本当にある不思議な農作物品種名② 麦類・雑穀類・豆類編

 何となく農作物の品種名の一覧を見ていたんです。そうしたら、ちょこちょこ不思議な名前があったので、つい集めてしまいました。集めたら誰かに見せたくなる。私としてはいつものパターンにハマり、役立つ情報かどうかなんて全然検討せず、こうやって皆様にご紹介する形を選びました。いつもご迷惑をおかけしております。

 参考にしたのは農林認定品種データベースです。

 上記サイトに載っている品種のうち、今回は「麦類・雑穀類・豆類」から個人的に不思議だなあと感じる名前を選んでみました。では、早速参ります。

アカンムギ

 皮麦の品種。「麦のどこがあかんの」と関西弁で問いかけてしまう方もいるとかいないとか、やっぱりいないとか。
 北海道での栽培に適しており、火山灰地などの比較的肥沃でない地帯でも栽培ができ、倒れづらく収穫量が多く、品質も良好な品種。名前の由来は今のところ不明。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010000676

ファイバースノウ

 皮麦の品種。ファイバーは基本的に繊維を意味する言葉ですが、光ファイバーやグラスファイバーという言葉があるせいか工業製品っぽくも見える名前です。
 東北南部、関東北部、北陸、東山地方での栽培に適しており、倒れにくく、寒さや雪に強い品種。名前の由来は「食物繊維が豊富な食品であることと、精麦白度が高いことを表現」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010000702

ドリルムギ

 皮麦の品種。ドリルのように鋭角な麦を想像してしまいそうになりますが、どうやら播き方でドリルの名を冠したものがあるようです。詳しくは参考サイトをご覧ください。
 関東、東山、東北南部の平坦な場所での栽培に適しており、極めて倒れにくく、ドリル栽培と呼ばれる栽培法を用いることで収量が多くなる品種。名前の由来は「ドリル播栽培に代表されるような機械化栽培にきわめてよく適した特性を持つことから」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010000685
https://www.nippn.co.jp/hiroba/komugi_sodateyo/popup/hatena_s2_7.html

ハシリハダカ

 裸麦の品種。全裸で走り回る類の何かではありません。
 西南暖地(西南地方の温暖な地域を指す言葉で高知・宮崎・鹿児島を指す場合が多い)の沿岸・平坦部に適しており、種まきから収穫までの期間が非常に短い短期成熟型で耐湿性に強い品種。名前の由来は「極めて早熟である意」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010000714
https://w.atwiki.jp/farmers/pages/11.html

イシュクシラズ

 二条大麦の品種。こちらもまた、いかにも名が体を表しているタイプの品種名といった感じです。
 九州の中部から北部にかけての平坦で肥沃な土地に適しており、大麦縞萎縮病に強く育て方を問わず安定して多い収穫量を示す品種。名前の由来は「“萎縮不知”を意味し、大麦縞萎縮病耐病性が強く、本病の常発地でも安定多収であることに因む」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010000747

ネバリゴシ

 小麦の品種。そう言えば、人の部位で粘るのって腰ばかりですよね。
 東北地域でも根雪と呼ばれる積雪日数が110日までの平坦な土地に適しており、倒れにくく雪や寒さに強く、収穫量も多い品種。名前の由来は「低アミロースでめんの粘弾性、こしがともに優れることによる。また、普及地帯の東北地域の人々は一般に粘り強いように、今後粘り強く栽培されることを期待したことも含む」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010000647
https://kotobank.jp/word/根雪-111584

つるきち

 小麦の品種。単純な想像しかできない私は陽気なお坊さんを思い浮かべてしまいました。
 北海道での栽培に適しており、中華麺の適性に優れた品種。名前の由来は「中華めんにするとなめらかで適度なコシがあり、ツルッと食べられる。食べた人に“吉”があることを祈念して付けられた」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001908

ユキチャボ

 小麦の品種。こういう名前の鳥がいてもよさそうです。ええ、完全にチャボに引っ張られています。
 東北南部や北陸地方でも雪の少ない地域での栽培に適しており、雪による耐性が強く、土壌の栄養が多くても少なくても安定した量を収穫できる品種。名前の由来は今のところ不明。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010000579

はとじろう

 鳩麦の品種。ちなみに、はとゆたかという品種もあります。椋鳩十を入れても違和感がなさそうな気がしますが、きっと錯覚です。
 東北地方の山間地などでの栽培に適しており、機械による栽培の適応した品種。名前の由来は「はとむぎの次郎(東北2号)であることを表現」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010000767

ぱぴりか

 トウモロコシの品種。半濁音がふたつもあるためか、たった4文字でもとても明るい感じがします。
 北海道の根釧地域での栽培に適しており、栽培限界地域でも栽培できる品種。名前の由来は「アイヌ語で「豊作の年・豊年」の意味。「パ」は年、「ピリカ」は良いまたは美しいを意味する」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001797

ナスホマレ

 トウモロコシの品種。とうもろこしだけどナスがあるという、なぞなぞみたいな状態になっています。
 東北・関東・東海地域での栽培に適しており、茎や葉の消化性にとても優れているため飼料に向いている品種。名前の由来は「那須で育成された多収品種であることを表現」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001771

ゴールデン・クロス・バンタム

 トウモロコシの品種。何かの必殺技に紛れ込んでも大丈夫そうな名前です。
 北海道中南部での栽培に適しており、甘いため生食や加工用に合っているほか、飼料にも活用できる品種。名前の由来は今のところ不明。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001804

青丸くん

 大豆の品種。青くて丸いゆるキャラを思い起こさせる名前です。
 東北の中部地域での栽培に適しており、倒れづらく、さやが裂けづらいため、機械化栽培に合っている品種。名前の由来は「子実が丸い青豆品種で、多くの人に親しんでもらえる期待を表す」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001804

テコナ

 落花生の品種。何らかの意味があるのは明らかなんですが、カタカタになっているせいか意味が全く見いだせない不思議な言葉です。
 千葉県の火山灰または砂が堆積した土地での栽培に適しており、倒れづらく収穫量が多く品質の良い品種。名前の由来は今のところ不明ですが、「手児奈」で「愛らしいおとめ」を指すようではあります。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001055
https://kotobank.jp/word/手児名-575653


 いかがでしたでしょうか。名前というのはジャンルによってそれぞれ独特な雰囲気を漂わせていたリいなかったりするものですが、農作物の品種もまた、独特な理屈で名前がつけられているように思いました。

 それでは今回はこの辺で。次回は「工芸作物・果樹」から選んだものをご紹介します。

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