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願いが叶わなくて助かった

 自己啓発本というのがあるのは知っていますし、恥ずかしながら私もそういう本を読んだことがあります。だから分かるんですが、大きい書店の自己啓発本コーナーとか、本のネットショップで自己啓発本のカテゴリーとかを見ると、もうその手の本が大量に出てくるんです。タイトルを見るだけでもみんな口々にいろんな主張をしているのが見て取れます。ただ、自己啓発本なので大半は読者の成功を目標としています。願いを叶えるとか、そういう類ですね。

 大量の自己啓発本を眺めていると、何だか夢や願い、成功なんてものは簡単に実現できそうな風に思えてきます。もう心の底から願えばポンと叶ってしまうんじゃないかと。

 そう言えば、私は子供の頃、ゲームに夢中で宿題を忘れるのが得意だったんですが、この得意技の欠点は提出日の朝に限って宿題を思い出すという点にありました。家を出る20分前、私は顔面蒼白になりながら「今から学校にうまいこと隕石が直撃していろいろ破壊してくれないか」と心の底から願ったものでした。

 もしも誰かの願いがポンポン叶ってしまうような世の中だったら、私の母校は粉々に消し飛び、あとは巨大なクレーターを痕跡として残すだけの状態になっていたでしょう。何なら、どんな学校にだって私のような困った子がひとりくらいいたでしょうから、この地球上は学校があった場所に次々と隕石が直撃し、巨大クレーターがボコボコできるこの世の地獄みたいな状態になっていたに違いないんです。

 夢は願えば簡単に叶う。そうなったらきっと最強の身体を欲する人が大量に出てくるでしょう。ドラゴンボールに出てくるようなレベルの人たちがそこらじゅうで誕生し、夢を叶えた人同士で派手なバトルがガンガン勃発するに違いない。ドラゴンボールのバトルが本当に勃発したら地球なんか簡単に吹き飛んでしまいます。

 なかなか叶わない願いがたくさんあるからこの世界は保たれているのかもしれないと思うと、まあ現実というのはなかなかよくできたものなのかもしれませんね。

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