱心に製品開発を進めていた。

小さなオフィスで開発を進めるスタッフ達

おざわは、長い営業とマーケティングキャリアを背景に、この新しい挑戦に身を投じていた。

しかし、創業半年が経った6月も初旬のある日、おざわが震える声で代表に告げた。

おざわ:「今月末の支払いがもうすぐなんですが、お金が足りません。。。」

代表:「え?今月も売上伸びてるんだから足りないわけないじゃん笑 おざわくんびびりすぎだよ〜」

おざわ:「黒字なのになぜだ、、、先週公庫からの融資も否認されたし、どうしよう…」

おざわは焦燥感を隠せない。
「損益計算書やキャッシュ・フロー計算書はありますか?どこにどれだけ使われているか確認したいのですが、、、」

代表は答えた。
「いやぁ、実は作ったこと無いんだよね。今までなんとかなってたし。ほら、昇給だって結構ノリだったじゃん?!笑」

このスタートアップは、技術的な才能や、マーケティング力はあるものの、財務管理には全くの未熟者だった。もちろん財務を経験したメンバーは1人もいない。
外注の経理に丸投げで、損益計算書もキャッシュ・フロー計算書も作ったことがなかったのである。

おざわは、事の重大性を感じて、行動を開始した。
「他の融資先を探す前に、まずは損益計算書とキャッシュ・フロー計算書を作成しないと。」

急いで代表に財務の強い経営者仲間を紹介してもらい、損益計算書やキャッシュ・フロー計算書の作り方を学んだ。
元々簿記の資格は持っていたし、税理士や会計士を目指したこともあったくらい数字は好きだったので企業会計はとても楽しかった(潰れてしまうという危機感がなければ尚更)

そして翌日から、おざわは過去の取引データをもとに、急ピッチで資料作成を進めた。その間にも他の融資先との交渉を続けた。

タイムリミットが迫る中、なんとか他の金融機関からの融資が通った。
3日遅れていたら黒字倒産である。

この危機をきっかけに、おざわは財務管理の重要性を身にしみて感じることとなった。
そして、この経験がきっかけで財務責任者も兼務することになった。

その後、今までびっくりするくらいどんぶり勘定だった会社は、堅実性を取り戻し、より安全性と収益性を高められる会社へと成長していった。


少しフィクションが入ってますが、3日後には黒字倒産のレベルまで来た時に、やっと金融機関の融資が通り、九死に一生を得たという実経験を元にしています。笑

2022年11月創業で、私は2023年2月から財務関係も見るようになりました。
その後は、財務の強い経営者さんにアドバイスを頂きながら精度の高い損益計算書やキャッシュ・フロー計算書を作成し、管理しています。

実際のP/L※ここで予実管理もしています

ですが、当時はめちゃくちゃなコストの使い方や支払いフローの適当さの関係でひっちゃかめっちゃかになっていました。
私が資料でまとめたところで、あとの祭り状態。
明らかになればなるほど
「うわっ、、これやばいぞ、、、どうすればいいんだ?」
という状態でした。(正直お手上げ状態でした)

社内は攻めに攻める人材ばかりで私以外に守りを固められる人材がいません。(代表は攻めに振り切ってます)
皆、財務はどーみても苦手そうなメンバーばかりだったので「たしかにそーなるよなぁ」くらい達観していたのを覚えています。(当時はたぶん心折れていた)

ですが、わたしは「まずはP/Lを整えるぞ!!」と言わんばかりに1円単位でのコストの見直しや、社内への勧告を進めどうにか2ヶ月後に黒字にもっていきました。

私1人の力で売上を上げたり、経費を削ったりということではありませんが、このときの周囲への振る舞いやコスト意識の醸成をした経験はとても今の自信に繋がっています。

もちろん未経験から始めてまだまだ財務は半年くらいしかやってませんが、『会社が生きるか死ぬかギリギリで切り抜けるための財務』を実務でやれたことは数年分の価値があったのではないか?と思っています。

なんか今回は謎の発信となりましたが、面白い経験だった(ネタになった)ので記録しました笑
財務担当がいなくて困っている会社がありましたらご相談ください(何かお助けできるかもしれません)

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