見出し画像

名前の面白さ

マツモトキヨシの発想力

街を歩いていたら、ドラッグストアの「マツモトキヨシ」の店頭に「松本清」の文字が見えました。カタカナの店名はなじみの名前ですが、漢字の名前は知りませんでした。店名が「松本清」だったら、すごい違和感があると思いました。

人の名前をつけた店名や社名では、秋田の稲庭うどんで有名な「佐藤養助商店」古いところでは、名古屋の製薬会社「アラクス」の前身、「荒川長太郎合名会社」が私の頭の中に浮んできました。皆さんも思い浮かぶ社名などがあるのではないでしょうか。「荒川長太郎合名会社」は私の中高生のとき、ノーシンの頭痛薬で有名で、当時同級生でそこの重役の息子たちが何人かいたので、よく記憶に残っていました。

このように名前の後に商店や会社がついているのはよく見かけますが、姓名そのままの社名や店名は見たことがなかったので、印象に残りました。私だったら、お客さんから毎日、芸能人でないのに呼び捨てで言われるのは気持ち悪く、違和感を覚えます。それはともかく、松本清さんの斬新な命名発想法に感心いたしました。

イチローといえばイチロー選手

名前といえば、私は「イチロー」の普及にも驚きました。「イチロー」は日本中どこにもある普通の名前です。だれかを特定する名前ではありません。それなのに、「イチロー」は大リーグマリナーズやプロ野球オリックスで活躍した「イチロー選手」に特定されます。彼の本名は鈴木一朗、表札や名刺の見本によく使われる、山田太郎などと同じような、いわば反個性的な名前です。それを一個人を特定する名前にしたイチロー選手の業績のすばらしさに感服します。陳腐な名前でも、平凡な名前でも、それを個性的な素敵な名前に変化させるのは、その人の持つ力です。

さんまが一流芸人に

明石家さんまさんもその典型です。さんまは師匠から命名されたそうですが、私がその名前を告げられたら「馬鹿にしているんですか?」と反論したと思います。一般的にはふざけた名前です。それを受け入れたさんまさんの度量の大きさに敬意を表するとともに、一般的には変な芸名を一流芸人の名前に仕上げた力に偉大さを感じます。
名は体を表すといいますが、私は体が従来の名前が持っていた意味を変えているようにみえます。
明石家さんまさんの本名は杉本高文さんです。この名前を聞いてもさんまさんの顔がすぐに思い浮かびません。日本には本名より、芸名やペンネーム、芸事の名前などが有名な方はたくさんいらっしゃいます。そういった名前を見ていくと、楽しくなることがあります。

力士のしこ名の多様性

相撲の力士の名前、しこ名もいろいろなパターンがあります。勢、輝などの一字のしこ名もあれば、翔猿(とびざる)阿炎(あび)など奇想天外な名前もあり、相撲界の発想力のすごさに驚きます。輪島、正代、宇良などの本名もあり、バラエティに富んでおり、そういった多様性も相撲の魅力を形作っています。

半世紀以上前、私が子供だった頃、力士の典型的な名前は双葉山や吉葉山、安念山など、~山でしたが、2023年9月現在では幕内に4人、十両に2人いるだけです。他の世界にはない名前がある一方で、一般社会で普通にある名前も力士のしこ名になる混在ぶりがおもしろい気がします。

落語の名前も興味深い

落語の世界でもそれとよく似た現象があります。三遊亭や笑福亭、春風亭など落語家独特の名前がありますが、桂といった一般的な姓と同じ名前もあります。また、桂は東西どちらの落語家にもある名前です。三遊亭は江戸、笑福亭は上方落語にしか存在しません。桂は発祥は上方、関西ですが、桂文枝の3,4代目の時期に東西に分かれて、江戸にも桂を名乗る落語家が生まれ引き継がれたそうです。

歌舞伎俳優も本名が

ここから先は

1,331字
毎週日曜日の朝に新しい記事をアップします。 70歳を過ぎていますが、青二才の斬新さを出しています!

70歳を過ぎても青二才

¥500 / 月 初月無料

私は現在74歳ですが、青臭いといわれます。個性だと思います、長所であり、短所です。この青臭さと、私だけが歩んできた73年の経験、体験をもと…

サポートお願いいたします! より良い記事を書くために、有効に使わせていただきます。がんばります!