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題名読書感想文:19 敢えて身も蓋もない表現をする呪い

 題名だけを読む読書感想文をちょこちょこやっています。それが読書感想文と言えるのかはさておき、今回もまたそうでございます。

 今回のテーマは「敢えての身も蓋もない表現」です。

 皆さんもご存じの通り、ものによっては直接的な表現を避ける方がいい場合もございまして、それゆえに遠回し的な表現が様々な方によって作られてきました。遠回しの方が文学的な香り漂う表現になることもあってか、題名でもしばしば用いられます。主流のひとつと言ってもいい。

 しかし、主流であればあるほど対抗勢力が現れます。「遠回しじゃ伝わりづらい。やっぱり、そのものを真っすぐバーンと表現しなきゃ」という派閥も当然ながら存在します。今回はそんなど真ん中派の題名からいくつかご紹介いたします。

 まずは「エロ語呂世界史年号」です。

 もちろん、「エロ語呂日本史年号」も出版されています。

 以前にnoteでエロい単語で周期表を覚える友人の話を書きましたけれども、その世界史版ですね。しかも、ちゃんと市販の書籍として出版されている。

 更に著者が江口五郎さんと、名前にまで「エロ」が入っている徹底ぶりです。

 書籍というちゃんとした形で出ているわけですから、語呂合わせがエロいだけで覚える年号は実際のテスト問題にキチンと対応されていることでしょう。そのギャップも楽しめる書籍と見ました。

 こんな感じで続きます。続いては「衛星画像で読み解く 噴火しそうな日本の火山」です。

 どんな内容なのか一発で分かる、直球中の直球です。お分かりの通り、肝は「噴火しそうな」です。普通はもっと別の表現を選ぶはずなんです。「日本の活火山」とか、「火山噴火」とか。「火山」だけでも充分いろいろ伝わるはずです。「危険な火山」のように恐怖をあおるパターンもあるでしょう。

 そこへ来て「噴火しそうな火山」です。これはありそうでなかった直球です。表現は「活火山」よりも優しいですし、考えてみたら確かに火山の中でも我々が知りたいのは「噴火しそうな火山」だと思い知らされます。

 続いては「世界で二番目に美しい数式」です。

 大体において、このパターンで取り上げるのはトップのはずなんです。それに対し、敢えて2番目であることを表明し、題名にまでバシッと持ってきた形です。

 では、1番美しい数式は何なんでしょう。検索したら「オイラーの公式」が出てきました。

 「美しい」は人の主観ではございますけれども、数学の世界では「オイラーの公式」で異論がないのか、「文系編集者がわかるまで書き直した世界一美しい数式『eiπ=-1』を証明する」のように、「オイラーの公式が世界一美しい公式っすよ」みたいな題名になっているものもございます。

 「世界で二番目に美しい数式」という題名には、「1番はオイラーに譲ろう。でも、2番目は誰にも譲らない」という宣言にも読めます。と思ったら、「二番目に美しい数式」は「オイラーの多面体定理」とも呼ばれているようです。

 オイラーのワンツーフィニッシュではありませんか。さすがオイラー、失明しても平気で論文を発表しまくっただけのことはあります。

 続いては「天体マニア養成マニュアル」です。

 様々な分野の学問が多くの入門書を出し、同志を増やそうと奮闘されていらっしゃいますけれども、ここまで目的を前面に出した本もなかなかございません。「マニア」「養成」「マニュアル」の組み合わせが真っ直ぐに意図を伝えています。

 ここで気になるのはやはり、この書籍でどれほどの天体マニアが養成できたかという点です。発売は2010年。そろそろこの本を読んで天文学者になった方が現れてもいい段階です。

 最後はちょっと変わり種の直球です。「このページを読む者に永遠の呪いあれ」です。

 「なんてこと書いてくれてんだ」と言いそうになる題名でございますけれども、これでラテンアメリカ文学の本なんです。一体どんな小説なのか気になる題名であるのは間違いありません。でも、永遠の呪いは困ります。マジで困ります。

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