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大学受験英語における「基礎」と「文法」

大学受験生には、「基礎が身についていると思っている人」と「基礎が身についていないと思っている人」がいます。これは実際に身についているかどうかとは別の自己評価の話です。大学受験英語において、この「基礎」の中心にあるのが英文法の知識なのですが、そのことを認識しているは受験生の中でもそれほど多くはないようです。

そして、「基礎」が主に英文法であると認識していたとしても、その学習手順として文法問題を解くこと、あるいは文法項目ごとに設定された単元で学んでいくものと思い込んでいる人が多いようです。しかしながら、読解のためには英文を精読しながら英文法を学ぶほうが効率的ですし、状況によってはそれを単純な文法項目から複雑なものへを順番に学ぶ必要がないこともあります。

どうも、最近は受験勉強の手順が単線並列化しているように思います。「文法」「単語」「解釈」「長文」などの分野にそれぞれ「基礎」と「応用」「実践」などの段階があって、それぞれが決して交わらないような形で学ぶようになっている。こういう印象を受けます。おそらく「ルート」という考え方の普及に伴うものでしょう。これはカリキュラムのあり方のひとつにすぎません。

大学受験英語の中心は書記言語としての英語、すなわち読み書きの英語です。特に個別試験の場合はこれが重視されます。これらを「文」と「文章」という2つのフェーズに分け、そして両者を「理解」と「表現」という2つの領域に分けます。「文」と「文章」であれば「文」のほうが単純なので文の理解や表現から学んでいき、その過程で必要な文法や語彙を学んでいきます。もちろん「文章」の学習を並行して行うことも可能で、単純な文で構成されている文章を用いてパラグラフリーディングを行ったり、日本語作文によってパラグラフライティングを実践していくことも可能です。とはいえ、「文」と「文章」の並行学習は現状では指導者の下で行うべきでしょう。一般的には「文」から学習を始めていくのが効果的です。

文の理解と表現に必要な知識と技術。これが大学受験英語の「基礎」と考えてよいでしょう。そして、こうした知識や技術は読み書きに使うことができて始めて得点力の基盤となります。これが必ずしも英文法の問題演習によるものではなく、むしろ英文和訳や和文英訳を通じたやり方のほうが効果的な場合があるということです。

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