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応対品質をロジカルに向上させる

コールセンターの管理者の多くは、「フィードバックしても直らない」という悩みを抱えてます。

オペレーターさん自身のやる気という原因もあるかもしれませんが、この問題の根本要因はほぼ確実に管理者側にあると思ってます。

・正しい分析ができているか
・フィードバックは適切なタイミングか
・オペレーターさんはフィードバックに納得したか
・フィードバックに今後の改善策は含まれていたか
・改善アクションにゴールは設定されていたか
・フィードバック後の効果測定はされていたか

こうして管理者側の要因を挙げてみると、まだまだフィードバック自体に伸び代を感じざるを得ません。

本日は管理者向けに正しい分析をするための4つのポイントについてお話しします。


1. Goalを設定する

あなたがオペレーターさんに一番伝えたいポイントです。

・対話時間を短くさせたい
・処理時間を短くさせたい
・言葉遣いを直させたい
・クッション言葉を使わせたい
・電話対応のフローチャートを覚えさせたい

そのオペレーターさんに色々課題はあるでしょうが、おそらくすぐすぐに改善できるのは1つだけです。

複数フィードバックして、すぐに全部治るようならそもそも管理に困ってないと思います。

一番プライオリティの高い課題を決めましょう。


これ、裏を返せば他の課題はおざなりにするということをご理解ください。

上司には「このオペレーターさんの課題は改善するまでに時間がかかるので、まずはこれだけ直します、順番に他も改善させるので今は目を瞑ってください」と予め報告しておくとベターです。

コミットしたからには必ず改善させましょう。


2. Behaviorを提示する

では、「対話時間を短くさせたい」として、いくらオペレーターさんに「対話を短くさせましょう」と言っても絶対に直りません。

オペレーターさんは「そんなんわかってるけどどうすれば短くなるかわからん」って絶対思ってます。

改善させるためには、オペレーターさんのどこがどう悪いのかをしっかり伝えてあげなければなりません。


あなたが管理者であれば、恐らくそのオペレーターさんの電話対応を無数に聞いているはずです。

聞いてなければ耳にタコができるくらい一生聞きましょう。

電話対応における課題は、オペレーターさんの対話の中に全部根拠があります。

その根拠を拾うため、聞いた電話対応の件数分、課題に直結しそうな対話を書き出してください。

20件以上は聞いて、対話を書き出しましょう。

段々と「このオペレーターさん、こういう特徴あるな」というのがわかってきます。

・商材の説明が長いな
・お客様に話を振りすぎてるな
・顧客情報を確認するのに時間をかけすぎてるな

こういった特徴を『Behavior(ビヘイビア)』と言います。

『電話対応内での言動・行動』のことを指し、日本語では『癖』に近い言葉です。

ただ、『癖』は主に悪い意味が込められているのに対し、『Behavior』は良い意味、悪い意味どちらにも使うので『Good Behavior / Bad Behavior』と使い分けています。

フィードバック時に、オペレーターさんにBehaviorを提示することで「あ〜、私そういうとこあるかもしれません!」と納得してもらえるでしょうね。


3. RCAを特定する

「対話時間を短くさせたい」→「商材の説明が長い」

ここまで特定できました。

あなたは「説明が長いから短くしようね」とオペレーターさんに伝えました。

「確かにそうかもしれません、わかりました!」とはならないでしょう。

「わかってるけどどうすれば...」オペレーターさんもきっと苦しんでるんでしょうね。

オペレーターさんがどんな心境・心情で説明が長いのでしょうか。

そこが突き止められれば対話時間が短くできるアクションが策定できます。

とりあえずあなたが思いつく限りで根本的な要因を挙げてみましょう。


『〇〇だから商材の説明が長い』

①定型文を丸暗記しており、応用が効かないため最初から最後まで伝えてしまう
②説明をお客様に理解してほしい一心で、商材の特徴を全て説明しようとする
③お客様がピンポイントに知りたい特徴がわからないので、とりあえず全部説明する

考え得る要因を3つ挙げました。

でも、あなたには正解はわかりません。

候補は絞られますが、「おそらくそうなんじゃないかな」程度でしょう。

そこで、フィードバック時に本人に聞くことをおすすめします。

「商材の説明が長く感じたんだよね。商材の良さをしっかりアピールしている印象がとても良かったんだけど、長くなった理由ってなんだろう?」

もしかしたらあなたが挙げた3つの中のどれかかもしれませんし、

④以前「私が聞きたいのはそういうことじゃなくってー」と怒られた経験があり、お客様から怒られたくないため全て説明しようとする

という新たな答えが出てくるかもしれません。


このような『Behavior』の根本要因のことを『Root Cause(ルートコーズ)』、根本要因を分析することを『Root Cause Analysis(RCA)』と呼びます。


真のRoot Causeは実際にフィードバックするまではわかりませんが、このフェーズでは考え得る要因を出来る限り挙げるということに注力してください。


4. Actionを策定する

Goalの設定、Behaviorの提示、Root Causeの特定まで進めて始めてActionを決めます。


候補に挙げたRoot Causeそれぞれを改善させるActionを決めておきます。

ただ、想定外のRoot Causeだった場合のことも考えて柔軟にActionを変えていく必要があります。


例えば、④のようなRoot Causeのオペレーターさんに「商材の特徴を一言にまとめて説明しようね」と改善策を提示しても全く効果がありません。

このオペレーターさんは、商材の説明をすることに恐怖を感じています。

きっとそのようなActionをしても、「違う違うそうじゃなくって私が聞きたいのはー」とお客様を怒らせてしまい、オペレーターさんのトラウマになることでしょう。

この時のActionは、

「お客様がお怒りになられた要因を考えさせる」

「お客様が知りたい特徴を答えられなかったから怒られたことを理解させる」

「お客様が知りたい特徴が説明できれば怒られないことに納得してもらう」

③の分析例と同様、お客様がピンポイントに知りたい特徴を、
話の前後で特定するスキルをつけさせる

という流れになるでしょう。

このActionをひたすら反復することでオペレーターさんの応対品質改善に繋がります。

「単に③の分析例と似てるから同じアクションでいいじゃん」とはいかないことを覚えておいてください。


ここまでの事前知識と準備を用意して初めてフィードバックに移ります。

正しいRoot Causeが特定できない限り、どんな素晴らしいアクションを策定してもオペレーターさんの成長を促すことはできません。

この記事は分析方法に特化しておりますので、フィードバックの方法等は他の記事を参考にされてください。


あなたのチーム管理が少しでも楽になりますように。

では、よい1日を。

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