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【信州ダービー】魂のぶつかり合い

信州ダービー。

それは魂と魂のぶつかり合い。

5月15日。
AC長野パルセイロvs松本山雅FC

長野出身の私にとって、地元長野県の2チームが戦う最高のダービー

1万3244人。

いつもは約3000人を動員しているここ、長野Uスタジアムに、1万人を超えるファン・サポーターが集まりました。

J3でこれほどの集客をしている試合を見た事があるでしょうか。

同じ週末に行われたJ1、J2リーグを含めた全ての試合の中でも、1万3244人という数字は、埼スタ、豊田、神戸、等々力に次いで第5位の観客動員数を記録しました。前日までにチケットは完売し、アウェイ側はびっしりと緑で埋めつくされていました。

緑に染まる、松本山雅ゴール裏

試合には大学や高校の友人、そして久々にスタジアムに来るサポーターの方々も多く駆けつけていました。

皆さん、こんにちは。
JリーグやJFLで日本中を駆け巡る女子大生、のんちゃんです。

最近、スタジアムで歩いていると、『すたすたぐるぐる信州編』買ったよ!と声をかけていただくことも多く、とても嬉しいです。

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試合前、スタグル広場を歩いていると、見覚えのあるサポーターの方に声をかけられました。

◉久しぶり!最近頑張っているね。


「Twitterで拝見していますよ。

私もここ2年くらい体調を崩していて、あまり試合見に来れていなかったんだよね。

のんちゃんの、アウェイやUスタの試合を見に来るために頑張っている姿にいつも元気をもらっているよ。

今日もこうして会えてよかった。」

私がいつも試合に行く様子を見守ってくれていると聞き、とても嬉しかったです。そして、離れた場所にいても、サッカーを通じてまた出会えるという、素敵な経験をしていることを実感しました。

2年ぶりにお会いするサポーターさん。

7年ぶりに試合に来た友人。

◉さすがダービー


最近スタジアムから足が遠のいている人、スタジアムに来たことがない人でも駆けつける注目の一戦

試合が始まる前、私の後ろに来た男子中学生集団も初めてスタジアムに来たようでした。配布されたハリセンの折り方を周囲に教わったり、サイリウムをゴール裏の人からもらったり。ウキウキとした様子でキックオフを待ちのぞんでいました。私もジャニーズ好きの友人に教わった作り方で、キンブレシートとペンライトを準備し、無事試合に行くことが出来ました。

#長野をオレンジに


◉前座試合

前座試合として、AC長野パルセイロ-U15vs松本山雅FC-U15の試合が行われました。

結果は5-0で長野の快勝

ゴールが決まる度にゴール裏にアピールしたり、チームメイトと飛びはねながら喜ぶユース選手の生き生きとした表情が印象的でした。ゴールが決まると、リズム隊に合わせてラインダンスが流れ、スタグルを買いに外に行っていた私たちの元にもゴールが決まった知らせとして耳に入りました。

「トップチームの試合でも、聞けるといいな。」

ビールを1杯飲み、大学の山雅サポの友人と写真を撮っていると、あっという間にキックオフ1時間前となりました。

◉キックオフ1時間前


いつもと雰囲気が違う。

バックスタンドもメインもこんなにぎゅうぎゅうに人が入っているの、初めて見た。

これがダービーか。

「絶対に負けられない戦い」とは、まさにこのことか。

オレンジに染まる長野ゴール裏

いよいよGKの登場です。

先にアウェイ松本山雅のGK陣が現れると、オレンジ色のUスタが一気に緑の集団にジャックされました。気迫と旗で圧倒する松本山雅。そして人数の差を感じさせない手拍子の音。ここはアルウィンか、と思わせるような雰囲気作りに圧倒されました。

しかし、ホームは我らが長野

オレンジの戦士たちの後押しに、1万人が駆けつけています。大内一生選手、矢田貝壮貴選手が登場した瞬間、響き渡るハリセンの音。10本を超える大旗によるオレンジの壁。

「絶対に負けられない」

「松本だけには負けたくない」

サポーター1人1人の気持ちが選手の心に訴えかけていました。

フィールドプレーヤーが登場した瞬間、一気にオレンジに染まるUスタ

手拍子と太鼓の音に包まれ、空気が一瞬にしてピリつく様子から、まさにテレビで見たカンプ・ノウを彷彿とさせるクラシコを連想しました。

ここは本当にJ3?

私は、J1でもここまでのダービーを見たことがないです。

J3というかJ1?J1というかラ・リーガ?

ここが日本であることに、目を疑うほど圧巻の雰囲気でした。

試合は魂と魂のぶつかり合い、そのものでした。

互いに長野、松本の街を背負い、プライドをかけて戦う。

最後の1秒までチームのために身を削る。

絶対に一対一で負けない気持ち。球際の激しさ。

選手の勝ちにこだわる強い意志が体現された試合でした。

今まで見たことのないほど、闘志溢れるプレーをする選手の姿。
その一つ一つが脳裏に焼き付いています。

◉AC長野!ドドン、ド、ドンドン
 AC長野!ドドン、ド、ドンドン


入場時に配られたハリセンが完全にホームの雰囲気を作り出していました。

これだよ。これ。

私が見たかった満員のUスタ

絶対に居るべき場所はここ(J3)じゃない。
専スタに、大旗隊に楽器隊。どれをとってもJ1レベル。

歴史的背景もあり、対立する二都市。いわば日本版クラシコ

「サッカー不毛の地」と言われ続けた、ここ長野に1万3千人のお客さんが集まっている。

地域に根付き、地元に愛されるクラブに成長し、単なるサッカーというスポーツだけでは測りきれない経済効果があると思います。

私も今回「信州ダービー」のために横浜から長野に高速バスで帰省し、前日になからで呑み、ついでに御開帳の善光寺へお参りをしに行き、仲見世通りのスタバに寄り……。

これだけでも地域にお金が還元されていたり、地元愛を感じる機会になっていると思います。

「なから」のパルセイロカクテル

◉長野に生まれてよかった。

そう感じられる機会を与えてくれたのは、「AC長野パルセイロ」という地元に根付くJリーグクラブが存在したからです。

家に帰り、珍しくスタジアムに来ていた父がビール片手に言いました。

「29年前の今日、当時パパは大学生で一人暮らしの家で開幕戦をテレビで観ていたんだよ。

それが今、娘とこうしてスタジアムに行っているなんて想像もつかなかったな。

そもそもオリジナル10しかなかったのに、地元長野にJリーグチームが出来るなんて思いもしなかった。

ましてや、長野県からJ1チームが出るなんて、ね。」

信州ダービーがJリーグ開幕日である5月15日に開催されたことに、なんらかの運命を感じます。こうして親子が話すキッカケとなっているJリーグは、単なるスポーツではありません。

人と人とを結びつけてくれる、そんなJリーグが大好きだな、と改めて感じました。

「長野県からJ1チーム」

それが、パルセイロであったらどんなに嬉しいことか。

お隣の松本山雅がJ2、そしてJ1へ昇格していく姿。
正直、キラキラと希望に満ち溢れた表情のサポーターが羨ましかったです。

それが今はJ3で共闘する仲間でありライバル。

私たちがいるべき場所は、ダービーをする場所は、もっと上のカテゴリーだと思います。

ここまで熱狂的なサポーターがいて、サッカー専用スタジアムが2つもあって、もう「サッカー不毛の地」とは言わせません。

信州ダービーの歴史は再び動き出したばかりです。

ここから、互いに切磋琢磨しあえる良きライバルとして、「アイツらだけには負けたくない」この想いを胸に、いつかJ1の舞台で闘える日を夢見ています

◉パルセイロの魅力


J2に昇格したことがなくても、パルセイロには松本にない魅力があります。

それは、アスレチッククラブであることです。

AC(アスレチッククラブ)長野パルセイロは、サッカーのレディースチーム、アイスホッケーチーム、そしてバドミントンチームも保有しているのです。

前日には、今年発足したWEリーグに所属するAC長野パルセイロレディースのホーム最終戦がありました。

私も観戦に訪れましたが、トップチームの選手も何人か応援に駆けつけていました。

トップチームの選手がハーフタイムに、ゴール裏をウロウロ歩いていたり、スタグルを買うために並んでいたり……。

サポーターと同じ行動を取っている姿に心がほっこりしました。

トップチームの選手がレディースの試合を応援しに来て、レディース選手はトップチームの試合を応援しに来る。

男女のチームを所有しているからこその関係だと感じました。

1万人動員の試合を見て、まだまだ未完成だな、と感じた部分もあります。

待機列がオリンピックスタジアム、そして公園の中にまで長く行列になっていた事。近隣の駐車場が埋まっていること。そして大型ヴィジョンがアウェイ側から一切見えないこと、などまだまだ改善できる点はあるんじゃないかな、と感じました。

ホームゲートが一箇所となると、人が密集してしまうのは自明です。

ゲートを分散させて入場ゲートを複数作ったり、入場列を増やすなど、もう少し工夫出来るんじゃないかなと感じました。

しかし、今回も多くのボランティアさんが運営を手助けしていました。

別のクラブのゴールデンウィークの試合でキックオフまでに観客を中に入れられなかったという事例がありました。

この事例を踏まえてなのかわかりませんが、試合前から入場時刻を一時間繰り上げる対応を取ったり、バクスタのスタグルの待機列がわかりやすいように掲示が増えていたり、と多くの来場が見込まれた試合だからこそ、特別に取っている対応が散見されました。

出来るだけスムーズな運営をしてくれた運営、ボランティアスタッフさんには感謝をしきれません。

信州ダービー限定の似顔絵入りおせんべい(川田拳登選手)


◉AC長野パルセイロのこれから


今回の信州ダービーを受けて、AC長野パルセイロ、そしてJリーグの秘める可能性は無限大だと改めて感じることが出来ました。

「絶対に負けたくない」

魂と魂のぶつかり合い。

この信州ダービーがもたらすものの偉大さを改めて体感することが出来ました。

やっぱりJリーグ、そしてパルセイロが大好きです。

私は、初観戦の2016年7月16日以来の1万人越えのUスタに感動しました。

パルセイロがいるべき場所はもっと上のカテゴリーじゃないかな。
そう強く感じさせられました。

ここまでの1敗1引き分けという結果に、納得していない長野サポは多いと思います。


この日のために作成したゲーフラと私



「松本山雅」という立ちはだかる大きな壁を乗り越え、J2昇格を掴みたいです。


いつか、「信州ダービー」がJ2そしてJ1へと舞台を移すその日まで。

切磋琢磨する本物のライバルとして、良い関係を築き続けたいです。

そして勝つのは、私たちAC長野パルセイロです。



獅子よ、千尋のこの谷を駆け上がれ。

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