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福岡市の歴史

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福岡在住の光山忠良が連載する、福岡市の過去・現在・未来。
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#愛ゆえの福岡市

福岡は知的創造型クラスターになりうるか

福岡は知的創造型クラスターになりうるか

私はコラム「福岡は正しい街か―椎名林檎の名曲に想う」で、アーティストは東京に集積したほうがいいと述べたが、私はなにも、すべての若者が東京を目指すべきだといっているわけではない。むしろ逆である。日本はあらゆる機能を東京に集中させすぎた。政治の「永田町」、官僚の「霞が関」、金融の「兜町」があるだけでなく、有力な民間企業も東京に集中している、資本金10億円以上の企業の46.1%は東京にある。新興のIT企

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福岡市に住むという「ハイブリッド」な生き方

福岡市に住むという「ハイブリッド」な生き方

コロナ禍さなかの2021年4月、『東京を捨てる―コロナ移住のリアル』というなかなか刺激的なタイトルが出版された。著者はジャーナリストの澤田晃宏氏で、自らの淡路島移住体験と豊富な取材をもとに、東京からの移住の実態をレポートしている。
人々の移住の理由はさまざまだ。地震と放射能を恐れて活断層の少ない岡山県に引っ越した夫婦、温泉やビーチなど自然に魅せられ、地域おこしをしようと兵庫県に移住した元霞が関官僚

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福岡市は本当に起業が成功しやすい街なのか

福岡市は本当に起業が成功しやすい街なのか

2010年から福岡市長を務める高島宗一郎氏は、2018年に著した『福岡市を経営する』の冒頭、8年間の実績を次のように語っている。

国際会議の開催件数は、全国の政令都市の中で一位。クルーズ船誘致と港湾エリアの整備により、クルーズ船の寄港回数も横浜を抜いて日本一。新しいビジネスを生み出すスタートアップに力を入れて、現在4年連続での開業率7%は全国唯一です。

これは2018年10月時点のデータに基づ

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福岡は「正しい街」か~椎名林檎の名曲に想う~

福岡市で10代の7年間を過ごしたアーティストの椎名林檎にとって、福岡は「正しい街」である。

『正しい街』作詞作曲:椎名林檎

大それた夢を見て、恋人にひどい別れを告げて飛び出した福岡、でも東京は思っていたものと違って、まさに冬の匂いさえ正しくない、もう恋人も、思い出の場所も失ってしまった――という気持ちが赤裸々に綴られている。椎名林檎がデビュー前に実際の思い出を元に作った曲とされる。デビューアル

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