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ボクのゴールデンなコロきゅう

  6 最終話

 ボタニカルな内装の店に入ると、リクトはすぐに見つかった。3Dグラスをかけてビールを飲んでいた。
「お待たせ」
 肩を叩いて知らせると、リクトは顔をこちらに向けて3Dグラスを外す。
「おつかれっす」
「何観てるの?」
「これ? 昔のアメリカのシネマ。最近はまってて。『アベンジャーズ』って知ってます?」
「観てないわ。でもあの時代のシネマっていいよな。けっこう丁寧に作られてて」 
 リクトの向かいに座ると、テーブルの小さなスクリーンにAIの女性が現れたので、ハイボールを頼んだ。
「料理も頼むか。好きなものどうぞ」
「おごりっすか?」
「はいはい」
 僕が頷くと、リクトは遠慮もせずにオーダーしていった。

「ひさしぶりだよな。一年ぶりくらいか」
「去年会ったのも、たしか夏前でしたもんね。さくさん、なかなか捕まらないから」
「また今週末から行くし」
「今度も、ケニア?」
「そうそう。あと、モザンビーク。でも今回はショートだ。三週間くらいかな」
 ドローンが料理を運んでくる。ローストチキン、ピラフ、パスタがテーブルに並べられた。腹持ちの良さそうなものばかり。さすが、大学生だ。

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