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家事シェアを男女の対立構造で語るのは、もうやめにしませんか?

先日、台東区男女共同参画推進事業の一環として、男性向け家事シェア講座の講師をさせて頂きました。

ご参加下さった方々は、「何かしたいけど、どうしていいかわからない」と言う、家事シェアに対して既に意識の高い男性諸氏がお集まり下さったので、真剣に話を聞いて下さり、調理実習も積極的に取組み、質問もたくさんして下さいました。
とても実りのある良い講座になったと思います。

普段は主に未就学児とその保護者向けに食育と料理の教室を主宰していますが、食育の範疇として、より無理のない、暮らしに即した家事と家事シェアについてのコラムを書いたり講演したりしています。

リンク先のブログでもご紹介していますが、先の家事シェア講座ではまず、「家事は誰がやるべきか?」と言う質問を参加者に投げかけるところから始まります。

「(フルタイムで)働いていない方(主婦・主夫)」とのご意見が多かったのですが、そこからして食い違っているんですね。
だから、男女間の対立構造的な問題にされがちなのですが、正解は

「家族みんなでやる」

です。
もちろん、2人家族でご夫婦の場合は男性、女性での役割分担になるのですが、

「誰かが」

ではなく

「みんなで」

意識を変えていく事が大切です。

基本は「出来る人が出来る時にやる」のが1番合理的なのですが、そうなると家事を自分ごとにしていない人は絶対に家事をやらない事になってしまうので、まずは

「家族全員の仕事」

と言う共通認識を持つのが1番だと思います。

共働き家庭でも、多くの場合、女性が主に家事を担っているのは、女性が家事が得意だからではなく、女性が家事が好きだからでもなく、

「女性が家事をしている環境で育って来たから」

です。
もちろん、そうでない方もいらっしゃるのはわかっていますが、多くの場合、こうだと思います。

自分の仕事だと思っていない人に家事をやってもらおうとするから、お互いモヤモヤするのですね。
令和の今でも、昭和の価値観に囚われているのです。完全な環境要因だと思います。

環境要因だから、人によって家事に求めるクオリティも違うのです。家をいつもキレイにしている家庭で育った人と、いつも散らかった家庭で育った人では、掃除に対する優先度や求める完成度も全く異なります。私は「埃で人は死なない」タイプです。掃除は苦手です。

それぞれが育って来たバックグラウンド(家庭環境)から考えなければ、お互いに理解が難しいのでコミュニケーションが必要なのに、表面的な事でしか語られないために家事シェアが進まなかったり、モメる原因となるのです。

誤解を恐れずに言うと、男性も女性も、多くが女性が家事をしている環境で育って来たため、大人になった男性は「家事は女性がやるもの」と思っていますし、女性も「自分がやるのだろうな(やるしかないのかな)」と思っているのです。(ここに異論があるのは認めます)

これを、もうやめませんか?

家事は、「家」族全員の仕「事」です。

もちろん、子供も家族の一員ですから家事をします。
習い事が忙しくて家事や手伝いをやる時間が無いとか、やらせると時間がかかるので面倒、と思われて育って来た結果が、今の現状なのです。
もちろん、乳幼児期や受験期など、出来なかったり、より優先度の高いことがあれば柔軟に分担すれば良いのです。

子供が小さくても、よほどの物理的特性がなければ3歳くらいから言語によるコミュニケーションが取れるので、出来る家事は色々あります。

[3歳から出来る家事]
例)カーテンの開閉、新聞を取ってくる、お風呂のスイッチを入れる、おもちゃの片付け、鉢植えへの水やり、ペットのえさやり、等

 
それを任せて習慣にする事が大切です。家事を自分ごとにするのです。
そして、成長して出来る事が増えたらどんどんシェアして任せればいいのです。

共働き家庭なら、子供がある程度大きくなる頃に少しでも料理が出来るようになっていると、本当に楽ですよ。
大人は夕飯を考えたり、作る事から少し解放されますし、子供は家族の一員として保護者の助けになっているのですから。
そうなると、大人は外では仕事に集中して、家では休めます。

もちろん、初めから1人で出来ることばかりではないので、少しずつ、教えて、見守って、任せることが必要です。

そうする事で、子供も「自分も家族の一員だ」「家事を任されている」と言う自信につながり、家族に必要とされている、居場所がある、と言う自己肯定感にもつながります。
作った料理を褒められて嬉しいのは子供だって同じです。(もちろん自己肯定感をつけるのは家事を任せることだけではありませんが)

家族は最小の社会(コミュニティ)です。
子供がいても、いなくても、互いに認め合い、尊重し、助け合う事で円滑な家庭運営ができ、会社や学校など外の社会で戦い疲れても、癒される場所となり得るのではないでしょうか?

家族全員にとって家庭が心地よい場所となるためには、家族全員で家事を担って、互いに思いやりを持って日々を過ごせば良いのではないでしょうか?

誰かが何かに我慢していると、空気がピンと張り詰めます。

そんな時には、しっかりコミュニケーションを取り、負担を分かち合うことが大切だと思います。

試作のための食材費や、子供達が使いやすい調理器具の購入に使わせて頂きます!