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宇宙人に道を聞かれる可能性が出てきました

 道を尋ねられやすいんです。20歳ごろからでしょうか、大体は年上の女性で、まれに男性からも聞かれます。

 聞かれるときは時間も場所も問わずに聞かれるんで困ってしまうこともあります。初めて来た場所で道を聞かれる時も1度や2度ではありません。明らかに観光客のつもりで来ているのに、明らかに観光客の格好をした人に地元民だと思われて道を聞かれたこともあります。そんなときは「すいません、初めて来たので僕も分からないんです」と謝って凌いでいたんですが、最近はスマートフォンとか地図アプリとかができて道案内するのも楽になりました。いや、そういう問題じゃないんです。だったらみんな自分で調べれば解決するはずじゃないですか。でも、やっぱり道を聞かれるんです。

 職場から郵便局までのたった30メートルの道のりで聞かれたときもあります。しかも、相手はスマートフォンで地図アプリを開いているんです。よく分かりませんが、それでも自分の位置を見失っていたようで、じゃあ道行く人に聞こうという結論になったようです。私はちょうど郵便局から職場に戻るところだったので、どうせならと郵便局まで案内しました。その間に軽く雑談をしましたが、趣味が登山なんだそうです。よくも遭難せず今までご無事でやってきたものだと驚きましたが、お相手も何となく察してくれたようで「自分は方向音痴だからいつもガイドさんと登っている」とおっしゃっていました。賢明な判断です。

 未だにちょっと信じられないんですが、ジョギング中に道を聞かれたときもあります。もちろん私は走っていました。お相手は友達同士でウォーキングをしていたようです。誰かに道を聞くのが苦手な私としては、ジョギングしてる人に道を聞くなんて裸足で水上を駆け抜けるのと同じくらいの難易度なんですが、世間には本当にいろんな方がいらっしゃいます。

 道を聞かれるだけじゃなくて、写真を撮ってくださいと頼まれることもあります。観光地に行くときは知らない人の写真撮影を念頭に置く程度には頼まれます。

 しかし、普段の生活でも頼まれるときがあるんです。最寄り駅に向かう途中、近くの居酒屋から出てきた大学生くらいの男女6人組にいきなり写真撮影を依頼されたことがあります。全員揃ってニコニコでテンションも高めです。これが夜10時とかなら「まあ酔った勢いでそういうこともあるか」と思うんですが、私が頼まれたのは夕方前なんです。こんな早くからなぜ2軒目に行くようなテンションなのか。このペースなら終電までに6軒は行けそうです。その時は写真を撮るだけで特に雑談もしなかったため、彼らがどういう理由でそんな早くから居酒屋にいたのかは分かりません。

 日本語を話せない外国人観光客からも写真を頼まれるんです。まだ英語ならギリ何とかなるんですが、英語も怪しいような人にも頼まれます。辛うじて簡単な単語なら英語もいけるようで、「フォト」「OK」みたいな最低限の意思疎通で乗り切りました。

 どういうわけか美術館で絵画を鑑賞しているときにも写真を頼まれたことがあります。とある公募展での出来事で、何でも友人が入賞したからその作品と一緒に撮ってほしいとのこと。指示されるがまま、いろいろ構図を変えて撮りました。うまく撮れたのか全く自信がありませんでしたが、お相手の方は納得されているご様子でした。

 とまあ、いろいろな状況で道を聞かれ、写真を頼まれてきた私なんですけれども、さすがに日常生活でありがちなパターンは大体制覇したと思うんです。そうなると、いたずら好きな神様が「おお、この星野ってやつは道の尋ねられ方も写真撮影の頼まれ方も大体全種類コンプリートしてるじゃないか。じゃあ、ちょっとレアパターンをぶちこんでみるか」とか言いだして、宇宙人に道を聞かれるみたいな新たなパターンを放り込みはしないかと不安になってまいります。

 とりあえず、そのときまでに地図アプリのサービスが宇宙にまで拡大してくれるといいなとは思っています。

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